昨日、みやびさんからいただいたご質問の答の中に、他の方にも知っていただきたいことがあったので、あらためてこの記事にします。ほとんどは、昨日のコメントと同じ内容ですが、書き足した部分もあります。
顔が痛むのは急性上顎洞炎です。頭痛は、篩骨洞、前頭洞、に急性副鼻腔炎があるときか、見逃されがちですが、蝶形骨洞に炎症があると、強い頭痛が続きます( 参考文献 深見雅也 : 耳鼻科疾患と頭痛: 頭痛、めまい、しびれ. 鑑別診断から治療まで. 中林治男編. メディカルコア、東京、1997. 65-72 )。
通常の慢性副鼻腔炎でも頭痛が起きることは多い(手術例の71.9%(文献1))のですが、このときは後頸部(後頭の付け根)の筋にこりを伴うことが多いです。したがって、頭痛としては緊張型頭痛ようですが、慢性副鼻腔炎を治すと頭痛も治る方が多いです(手術による改善率97.3%(文献1))。好酸球性副鼻腔炎で、とくに頭痛を訴える方が多いわけではないようです。
くさいにおいがする上顎洞炎は、たぶん急性上顎洞炎です。上顎洞に細菌が感染し、悪臭のある膿が貯まっているためです。好酸球性副鼻腔炎では、くさいにおいはありません。
副鼻腔炎といっても、急性と慢性では症状も違うし、好酸球性は、また全然違う病気なのです。
ついでに触れておきますと、においそのものが喘息の誘因になるような方には、あえてお勧めできませんが、好酸球性副鼻腔炎の嗅覚障害は、嗅裂と上鼻道というところを、しっかり手術すれば、改善することが多いです。
通常の慢性副鼻腔炎でも嗅覚障害は起きますが(手術例の89.5%(文献1))、内視鏡手術による改善率は81.0%です。治癒率になると、33%程度です。これは、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、頭痛といった慢性副鼻腔炎の中では、改善率、治癒率とも一番低いものです。低いといっても、81.0%です。
好酸球性副鼻腔炎では、通常の副鼻腔炎より高率に嗅覚障害が起きますが、手術による改善率は、通常の慢性副鼻腔炎と同等か、おそらくもう少し高い改善率だと思います。ただし、好酸球性副鼻腔炎では、手術直後は良くなっても、鼻ポリープが再発すること嗅覚障害が再燃することが多いです。でも、一度徹底的に手術をしてあれば、再燃してもステロイドで短期間治療を行って鼻ポリープが縮小すると、また嗅覚がもどりやすいです。