ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

デュアン王子とレイラ(5)

2008-08-30 | デュアン王子とレイラ/ それぞれの休日
レイラは、毎日、デュアン王子の手紙を、何度も取り出しては、読み返しました。レイラにとって、それ以上に楽しい時間はありませんでした。レイラは、覚えてしまうほど、何度も何度も読み返しました。

レイラは、毎朝早く、牢屋の門のところまで散歩に行きました。その時間、囚人たちが庭に出て朝の体操をするのです。門の小さな隙間から、ほんのわずか、庭をのぞき見ることができました。デュアン王子の姿が見えるか見えないか、行ってみないとわかりません。それでも、レイラは、一目でもデュアン王子の姿が見えるならと、雨の日も、風の日も、散歩に行きました。そして、わずかでも、デュアン王子の姿が見えたその日は、一日中うれしくてしかたありませんでした。

それが、レイラの毎日でした。

人々は、レイラが心からデュアン王子を愛していることがわかりました。今のレイラは、もうすっかり以前のスパイだったレイラではないことが、だれの目にも明らかでした。


もともとデュアン王子が犯罪を犯したわけではありません。
もう、デュアン王子が牢に入れられている理由は無くなりました。

デュアン王子は釈放され、また王子に戻りました。そして、レイラと結婚しました。その日は、国中で、一番うれしい日でした。

(週末は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)