会社帰りに鈴本演芸場へ行きました。
今日(21日)から30日までの四月下席(しもせき)で金原亭伯楽師匠がトリをとっておられるので、それをお目当てに。
仕事を定時であがって上野広小路にかけつけ、着いた時にはちょうどお仲入り(休憩時間)。
お仲入りからの入場なので、木戸銭(入場料)も割引されて2000円(通常は一般2800円)になっていました。
お仲入りからだと終演まで残り1時間ちょいなので、歌舞伎座の一幕見と比べると時間的には割高なのかもしれませんが(笑)。
でも、伊藤夢葉先生のユーモアたっぷりの奇術、五明楼玉の輔師匠の軽妙な新作落語、翁家和楽社中の鮮やかな太神楽曲芸、そしてお目当ての伯楽師匠と、たっぷり楽しめたので、決して高いとは思いません。
金原亭伯楽師匠は、10代目金原亭馬生師匠(3代目古今亭志ん朝師匠のお兄様)のお弟子さん。
メディアにはほとんど露出されませんが、寄席の常連なら知らない人はいない、大ベテランの師匠です。
寄席で長年にわたって芸を磨いてこられた、真に「寄席の寸法に合った」芸人さんだと思います。
トリでじっくりと聴くのももちろん良いし、間にはさまったところで軽い噺を聴いても十分楽しませてくださる。
こう書くといかにも普通のように見えるかもしれませんが、これって実はかなり大変なことだと思います。
そしてこういう人が、今の寄席には意外と少ないのです。
トリをとると大ネタをふるいたがるけど間にはさまって軽い噺をやるとちっとも面白くない若手の噺家さんとか、ホールでの落語会でお客をたくさん呼んでいるけど寄席では空気読めないベテランの噺家さんとか、ザラにいますから。
メディアに出たり、ほうぼうの落語会で若いファンをつかんで落語をメジャーにしてくれる方たちの存在は、もちろん価値があるのだとは思います。そういう方たちが落語の「裾野」を広げてくださっているのでしょうし。
でも、寄席を大切にし「寄席のお客」を真に楽しませてくれる噺家さんたちの存在もまた不可欠だと思いますし、そういう方たちがきちんと評価される寄席であってほしいと思います。
とまあ、前置きが長くなりましたが、伯楽師匠が今日披露してくださった噺は「宮戸川(お花半七なれそめ)」でした。
友だちと将棋をさしていて帰宅時間が遅くなり締め出しをくってしまった半七と、友だちの家でカルタ取りをしていて遅くなり締め出しをくってしまったお花。
半七は霊岸島のおじさんの家に泊めてもらうことにしますが、お花は近くに泊めてもらえるような親戚がいないので一緒に霊岸島へ連れて行ってほしいと頼みます。
こんな夜中に女性を連れて行こうものならおじさんに二人の仲を誤解されてしまう、ただでさえおじさんは早合点してしまう人なんだからと、半七は必死で断って逃げるのですが、とうとうお花は霊岸島までついてきてしまいます。
案の定おじさんは早合点して二人の仲を勘違いし、気を利かせたつもりで二人を二階に上げます。
そのうちに雷が鳴ってきて……。
ここまでが「宮戸川」の前半部分(お花半七なれそめ)なのですが、現在の寄席ではこの前半部分のみ口演されるのが一般的です。
若い二人の初々しい様子と、この先「かかあ天下」になりそうな気配が漂ってくる(笑)、微笑ましい一席です。
半七とお花を二階に上げた後、階下では老夫婦が昔話に花を咲かせるのですが、伯楽師匠のはこの場面がとてもいい感じなのです。
この噺の中では、老夫婦のかたわれ、すなわち半七のおばさんが、いわゆる「ボケ役」として描かれています。
天然ボケでピントのはずれたことを言って噺を面白くする役回りですが、そこに重きを置きすぎてクスグリに力を入れてしまうと、単なる「空気読めないバアサン」にしか見えなくなってしまい、噺の世界がくずれてしまいかねません。
そして残念なことに、そんなふうに陥ってしまう噺家さんが多い気がします。
でも伯楽師匠は、そのへんをきちんと押さえて、本当に「ほどよく」なさっているのです。
「若い二人をほほえましく見つめ、昔の自分の姿を重ねあわせてなつかしむ、ちょっと天然ボケだけどほんわかしているおばあちゃん」という雰囲気がすごくよく出ていて、素敵です。
おばさんの「ボケ」はあくまでもエッセンスにとどめ、若い二人を見て昔の自分たちを思い起こしているところを丁寧に描いておられるからこそ、噺が生きてくるのだと思います。
縁があって夫婦になり長い年月を共にしてきた夫婦と、これから縁が始まろうとする若い二人。
その間に流れる時間がうまくつながっていくような、味わいのある「宮戸川(お花半七なれそめ)」でした。
今日(21日)から30日までの四月下席(しもせき)で金原亭伯楽師匠がトリをとっておられるので、それをお目当てに。
仕事を定時であがって上野広小路にかけつけ、着いた時にはちょうどお仲入り(休憩時間)。
お仲入りからの入場なので、木戸銭(入場料)も割引されて2000円(通常は一般2800円)になっていました。
お仲入りからだと終演まで残り1時間ちょいなので、歌舞伎座の一幕見と比べると時間的には割高なのかもしれませんが(笑)。
でも、伊藤夢葉先生のユーモアたっぷりの奇術、五明楼玉の輔師匠の軽妙な新作落語、翁家和楽社中の鮮やかな太神楽曲芸、そしてお目当ての伯楽師匠と、たっぷり楽しめたので、決して高いとは思いません。
金原亭伯楽師匠は、10代目金原亭馬生師匠(3代目古今亭志ん朝師匠のお兄様)のお弟子さん。
メディアにはほとんど露出されませんが、寄席の常連なら知らない人はいない、大ベテランの師匠です。
寄席で長年にわたって芸を磨いてこられた、真に「寄席の寸法に合った」芸人さんだと思います。
トリでじっくりと聴くのももちろん良いし、間にはさまったところで軽い噺を聴いても十分楽しませてくださる。
こう書くといかにも普通のように見えるかもしれませんが、これって実はかなり大変なことだと思います。
そしてこういう人が、今の寄席には意外と少ないのです。
トリをとると大ネタをふるいたがるけど間にはさまって軽い噺をやるとちっとも面白くない若手の噺家さんとか、ホールでの落語会でお客をたくさん呼んでいるけど寄席では空気読めないベテランの噺家さんとか、ザラにいますから。
メディアに出たり、ほうぼうの落語会で若いファンをつかんで落語をメジャーにしてくれる方たちの存在は、もちろん価値があるのだとは思います。そういう方たちが落語の「裾野」を広げてくださっているのでしょうし。
でも、寄席を大切にし「寄席のお客」を真に楽しませてくれる噺家さんたちの存在もまた不可欠だと思いますし、そういう方たちがきちんと評価される寄席であってほしいと思います。
とまあ、前置きが長くなりましたが、伯楽師匠が今日披露してくださった噺は「宮戸川(お花半七なれそめ)」でした。
友だちと将棋をさしていて帰宅時間が遅くなり締め出しをくってしまった半七と、友だちの家でカルタ取りをしていて遅くなり締め出しをくってしまったお花。
半七は霊岸島のおじさんの家に泊めてもらうことにしますが、お花は近くに泊めてもらえるような親戚がいないので一緒に霊岸島へ連れて行ってほしいと頼みます。
こんな夜中に女性を連れて行こうものならおじさんに二人の仲を誤解されてしまう、ただでさえおじさんは早合点してしまう人なんだからと、半七は必死で断って逃げるのですが、とうとうお花は霊岸島までついてきてしまいます。
案の定おじさんは早合点して二人の仲を勘違いし、気を利かせたつもりで二人を二階に上げます。
そのうちに雷が鳴ってきて……。
ここまでが「宮戸川」の前半部分(お花半七なれそめ)なのですが、現在の寄席ではこの前半部分のみ口演されるのが一般的です。
若い二人の初々しい様子と、この先「かかあ天下」になりそうな気配が漂ってくる(笑)、微笑ましい一席です。
半七とお花を二階に上げた後、階下では老夫婦が昔話に花を咲かせるのですが、伯楽師匠のはこの場面がとてもいい感じなのです。
この噺の中では、老夫婦のかたわれ、すなわち半七のおばさんが、いわゆる「ボケ役」として描かれています。
天然ボケでピントのはずれたことを言って噺を面白くする役回りですが、そこに重きを置きすぎてクスグリに力を入れてしまうと、単なる「空気読めないバアサン」にしか見えなくなってしまい、噺の世界がくずれてしまいかねません。
そして残念なことに、そんなふうに陥ってしまう噺家さんが多い気がします。
でも伯楽師匠は、そのへんをきちんと押さえて、本当に「ほどよく」なさっているのです。
「若い二人をほほえましく見つめ、昔の自分の姿を重ねあわせてなつかしむ、ちょっと天然ボケだけどほんわかしているおばあちゃん」という雰囲気がすごくよく出ていて、素敵です。
おばさんの「ボケ」はあくまでもエッセンスにとどめ、若い二人を見て昔の自分たちを思い起こしているところを丁寧に描いておられるからこそ、噺が生きてくるのだと思います。
縁があって夫婦になり長い年月を共にしてきた夫婦と、これから縁が始まろうとする若い二人。
その間に流れる時間がうまくつながっていくような、味わいのある「宮戸川(お花半七なれそめ)」でした。
色々なことをご存じで深く楽しんでおられて!!!脱帽です。
薬師寺展は徳川展よりすいていました。お背中なまめかしかった?!です。
つれ合いは「メルシー」を知らないなんて、もぐりでしょうか・・・理工は行動範囲が違うのでしょうけど。上野の帰りには寄れませんでしたので、次回是非、博物館と共に「メルシー」にも行ってみます。
歌舞伎座のお昼、十種香は奥庭がなかったのでなんだか収まりが悪い気がしました。もっとじっくり見たいなって思ってしまいました。
刺青奇偶は切なくってぽろぽろ涙がでました。中村屋さん、サービス精神旺盛で「やり過ぎ」と思うことが多いのですが、今月は「どうしてこの人がばくちをやめられないかな~それがなかったらホントにいい人なのに」って思わせる品の良さを感じました。誰にでもそんなウイークポイントがあると言うことですものね。
・・・夜ははじけておられるのかしら~?!
仁左さまはまたぴりっとすてきで。
そして玉さまは何をなさってもお上手。お三人とも、惚れ直しちゃいました。
と、だらだらすみません。
ま、たまにはそういうのもなきゃあね
楽しまれたようでよろしゅうござんした
私も近々落語デビュー出来そうです。
がんばって仕事片付けて、定時で退けるゾ~~~
落語のことになるとついアツく語ってしまい……
落語は、「演じ手」である噺家さんの個性が如実に表れますし、なかなか奥が深いですね……。
「芸は人なり」という言葉がまさにぴったりな芸能のように思います。
早稲田の演博の「六世中村歌右衛門記念展示室」は、普段は歌舞伎関連の資料などが展示されています。
なので、歌右衛門さんゆかりの衣装や小道具をご覧になるなら、企画展示(特別展示)の時にお出ましになるのがよいですよ~。
今回お出ましになれなくても、きっとまた来年もやってくださると思いますので
『十種香』は、『奥庭』と続けて上演されるほうが断然いいですよね~。
(私は、山城屋さんが人形ぶりでつとめられた『奥庭』がすごく印象に残っているので、『奥庭』大好きです)
初めてごらんになる方には、『十種香』だけだとわかりにくいんじゃないかと思いますよね。
今月の昼の部は終演時間がやたらと早かったですし、上演時間が足りないということもなさそうなので、『奥庭』までやってやれないことはない気がしますが……「諸事情」があったのでしょうか(笑)。
中村屋さん、以前はついハメをはずしちゃうようなところがありましたが、最近のお芝居を拝見していると、ほどよいところで留めているというか、よく踏んばっている感じがして、いいですよね
夜の部の『浮かれ心中』も、遊び心が随所に見られるけれど決して「おふざけ」にも見えない、ほどよい感じに仕上がっているんじゃないかと思います。
夜の部もどうぞ楽しんでらしてくださいまし~。
連日深夜残業だった昔に比べるとチームの人員も増えて断然楽チンになったので、贅沢は言えませんが。
オン・オフ切り替えて、仕事も遊びも充実するのが何より!ですよね
落語ブーム(?)の影響か、土日の寄席はかなり込み合うようになりました。
大勢のお客さんで賑わう寄席もいいのですが、平日夜の、人の少ない寄席の空気もまた格別ですよ~。
ご無沙汰しております。ichigoです。
早速ですが、来月上京するのですが、もしご都合が合いましたら、お目にかかれないかな、と思いました。
どのように連絡したら良いかと考えをあぐねておりました。
日程をご連絡したいのですが、コメント欄に書き込みするのは憚られまして…
メールを戴くか、藤娘さまのアドレスをお教え戴きますと嬉しいです。
私のメールアドレスは拙ブログのプロフィールに記載しております。
お手間を取らせてしまい、本当に恐縮なのですが、よろしくお願いいたします。
記事に関係ないことを書きまして申し訳ございません。
(人さまにお知らせすることではないのでコメントの承認はされなくてもよいですが、藤娘さまの判断にお任せいたします。)
ichigo拝
嬉しいお知らせ、本当にありがとうございます!
ichigoさまのブログのプロフィール欄から、さっそくメールをお送りさせていただきます
ぜひお目もじ叶いましたら嬉しゅうございます