好酸球性副鼻腔炎

好酸球性副鼻腔炎について知っていただくために開設したブログです。現在更新は行っていません。

好酸球性副鼻腔炎とは

好酸球性副鼻腔炎とは、多発性の鼻茸(鼻ポリープ)で鼻閉と嗅覚障害を起こし、通常の薬が無効で、内視鏡下鼻内手術を行っても再発が多い、難治性副鼻腔炎です。白血球の一種である好酸球が、血液や粘膜で増えているのが特徴です。しばしば喘息(とくにアスピリン喘息)を伴い、好酸球性中耳炎を合併することもあります。アスピリン喘息とは、ほぼすべての解熱鎮痛剤と、着色料や防腐剤などいろいろな誘発物質で喘息を起こす病気です。

頭痛のこと、においのこと

2011-08-04 15:00:25 | 好酸球性副鼻腔炎一般

昨日、みやびさんからいただいたご質問の答の中に、他の方にも知っていただきたいことがあったので、あらためてこの記事にします。ほとんどは、昨日のコメントと同じ内容ですが、書き足した部分もあります。

顔が痛むのは急性上顎洞炎です。頭痛は、篩骨洞、前頭洞、に急性副鼻腔炎があるときか、見逃されがちですが、蝶形骨洞に炎症があると、強い頭痛が続きます( 参考文献 深見雅也 : 耳鼻科疾患と頭痛: 頭痛、めまい、しびれ. 鑑別診断から治療まで.  中林治男編. メディカルコア、東京、1997. 65-72 )。

通常の慢性副鼻腔炎でも頭痛が起きることは多い(手術例の71.9%(文献1))のですが、このときは後頸部(後頭の付け根)の筋にこりを伴うことが多いです。したがって、頭痛としては緊張型頭痛ようですが、慢性副鼻腔炎を治すと頭痛も治る方が多いです(手術による改善率97.3%(文献1))。好酸球性副鼻腔炎で、とくに頭痛を訴える方が多いわけではないようです。

くさいにおいがする上顎洞炎は、たぶん急性上顎洞炎です。上顎洞に細菌が感染し、悪臭のある膿が貯まっているためです。好酸球性副鼻腔炎では、くさいにおいはありません。

副鼻腔炎といっても、急性と慢性では症状も違うし、好酸球性は、また全然違う病気なのです。

ついでに触れておきますと、においそのものが喘息の誘因になるような方には、あえてお勧めできませんが、好酸球性副鼻腔炎の嗅覚障害は、嗅裂と上鼻道というところを、しっかり手術すれば、改善することが多いです。

通常の慢性副鼻腔炎でも嗅覚障害は起きますが(手術例の89.5%(文献1))、内視鏡手術による改善率は81.0%です。治癒率になると、33%程度です。これは、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、頭痛といった慢性副鼻腔炎の中では、改善率、治癒率とも一番低いものです。低いといっても、81.0%です。

好酸球性副鼻腔炎では、通常の副鼻腔炎より高率に嗅覚障害が起きますが、手術による改善率は、通常の慢性副鼻腔炎と同等か、おそらくもう少し高い改善率だと思います。ただし、好酸球性副鼻腔炎では、手術直後は良くなっても、鼻ポリープが再発すること嗅覚障害が再燃することが多いです。でも、一度徹底的に手術をしてあれば、再燃してもステロイドで短期間治療を行って鼻ポリープが縮小すると、また嗅覚がもどりやすいです。

コメント (8)
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