ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ぼくはセミになったのさ(7)ウンチク編

2008-07-01 | 放蕩息子Part2
真っ暗な人生、希望のない生き方、敗北だらけの毎日から、「救い出されて」、「新しく生まれ変わった」ら、あなたは、どう生きて行きたいですか?

まさか、また前と同じように、真っ暗な人生、希望のない生き方、敗北だらけの毎日をしたい、とは考えないと思います。光の中を、希望にあふれて、勝利から勝利へと毎日を過ごしたい、と思うでしょう。

では、「新しく生まれ変わった」ら、自動的に、光の中を、希望にあふれて、勝利から勝利へと毎日を過ごせるようになるのか。残念ながら、そうではありません。私たちの周りには、私たちを、暗やみの中、絶望の中、敗北の中に引き込もうとする力が、いつも渦巻いています。世の流れに身を任せていたら、また、以前と同じように、真っ暗な人生、希望のない生き方、敗北だらけの毎日が待っているだけです。

だからといって、「新しく生まれ変わった」ことがウソだったのではありません。せっかく、「救い出されて」、「新しく生まれ変わった」にもかかわらず、以前と同じ生き方したから、以前と同じ暗やみ、絶望、敗北を経験しているのです。


イエス・キリストの十字架と復活の
福音は、
信じるすべての人にとって、
救いを得させる神の力です。
(ローマ人への手紙 1章16節)

だれでも、
イエス・キリストへの信仰によって、「新しく生まれ変わり」、
イエス・キリストへの信仰によって、力を与えられて、
光の中を、希望にあふれて、勝利から勝利へと毎日を過ごすことができます。

あなたが、
真っ暗な人生、希望のない生き方、敗北だらけの毎日を過ごすか、
光の中を、希望にあふれて、勝利から勝利へと毎日を過ごすか、
それは、社会のせいでも、時代のせいでも、だれのせいでもありません。
あなた自身の選択によるのです。


あなたがたは、以前は暗やみでしたが、
今は、主にあって、光となりました。
光の子どもらしく歩みなさい。
(エペソ人への手紙 5章8節)


ぼくはセミになったのさ(6)

2008-06-28 | 放蕩息子Part2
あるひっそりとした明け方のことです。一匹のセミが、静かに、地面に横たわっていました。もう、飛ぶ力も、歌う力も、そして、息をする力もありませんでした。

セミは、生まれてこの方、幼虫のときの7年間は、ずっと地面の中にいました。そして、セミになって、7日間、毎日、光の中を、飛び回りました。セミは、自分が真っ暗な地面の下から出て、光の中を飛べることが、嬉しくて嬉しくて仕方ありませんでした。それで、いつも大きな声で歌っていました。

「ぼくは、もう闇の中には、戻らないよ。
ぼくはセミになったのさ。
 ぼくは、光の中で生きるんだ。」

森では、今日も、いつもの一日が始まります。

(次回は、このストーリーから、人生の知恵をまじめにウンチクります。)


ぼくはセミになったのさ(5)

2008-06-27 | 放蕩息子Part2
次の日も、また次の日も、セミは、毎日、飛び回りました。セミは、自分が地面の下から出て、光の中を飛べることが、嬉しくて嬉しくて仕方ありませんでした。それで、いつも大きな声で歌っていました。

そして、夕方、またその木のところに帰ってきました。その日見た、地上の世界のことを、あれこれと思い出していました。それというのも、生まれてこの方、幼虫のときの7年間は、ずっと地面の中にいたのです。

夜になると、いろんな昔の友だちが捜しにやって来ました。そして、みんな、土の中に戻ってくるように誘いましたが、セミは、いつも、決まって、こう答えるのでした。

「悪いけど、ぼくは、もう土の中には、戻らないよ。
だって、ぼくはセミになったのさ。
ぼくは、光の中で生きるんだ。」

そうすると、昔の土の中の友だちは、ブツブツ言いながら、また土の中に戻って行きました。

(つづく)


ぼくはセミになったのさ(4)

2008-06-26 | 放蕩息子Part2
その次の日、セミは、また一日、光の中を、声高く歌いながら、飛び回りました。そして、夕方、またその木のところに帰ってきました。その三日間見た、地上の世界のことを、あれこれと思い出していました。それというのも、生まれてこの方、幼虫のときの7年間は、ずっと地面の中にいたのです。

もうすっかり暗くなった頃、ムカデが現れました。
「へえ、あんたもそんなところに、行けるんだね。
とんと知らなかったよ。
木の上になんか止まってないで、
早く、土の中に戻って来なよ。
あやとりの続きをやるんだからね。」

セミは答えました。
「悪いけど、ぼくは、もう土の中には、戻らないよ。
だって、ぼくはセミになったのさ。
ぼくは、光の中で生きるんだ。」

ムカデは、ブツブツ言いながら、また土の中に戻って行きました。

(つづく)


ぼくはセミになったのさ(3)

2008-06-25 | 放蕩息子Part2
次の日、セミは、また一日、光の中を飛び回りました。そして、夕方、またその木のところに帰ってきました。その日一日見た、地上の世界のことを、あれこれと思い出していました。それというのも、生まれてこの方、幼虫のときの7年間は、ずっと地面の中にいたのです。

もうすっかり暗くなった頃、団子虫が現れました。
「おい、こりゃあ、いくら捜しても、みつからないはずだ。
こんなところにいたなんて。
木の上になんか止まってないで、
早く、土の中に戻って来いよ。
しりとりの続きをやろうよ。」

セミは答えました。
「悪いけど、ぼくは、もう土の中には、戻らないよ。
だって、ぼくはセミになったのさ。
ぼくは、光の中で生きるんだ。」

団子虫は、ブツブツ言いながら、また土の中に戻って行きました。

(つづく)