ある日、風邪を引いた。
だんだん熱が高くなる。
寒気もするし、体の節々が、ひどく痛い。
もちろん立ってなんかいられない。
ベッドに寝ていた。
お母さんが、心配して、部屋に入ってきた。
「だいじょうぶ。お薬持ってきたわよ。
病院に行ったほうがいいんじゃないの」
「うるさいな。だまってろよ。
そんなキンキン声出すと、頭が痛いのもわからないのか」
「ごめんなさいね。氷枕、する?」
「がたがた、がたがた、言うなって。
おまえなんか、じゃまんだよ。
優しいフリなんかして。
本当は、オレが苦しんでるのを、喜んでるんだろ」
「お母さん、本当に心配してるのよ。
頭に、冷たいタオル乗せたら、楽になるんじゃない」
お母さんが、僕の頭に氷水で冷たくしたタオルを乗せようとしたが、
不思議なことに、どんなにしても、お母さんは、僕に触れることができなかった。
あの膜が厚くて、じゃまをしているのだ。
お母さんが、心配して、優しくしてくれるのは、本当はうれしかったが、
口から出てくるのは、悪いことばばかりだ。
悪いことばを出すたびに、膜はますます厚くなった。
お母さんの声は、だんだん聞こえなくなった。
僕は、透明な膜に完全に閉じ込められたのだ。
もう自分であって、自分ではなかった。
例の声が聞こえた。
『うまくいったな』
『うまくいったよ』
(週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)
だんだん熱が高くなる。
寒気もするし、体の節々が、ひどく痛い。
もちろん立ってなんかいられない。
ベッドに寝ていた。
お母さんが、心配して、部屋に入ってきた。
「だいじょうぶ。お薬持ってきたわよ。
病院に行ったほうがいいんじゃないの」
「うるさいな。だまってろよ。
そんなキンキン声出すと、頭が痛いのもわからないのか」
「ごめんなさいね。氷枕、する?」
「がたがた、がたがた、言うなって。
おまえなんか、じゃまんだよ。
優しいフリなんかして。
本当は、オレが苦しんでるのを、喜んでるんだろ」
「お母さん、本当に心配してるのよ。
頭に、冷たいタオル乗せたら、楽になるんじゃない」
お母さんが、僕の頭に氷水で冷たくしたタオルを乗せようとしたが、
不思議なことに、どんなにしても、お母さんは、僕に触れることができなかった。
あの膜が厚くて、じゃまをしているのだ。
お母さんが、心配して、優しくしてくれるのは、本当はうれしかったが、
口から出てくるのは、悪いことばばかりだ。
悪いことばを出すたびに、膜はますます厚くなった。
お母さんの声は、だんだん聞こえなくなった。
僕は、透明な膜に完全に閉じ込められたのだ。
もう自分であって、自分ではなかった。
例の声が聞こえた。
『うまくいったな』
『うまくいったよ』
(週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)