ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

欲しがり屋のヒヨコ(1)

2007-02-26 | 欲しがり屋のヒヨコ/ 続・放蕩息子 
あるところに、卵からかえったばかりのヒヨコがいました。ヒヨコは、見るもの、聞くもの、何でも珍しくてしかたありませんでした。そして、困ったことに、ヒヨコは、欲しがり屋だったのです。

ヒヨコが散歩をしていると、どこからともなく、とても美しい調べが聞こえてきました。ヒヨコは、その音のするほうに、どんどん歩いて行きました。

確かに音の近くに来ているのですが、それがどこから流れてくるのか、わかりません。それで、ヒヨコは、思い切って、たずねることにしました。

「すみません。あの、ぼく、ヒヨコです。この美しい調べは、何でしょうか。どこから流れてくるのでしょう。教えてください」

すると、その音は、止まりました。そして、一羽のカナリヤが姿を現しました。

「こんにちわ、ヒヨコちゃん。私の歌を気に入ってくれてありがとう。あなたは、生まれたばかりで、何も知らないのね。私は、カナリヤ。いつもこうして、歌っているの」

そう言うと、カナリヤは、また飛んで行ってしまいました。そして、どこからか、またあの美しい調べが聞こえてきました。


ヒヨコは思いました。

「ぼくもあんな、美しい歌声が欲しいな」

それで神様にお願いしました。神様は、ヒヨコにカナリヤの声を与えてくれました。

(つづく)