地味に終活はじめました!

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フローレット、五色バナナ

2011-06-12 22:24:00 | インポート
 バス停の脇に路地を挟んで、小さな社か堂の様な建物があった。
路地の奥から、男の子と女の子が2人、それに続いてお婆さんが、
大き目のレジ袋を提げて出て来た。

 孫を連れての買い物帰りにも見えたけど、お堂の前で立ち止まった
お婆さんは、レジ袋から駄菓子を取り出し子供たちに与えていた。
そしてこちらを見て、「おおーい、あんた」と、手招きをした。

 辺りを見回し「さて、自分に掛けられた声なのか」と、
そんな素振りの私を見て、
もう一度「あんた、これ」と、お婆さんは言った。

 「これはお供えじゃきん、あんたも持って帰り」

 お婆さんの手にあったのは、袋入りの駄菓子。
それにしても、小さな子供たちの前でお菓子を貰うのはどうも、
ばつが悪いような気がするが、かといって「要らない」とも言えない。

 受け取った袋をその場で開けて、一つを口にしてから、
「はい、どうぞ」と、男の子の顔の前に突き出した。
躊躇う素振りの男の子に「貰いさい」と、年長の女の子が言った。
 振り返ると家の中にに入ったのか、そこにお婆さんはいなかった。

 雨がほとんど、降っていないのに気が付いて、
   慌ててその場を立ち去った。

・・・・・

 橋の所まで来て、
自転車の前篭に放り込んだ駄菓子の袋を、改めてよく見た。
 賞味期限切れでないのを確かめて、先程口にした時は、
妙に酸っぱく感じたのは、気のせいだったのかと思いながら、
もう一つ口に入れたら、薄荷の味の口の中に広がった。
コメント
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