ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ながいながいドン五郎のはなし(5)

2007-10-26 | ながいながいドン五郎のはなし
でも、ドン五郎は、眠たくありませんでした。これまでだったら、ドン五郎のほうが、先に居眠りをしていたのに、その日は、眠たくありませんでした。かえって、からだがむずむずして、動きたくてたまりません。

ドン五郎は、手足を思うままに、動かしました。

ドン五郎は、どんどん土の中を進んで、土の外に出ました。外は、土の中と同じで、真っ暗でした。

ドン五郎は、すぐ目の前にあった木を登りだしました。なぜって聞かれても、ドン五郎にはわかりません。ただ、手足が、そうしたいのです。

ドン五郎は、少し登ったところで、止まりました。からだは、力ではちきれそうです。何度も何度も、伸びをしました。大きく大きく、伸びをしました。


それから、なにがどうなったのか、ドン五郎には、よくわかりません。

ただ、ドン五郎にわかることは、自分が空を飛んでいるということでした。そして、それまで大好きだった闇の中よりも、太陽の光を浴びていることが、何よりもうれしくて、前のように無口でなんてとてもいられません、大きな声で歌わずにはいられない、ということでした。

(週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)