地味に終活はじめました!

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新米入荷

2020-09-18 16:11:01 | 日記

9月になって、
米櫃の「残量少」LEDが点いた。
そこで先週、
土曜日が特売日のスーパーへ出掛けた。
食通ではないので特に銘柄に拘りはないが、
扱いなれたコシヒカリが目当てだった。

しかし、
大量に積まれていたのは「おいで米」!
おいで米も美味しいけれど、
コシヒカリと同じ量の水では、
少し硬めに炊き上がる様な気がする。
ここのスーパーでは毎週土曜日、
コシヒカリと、おいで米が交互に安売りなので、
来週、もう一度出直して来ようと思った。
しかし良く見ると、
「地域限定こしひかり」を発見!
「これだ」と思って買ってしまったが、
これは実は、
過去にも一度同じ間違いをしていた事に、
家に帰ってから気が付いた。
以前も「地域限定=地元の産物⇒安価」
と、勘違い!
実は、普通の「県内産コシヒカリ」が、
安売りの品だったのだ。

稲作農家が丹誠込めて作ったお米に、
文句を言う積りは決してない。
しかし、この地域限定品は何と、
あの有名ブランド!北海道の、
「ななつぼし」よりも高値なのだ↓↓

この前、米を買ったのは3月に10キロで、
という事は1年に20キロ!金額にして、
年間9千円近くも食って終う事になる。
消費目標は年10キログラムに抑え、
予算は税込み2千円以内にしたい。

以前は?標準?何とか米?とかいう?
コシヒカリなんかよりずっと格安のを、
スーパーで見掛けたのだが最近は、
何所のスーパーにも何故か、
比較的値段の高いのしか置いてない。

味覚音痴なので、
コシヒカリ、ササニシキ、etc、
味の違いは分からないから、
来年からは安価な米を選んで購入するか、
米より安価で、少量で空腹を満たせる
食品に乗り換える必要がある。

齢を取ると、
もう何か格別美味いものが欲しい
と、いう訳でもない。
それなのに食欲を抑えられない。
若い頃だと、
忙しかったり夢中になると、
1、2食抜いても平気だった。
ところが齢を取ると、
三度の食事が面倒なくせに、
空腹を我慢出来ない。
齢を取ると卑しくなるのだろうか。
終活が何か悟りを開くという事なら、
日々、食欲というものを捨てて、
霞を食べて過ごせる様になりたいものだ。

ところで米というと、
春から秋に掛けて、
灌漑用パイプラインの水当番がある。
稲作をしていなくても、
パイプラインが通った
耕作地を持ってたら当番が回って来る。
去年は1日だったのに今年は先月、
人手が無いのか2日間、当番だった。
で、この当番何をするのか?
私はもう10年以上前から、
出てはいるのだが
実際にはやった事が無かった。

(後で聞いた話でも当番を
「実際にする」
と、いうのは珍しい様だ)

この仕事、
大方の事は水利の世話役がやってるので、
雨の日や、
池の貯水量が多い日は何もしなくてよい。
ところが今年は梅雨明け後、
台風10号が来るまで降雨らしいものが無かった。
そこで当番の日、
溜池の下にあるポンプ小屋に行くと、
案の定
「よろしくお願いします」
と言われた。

「ちょっと待ってや。
 ワシ、何をしたらエエか知らんで」

「ええぇ・・・」
と、世話役は呆れ顔。

そして、
教えられた通りに午後6時になると、

「川上で堰き止めてある板を外して、
パイプライン取水口へ向かう水路に水を流す」

・・・だけの筈が、
水量が多く水圧で板が持ち上がらない。
「はて困った」と思ったが、
横に有った鍬を引っ掛けてこね回したら、
何とか持ち上がった。

次に・・・、

「パイプラインへ向かう、
水路の入り口に溜まるゴミを掬い上げ取り除く」

流れて来るゴミの大半は藻や水草だが、
ペットボトルや時世柄か、
使い捨てのマスクやポリ手袋等も流れて来た↓↓

 

↑↑水路には、
30センチ程に巨大化したミドリガメが2匹。

そういえば、冒頭で「高い買い物だった」
と、私が愚痴った「地域限定こしひかり」の、
生産地域は私の地区より遥かに川上なので、
水もきれいで本当に美味しいお米なのだろう。

・・・・・
序に、前々回のブログで描くのを忘れたもの。
来年の夏に忘れてしまっていない様に、
ここに書いておく↓↓

↑↑ゴーヤとアサガオの蔓を撤去していたら、
葉の裏に大量の害虫の卵を発見!!
ヨトウムシの卵だろうか???
時期の終わった植物は、
害虫防除を考慮に早めに撤去した方が良い!

それともう一つ、
酷暑のこの夏、
電気代ケチってエアコン点けなかったら、
熱中症になる前に、
あせもか何かで背中に猛烈な痒みが発生。
毎晩夜中に、
手が届かない背中が痒くて眠れなかった。

コメント (4)
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シェアハウスの住人達

2020-09-12 16:25:12 | 日記

 台風一過後、朝外に出ると色々な家の部品が落ちている。
それは何時も自宅の物もあれば他所の物もある。
「あんた所のがうちに飛んで来てたよ」と、
近所の人が持って来てくれても例えば明らかに、
貧相な拙宅のとは違う立派な外壁の一部という事もある。
 致命的な住居の破損は修理の必要があるが、
そうでない場合、経済的理由の他に兎に角、
先が見えつつある、
私の寿命を考慮して軽微な部品の欠損は放置している。

さて例によって?昨夜見た夢の話・・・。

 私は何処かの町のシェアハウスに住んでいた。

 共用のリビングダイニングで大学生のS藤君が、
唐突に誰にともなく言った。

「幸子さん、遅いですね」

「S藤君は幸子さんの事が気になるのね」

 それを聞いて、
恵子さんがニヤニヤ顔でS藤君に言った。

 幸子さんは二十、五六歳で、
恵子さんは四十歳前後風に見え、
二人とも夫婦でここに住んでいる。
 幸子さんの夫は営業マンで何時も帰りが遅い。
恵子さんは夫と同じ役場に勤める共働きで、
何時もは二人とも略定時に帰宅するが、
この日、夫君の雪雄さんはまだ帰っていない様だった。

「ちょとそこまで見て来ます」

 恵子さんはS藤君をからかいながらも、
「少し心配だ」という風な顔をこちらに向けるので、
成り行き上、私はそう言って立ち上がった。

 専業主婦の幸子さんは夕方、
ここの住人の食事の準備が終わった後、
「その辺りを少し歩いてくる」と言って、
10分足らずの時間出掛ける事が時々ある。
幸子さんは近々おめでたで、
大きなお腹を抱え、ゆっくりと動くけれど、
何時も何事もてきぱきとこなす人だ。

 玄関前の路地を曲がり通りに出た所で、
私は芽依に出会った。
 芽依ともう一人香音という女子高生は、
大家のK谷さんの孫で三人はシェアハウス隣の
敷地二百坪ほどの屋敷に住んでいた。

 芽依と香音は従姉妹同士と聞いた。
聞くところによると、
香音の両親は海外赴任で彼女を大家宅に預けた。
それを親族の集まりの際、
同じく海外赴任の結菜の両親が聞き、
「それじゃあうちの子も」
と、いう事になったと聞いている。
 香音はいかにも優等生といった風で、
挨拶も彼女の方から積極的にして来る。
 芽衣の方は、私には少し不良っぽく見えたが、
ある切っ掛けから彼女とよく話をする様になり、
「これが今時の普通の女の子なのかな」
と、思うようになった。

「遅いじゃあないか。
 香音さんはもう随分前に帰ってるぞ」

 私が芽依に声を掛けると、
芽依は少し睨んだ様な何時もの素振り見せ、
何か言い掛けたその時、

「あら、ごめんなさい。そこの公園で、
 芽衣さんと話し込んでたら遅くなっちゃった」

と、幸子さんの声がした。声の方へ振り向くと、
幸子さんは角の郵便ポスト脇をこちらに歩いて来ていた。

 夕食の食卓で、恵子さんが言った。

「S藤君が幸子さん遅いって、凄く心配してたわよ」
 
「すみません」

「おいおい、そんなに若者をからかうものじゃない」

雪雄さんが言った。

その場に加わることもなく、
黙って会話を聞いていたS藤君が立ち上がり、

「お先に失礼します」

と、そそくさと自室に引き上げた。
そんなS藤君の態度は何時もの事で、
自分も若い頃はそうだったと、私は思った。

「ところで、
 幸子さんは来月になると実家に帰るんでしょ。
 食事はどうしましょうか」

と、雪雄さんが切り出した。
 私はその件は各自、
自分で用意すれば良いと思っていた。
というのも
このシェアハウスは、
元々アパートだった建物を改装したもので、
各部屋には、
簡単な調理が出来るIH調理器が備わっているからだ。
 K谷さんの主人が生前、
「これからはシェアハウスだ」と、
若い独身女性や女子大学生の入居を当て込んで、
建物の一階部分を共用スペースにリフォームした。
そして、
時流に乗った積りだったがそう上手く行かなかったらしい。
今のところ、1LDKタイプの4部屋は我々で満室だが、
残りの1ルームタイプの3部屋は随分前から空き部屋状態だ。

「いいわ、私がやるから。
 今まで幸子さんに任せっぱなしだったから」

「あっ、すみません」

「いいのよ。
 幸子さんは育児とか大変になるから。
 これからは私も手伝う様にする。
 部屋(自室)だと出来るのは、
 精々インスタント食品冷食で、
 ちょっとした料理でもするとなると、
 やはりここでないと駄目だから。
 S藤君のお母さんだって、
 食事が出るから安心だって言ってたし」

 雪雄さんの如何にも「お前がやれよ」みたいな顔付に、
恵子さんはそう答えたのだろうか。
そこで、ふと私は二人が務める役場の何所かで、
『男女共同参加』の啓発ポスターを目にしたのを思い出し、
後でこの夫婦が喧嘩なんかしないかと、余計な心配をした。

 幸子さんが実家に帰って数日後、休日の朝、
私が玄関前の植木を剪定しようと準備を始めていたら、
「S木さん」と、声が掛かった。
(夢の中で私の名前はS木らしい)

 振り返ると香音と芽衣が居た。
彼女たちの仲の良し悪しは知らないが、
二人一緒というのは珍しい。
朝は最寄り駅まで二人一緒に出かけているが、
通う学校が違うので、毎日基本殆ど別行動の様だ。
この日、二人はコンビニからの帰り道だった。

「S木さん、あの家の様子がおかしいと思います」

と言う香音の視線を追うと、
つい最近まで、M本さんという老人が独りで住んでいた家だ。
M本さんは歩行が困難になり施設に入所したと聞いている。
 通りに面したその家を路地から窺うと2トントラックが止まり、
家の中から運び出した家具や家電製品を積み込んでいた。
 今、積み込みを行っている男の一人が、
窓ガラスを割って家の中に入るのを芽衣が見たらしい。

「どうかしましたか」
と、雪雄さんと、

「幸子の実家に行くので明日から産休取っちゃいました」
と、幸子さんの夫君の拓也さんが一緒に出て来た。

 雪雄さんは、
「どうしましょうか」と言う風な顔を私に向けるので、
相当一生懸命、如何すれば良いかを私は考えた。

「M本さんの入所先に電話してM本さんに聞いてみましょう。
 多分、大家さんがM本さんの入所先を知ってると思うから。
 それと息子さんと娘さんの連絡先も分かるかも・・・」

 そして私は香音と芽衣に、

「お祖母さんに聞いて来て」

と言った。

 程無く香音がメモ書きを持って、小走りで戻って来た。
大家のK谷さんも芽衣と一緒に少し遅れてやって来て、

「M本さんはねえ。○○荘にいるよ」 

と言った。

「○○荘ですね。○○荘、電話番号、・・・」

 雪雄さんはスマホのAI検索、音声認識機能を使い、
素早くM本さんの入所先に電話をする。

「M本さん本人と話が出来るそうです。
 あっ、はい。そんな話は聞いてない・・・」

 雪雄さんが電話でやり取りする様子を見ながら、
私は「やはり公務員の仕事ぶりそのものだなあ」
と、思い眺めていると、
今度は拓也さんが、

「M本さんが知らないって言うのなら、
 俺、息子さんの方に電話してみる」

と、香音が差し出すメモ書きを覗き込みながら、
素早くスマホを操作し電話し始めた。
そして二人は、
「息子さんも知らないから、
 これはもう警察に通報」
という結論に達した様だった。
 そこで自分だけが、
この場に参加していないと気付いた私は、
自分も何か行動して見せないと体裁が悪いと感じた。

「ちょっと見て来ます」

 私はそう言って、
精一杯の速足で路地を抜けM本さん宅の前に行った。
そして、
丁度トラックの運転席に乗り込もうとした男に声を掛けた。
そして多分そういう風な結果になるだろうと思った通り、
「頼まれただけ」と軽くあしらわれた。
私は去っていく車のナンバーを覚えようと、相当な努力をした。

 直ぐに来ると思っていた警察は、
少し時間が経ってから来た。
車のナンバーや犯人たちの特徴は、
香音と芽衣の二人がしっかりと覚えていた。
私たちはやって来た警官に、
事の経緯を説明してその日は昼になった。

 後日、M本さんの息子さんが、
菓子折り持参でシェアハウスに来た。
 息子さんによるとあれから直ぐ、
雑に積み込んで積み荷が落ちそうなトラックを、
交通指導中のパトカーが発見。
注意を促そうと停車を命令して車のナンバーを照会したら、
「お前たち、ちょっと待て」と、いう事になったらしい。

 笑い顔で息子さんは話を続けた。

「ピッキングで玄関が開かなかったそうですが、
 実は玄関口は家が古くて立て付けが悪く、
 きちんとドアを閉めると容易に開かなくなってまして。
 だから親父は何時も戸締りをせず半開きにしてて、
 それを不用心だと私たちは言ってたんです。
 それがこの前は、逆に功を奏して・・・」

 さらに、
家財道具は処分するのも大変なので、
欲しい人が引き取ってくれるのは願ったりだが、
勝手に持ち出されるのは腹が立ち不愉快だ。
「今回そんな嫌な思いをせずに済んだのは、
皆さんのお陰です」と、息子さんは付け加えた。

 やがて半月程して、
Y田さん一家がシェアハウスに帰って来た。
幸子さんが何時もの明るい笑顔で、

「私がいない時、凄い事があった様ね」

と、抱き抱えた赤ちゃんの顔を、
こちらに向ける様にしながら言った。

「そうなんです。香音さんと芽衣さんが」
と、言い掛けながら私の目は覚めていった。

↑↑CG RailSim2 朝霧邸、作者:モッティ

・・・・・
先日地区の川ざらえ、休憩中に話の流れで私が、
「一軒家に独り暮らしは不経済非合理的で馬鹿らしい。
独りなら車上生活で十分だ」と言ったら、
「いくら何でもそれは、トイレとか風呂とか不便ですよ。
やはりワンルームのアパート辺りが良いですよ」

それから数日後、特売日のドラッグストアでレジを通り、
買い物袋に買った物を詰めていたら横で、
20代と40前後に見える年齢の女性が立ち話をしていた。
若い方の女性が、
「姉から電話が有るまで私も気が付かなかったのだけど、
実家に行って見ると家具や家電が無くなってました」
と言っていた。

またある人からは、
「GO TO トラベルから帰ってみると、
家財道具がきれいさっぱり持ち去られていた。
目撃者は白昼堂々と持ち出しているのでてっきり、
引っ越しだと思っていたという」と、そんな話を聞いた。

そんなところで見た夢なんだろうか。

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2020年の夏季園芸のまとめ

2020-09-06 16:18:25 | 日記

脚立作業が危なくなって来たので、
ゴーヤは今年で止める事にした。
白いゴーヤを初めて作った↓↓

↑↑苦くないと聞いたが、
確かに苦くは無いが殆ど無味で、
普通のゴーヤの方がましだと思った。
(『生食OK!甘いゴーヤ』は、
苗の¥が800円と高価)

毎年勝手に朝顔が生える。毎年、花の色は下↓↓
 

↑↑写真左の青っぽいのか紫っぽいのが咲いていた。
それが今年突然、赤に白のストライプ文様が現れた。
何でだろう。

うちの入り口にプランターが放置状態。
先日、
向かいの小母さんが自分ちに植えた余りなのか、
日日草を二つ植えていた。

日日草と言えば以前、
(日日草も種が落ち翌年の夏に花を咲かすが)
このブログに毎年咲く花の色が、
「年々薄くなって行く様に思う」
と、書いたが私だけの個人の感想なのか?
そこで向かいの小母さんにも聞いてみたら、
やはり年々、薄くなると、言った↓↓

   ⇒ の様に変わっていく。
何でだろうと、ネット検索して調べてみたが、
結局、分からなかった。

*その他、この夏の花
ダリア咲の百日草、矮性ヒマワリ、矮性コスモス

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(続)秋風の中で見た夢

2020-09-01 06:38:58 | 日記

 *早暁*

(夢の続き)
 三日後の午後、私は未だ来ない里奈を駅で待っていた。
その朝、

「今日は身の回りの物を取りにマンションに帰る。
 マンションは引き払うが、
 こちらに出て来たら使うから、ここは借り続ける。
 二三箇所顔を出して置きたい所もあるので、
 あなたは適当な時間までここに居れば良い」

と、彼女は言った。

 「ここに居ろ」と言われても、
支配人や従業員の私に対する態度は、
「我儘な上得意客が勝手に連れ込んだ男」
なので、里奈が居ないとここは居心地悪い。
何所かで時間を潰すにしても文無しだ。
「一緒に行動出来ないか」と言うと、

「馬鹿ね。子供みたいな事言わないで。
 クライアントの所まで付いて来る積り」

と話を畳み掛けられた。

 何方にしても、
そう早い時間にはここを立てそうにない。
それならと移動プランは、
鉄道ファンなら憧れの寝台特急を提案した。
 里奈はあまり乗り気な様子ではなかったので、
「女の子にも人気があり普段は予約するのも難しい。
今ならこのご時世だから『Go to トラベル』中でも、
当日でもチケットは取れるに違いない」
と、一生懸命説明した。
 そしたら一応納得した様子で、
また予約の手配をさせられるのかと思ったが、
今度は里奈が自分でエージェントに電話をした。

 ホテルを出る時、

「お金持ってなかったわね。
 これで洋服でも買って時間を潰してなさい」

と、里奈は上着のポケットから、
黄色い大きな札入れを取り出した。
そしてタクシーに乗り込みながら、

「直ぐに迷子になるのだから、
     タクシー使ったら」

そして笑い顔で付け加えた。

「間違って、
 きさらぎ駅行に乗っちゃあだめよ」

(そうだ、何時もの夢のパターンだと、
ここで幽霊電車に乗ってしまったりする。
「注意しろ!」と、
夢を見ている私は夢の中の私に言った)

 ホテルから見える最寄り駅は、
大丈夫みたいだから脇目も降らず、
只管そこまで歩く。
聞くは一時の恥だから聞いてみる。

「あのお、この電車大丈夫ですよね。
 きさらぎ駅なんかに行ったりしませんよね」

「ええ大丈夫ですよ。
 きさらぎ駅行くのは良く見れば分かるんですよ」

「えっ、見て分かるんですか」

「ええ、先ず乗客が全然乗って居ない。
 これ間違いなく、きさらぎ駅に行きます。
 それと乗客乗って居ても数人と少なくて、
 全員マスクをしていない」

と言って、外回り中の会社員に見える風貌の男は、
自分の鼻から顎までを覆う大きなマスクの上を、
軽く手で叩いた。
 先刻、里奈との別れ際に財布と一緒に、
渡されたマスクをしていて良かったと思った。

 電車が動き出してから人目に付かない様に、
こっそりと、
里奈から渡された財布の中を覗いてみた。
 あの時「全部渡すと危ないから」と、
ごっそりと分厚く紙幣を抜かれたが、
それなりの枚数は残っていると思っていた。
しかし残っていたのは数枚の紙幣だった。
これでは服を買うにも大した物は買えない。
 カード類も数枚入ったままになっているが、
免許証、保険証の様な物は入っていないので、
名前が「K埼里奈」という以外、
未だに私は彼女の事を何も知らない。

 会社員風の男は話好きなのか電車に乗っても、
適当に間を空けて座席に座っているのに、
しきりに話しかけて来た。

「電車に乗る時は気を付けないと。
 乗り慣れてる者でもうっかり、
 きさらぎ駅に行く電車に乗ってしまうんです。
 この間も、
 うちの娘の友達がきさらぎ駅に行ってしまって、
 親御さんたち、連れ戻すのが大変だったそうです」

「そんなに間違って乗る人多いんですか」

「ええ、でもきさらぎ駅なら未だ何とかなる。
 それより先まで乗ってしまうと・・・、
 そこから先は、
 行って帰ってきた人が居ないので・・・。
 あっ、私はここで!
 この電車の終点は、特急の始発駅だから、
 このまま乗ってたら大丈夫ですよ」

 何とか里奈との待ち合わせ駅に辿り着いて、
彼女の言付けに従って駅ビル内で、
服を物色してたりして時間を潰そうとした。
里奈が私に服を買う様に言ったのは恐らく、
これから旅行なのに上着が無いからだろう。
 今の私の服装はホテル滞在中、
「襟が無いのはNG、素足はNG」
と里奈が用意した物だ。
アマゾンの箱が届き、
「これがここに居る時の最低の服装」
と、着替えを強要された。
そんな訳で私は普段服装身なりに、
それ程注意を払って無い為、
上着一つ選ぶにしても、
随分時間を使ってしまった。

 こちらが十分時間を潰していても、
     里奈は一向に姿を見せない。
 やはり寝台特急が気に入らなくて、
      気が変わったのだろうか。
 里奈は普段、
旅行の移動には何を使うのだろうか。
 プチセレブっぽいから彼女だから、
ヒコーキのビジネス???ファーストクラスとか。
プライベートジェット何かじゃあないだろうなあ。
「本当の金持ちはファーストクラスは使わない」と、
知った風な内容のネットの記事を読んだ事もあるし。
 そう云えば、
何所かネットカフェか何かに入って検索すると、
案外、
「K埼里奈」のキーワードで何か出て来るかも知れない。
 専らホテル住まいと思っていた里奈が、
マンションを持っていた事も初耳だ。
「仕事の事はエージェントに任せて置けば良い」
と言いながら態々、
「顔を出して置きたい所」というのも気になる。
 里奈はクライアントと言っていたが、
スポンサー、パトロンの類ではないのか。
 ホテルでの里奈の待遇は、
単なる上得意客と云うよりVIP待遇の様だった。
実家一族がホテルの経営に関わっているとか、
親が資産家であるとか・・・。

 そんな風に、
妄想詮索が大きく膨らみ始めた頃、
漸くエントランス外の淡い照明の中に、
キャスター付きの、
大きなキャリングケースを引いた
     里奈の姿が現れた。                             

 此間の仕事を、                                      
クライアントが大変気に入っていたと、 
里奈は上機嫌だった。

「里奈ちゃんの仕事って何」

 ちょうど好い機会だと聞いてみると、
彼女は肩にかけたショルダーバッグから、
スケッチブックと何か色鉛筆の様な画材を取り出し、
ベンチに座っている私の横にぴったりと超密に座った。
彼女が横に居ると芳しい香りが漂う。
 里奈は何か知らないが、
流行アニメのキャラクターの様な絵を描いて見せた。
その出来栄えは、完全にプロが描いた作品だった。

「里奈ちゃんは、
 もしかしてアニメーターとかイラストレーターとか」

 しかし彼女は私の問いに答えず立ち上がり、

「ゴメン、ちょっとここで待ってて。すぐに戻るから。
 ここ、動いちゃあ駄目よ。あなた直ぐに迷子になるから」

そして続けた。

「ぼんやり座って待ってるだけじゃあ駄目よ。
         ちゃんと、これ見ててね」

 しかし私は、
言付けられた里奈のキャリングケースよりも、
スケッチブックの絵の方に見入っていた。
 夢が覚めて仕舞えば全部終わりだけど、
せめてこの絵を現実世界に持ち帰れないものか。

「あら、上手に描けているわねえ。あなたが描いたの」

 少しのんびりと聞こえる声が頭の上から聞こえた。
   顔を上げると上品な老婦人が立っていた。
結構なお年寄で大きなマスクが顔を隠しているが美人だ。
里奈も美人だけど、このお婆さんは気品が漂っている。

「私も描いてみようかしら。それ貸して下さる」

「ありがとう」
と、お婆さんは私から画材を受け取り、
ソーシャルディスタンスを十分に取って座った。
そして、あっという間に絵を描き上げた。

「はい」
と言って渡された絵を見て私は息を飲んだ。
 凄い!里奈と同じ様な
アニメ、少女漫画のキャラクター風の作品だが、
素人目にも全くレベルが違った。
里奈の絵はプロが描いた作品というだけだが、
このお婆さんの絵は芸術作品、次元が違うと思った。

 お婆さんが描いた絵に、
すっかり見入ってしまって気が付くと、
     そこにお婆さんはもう居なかった。
そしてそこには両手に一つずつ、
ストローの付いた飲み物のカップを持った里奈が立っていた。

「はい」
と、里奈がカップの一つを私に差出し、
横に座ろうとした時、彼女のポケットから音がした。

「あっ、S本さんだわ。もしもし、うん今、駅よ」

 周囲の人も疎らで閑散として静かだからか、
スマホから相手の声が漏れ聞こえた。

「ところで彼、大丈夫なの。
 何時かみたいに、
 騙したのはお前だろう、訴えてやる!
 って、逆切れされても知らないわよ」

「大丈夫よ。彼はそんなに悪い事出来ないわ」

「そうね。見るからに小心者だから、
 大それた事はしそうにないねえ」

「あれS本さん。彼のこと知ってるの」

「この前、一緒だった人でしょ」

 そう云えば何時かホテルのロビーで、
里奈が話していた中年女性と目が合った事がある。
あの人が里奈のエージェントだったのか。
そう云えば一昨日エージェントと電話で話した時、
「あなたも大変ねえ。精々上手くやりなさい」
みたいな意味深な事を言っていた。

「それに頭鈍そうだから、
        悪い事も思い付かないかな」

「酷い!そんなに彼をディスらないでよ」

 私をイジっては盛り上がり、二人は大笑いしていた。
里奈は態と私にこの電話を聞かしていた様な気がした。
 私は「聞き耳なんか立ててないよ」とばかりに、
もう一度スケッチブックを開いて二つの絵に見入った。
夢が覚めても何時迄もこの二つの絵を忘れずにいたい。

 何時の間にか私は芳しい香りに包まれていた。
気が付くと、
里奈は私が手にするスケッチブックを覗き込んでいる。

「この絵!どうしたの」

「誰だか分らないけど上品なお婆さんが描いてくれた」

「○○先生だわ」

「何先生か知らないけれど、
 里奈ちゃんの絵見て、良く描けてるって褒めてたよ」

「○○先生は私の絵を褒めたりしないわ。
 褒めてたのはあなたが描いたと思ったからよ。
 いいなあ、先生に絵を描いて貰えるなんて。
          私、この絵欲しいなあ」

「この絵欲しい」と言っても、
元々スケッチブックは彼女の物だ。

「兎に角、
 絵を褒めてくれて描いてくれたのだから、
 良い思い出になったじゃあないか。はい!」

里奈にスケッチブックを返した。

「ありがとう」

「ところで、あのさぁ」

 何とか話を元に戻そうと私は試みた。

「俺の田舎に行くのは好いけど、
 里奈ちゃんは家族とか、
 お父さんお母さんは居る・・・、
 あのぉ、ご健在・・・」
 
「両親はもう亡くなって居ない。
 五才年上の姉と七才年上の兄が居る」
と、里奈は答えた
兄も姉も教員だそうで、それが私には意外だった。

「姉貴は音楽の先生、口うるさいわよ。
 兄貴は体育の先生、空手やってて怖いわよ」

 それを聞いて私が少し不安な表情を見せると、
彼女は可笑しいという様な仕草をしながら、

「気にしなくても良いわよ。二人とも、
 里奈は里奈の好きな様にすれば好い
        と、言っていたから」

「それって、厄介者の妹を勘当とか・・・」

 里奈の機嫌が良いので
つい軽口を言い掛けて「しまった」と私は思った。
しかし、彼女は怒る事も無く真面目な顔をして、

「そうかもしれない」
と言った。

そして里奈は辺りを見回し、
「ところで」と云う様な表情を見せた。

「ねえ、電車はまだ来ないの」

「もう来てる頃なんだけど、あれかな」

 今当に入線中の列車は暗闇の中に小さく見えた、
ヘッドライトの光が見る見るうちに大きくなり、
後に続く車両の窓の明かりが帯の様に連なっていた。
その様は、まるで流れ星の様だ。
 その一群の光が目前のホームに滑る様に入って来た。

「違うなあ」
 地方のローカル線を走る車両と違い、
都会を走る電車はどれも最新の車両を何両も連結している。
しかし、
この電車は通勤・近郊用で長距離を走る電車の様には見えない。

「もう、頼りない」

「あっ!あれだ」

 もう一度辺りを見回すと向こうのホームに、
早暁をイメージしたカラーリングの車体が、
       ホームの照明を受けて輝いている。
各車両の乗車口には乗務員が立ち、
    乗客に丁寧にお辞儀をして迎え入れていた。

「凄い!私たちの電車、二階建てね」

 里奈は眼を輝かせて言った。
 これからこの電車も、
流れ星が宇宙の暗闇に輝く星と星の間を高速で飛ぶ様に、
日出まで暗闇に点在する町灯の間を走り抜けて行くのだろう。
 日出の車窓を見て、
期待通りのインスタ映えする風景だと、里奈は納得するだろうか。

「さあ行こうか」

 私は立ち上がり、ふと気が付いた。
「こういう時は荷物は男が運ぶものではないのか」
私が里奈のキャリングケースに手を伸ばすと、
彼女は一瞬躊躇う仕草をしたが直ぐに、
「やっと分かった様ね」という風に、勝ち誇った顔を見せた。

 そして、
里奈が立ち上がり私の腕を掴んだところで目が覚めた。
             
 

コメント (2)
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