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米国産牛肉問題、あきれた扇動報道

2006年01月26日 21時53分55秒 | 政治・世相・スポーツ等

先日の米国産牛肉輸入停止問題について、米国側が会見で検査官のミスを認めて謝罪した後に次のようなことを言った。「BSEはヒトに殆ど感染しない」「交通事故に遭う確率の方が高いということを日本国民に知らせたい」と。
これは当然、あまりに事実とかけ離れた危機感を持つ日本国民に、事実を教えたいという意味に他ならないが、これをフジテレビのニュースでは、言い逃れや話をそらしたものだと糾弾するような報道をしていた。

そのニュアンス的には「危険なものを輸出しといてなんだその言いぐさは」というものに感じられた。しかし、彼の言う交通事故の方がよっぽど危険だというのは事実だ。確かに謝罪する場で言うことじゃないのかもしれないが、日本の基準が異常に厳しいことと、米国産牛肉がどれだけ危険なのかを知らない国民が多いことは事実だ。そもそも、今回日本に来た牛肉は、なにも食用に耐えないようなモノじゃない。アメリカ国内用の基準はちゃんと満たしているし、彼らは普通にその肉を食べているのだ。
いかにも食べられないようなものを寄越したようなニュアンスで伝えているが、そういったところまでフォローして欲しいなぁと思って見ていた。

私も良く言うことだが、牛肉を怖がって車を怖がらない、輸入停止を求めて車禁止を求めないのは全く辻褄が合わないし、この発言自体はとくに間違ってはいない。むしろ、車や発ガン性物質を許容して生活しているのに、なぜ牛肉だけ極度に怖がるのか、その理由が私は知りたいものだ。せっかくインタビューしているんだからそういう質問を国民にぶつけてほしいものだ。

まあ、そういったことは各々が感じ取ることが出来れば良く、報道はその発言をそのまま伝えればいいのだが・・・。

その発言を伝えたあと、ご丁寧に交通事故に遭う確率とはどれくらいなのか?という検証をしていた。年間の死傷者数を持ち出してきて、千人に数人の確率で事故に遭う(怪我も含めて)という確率を出していた。

おお、これはもしかして、次は対する「BSEがヒトに感染する確率」もちゃんとやるのか?BSEがヒトに感染したことなんかないってはっきりと言うのか?と思ってわくわくして見ていると・・・。

あれれれ?これで終わり???

BSEがヒトに感染する確率と、交通事故に遭う確率を比べるんじゃなかったの?!なんで片一方だけやって、サクっと終わるの???

結局そのVTRはそこで終わってしまって、スタジオで安藤さんと木村太郎さんのコメントになった。彼らも米国側の言い分に憤っていたようだが、なぜ、対するBSEがヒトに感染する確率を説明しなかったことに疑問を感じないのか?続きが気になった人は私以外にもいたはずだし、なにしろ比較する片方だけしか説明しない不自然さはあまりにもひどかった。
果たして、「それを日本人に教えてあげたい」といったアメリカ農務次官の希望は、叶うことはなかったのだ。

多くの日本人は、狂牛病が人間に感染したことがないことを知らない。さらに、狂牛病と関連があると言われている変異性ヤコブ病の発症率が数億分の1以下であることも知らない。まずマスコミのすべきことは、この誤解を解き、日本人に蔓延している食に対する不信感を払拭することではないのか?

なのに、BSEが危険ではないことをあえて報道しない。今まであえて話題から避けていただけかと思っていたが、「どっちが危険か」と確率を比較しようとしているのに、片方の確率だけを言って不自然に終わってしまった。なんなんだこれは。そんなに狂牛病が実はそれほど危険ではないことを国民に知られたくないのだろうか??
確かに米国に外交カードとして要求を突きつけるという構図は日本にとって良いことだ。それが科学的にさほど意味がなくても、日本人は潔癖だからという理由でかまわない。力関係で作ったルールによって話を進めれば良く、今回ルールが守れなかった米国側が悪いのは事実だ。国がそうやって米国に対して些細なイチャモンを付け続けるのは別に構わないし、歓迎すらする。

しかし、「どれだけ危険なのか」という事実を頑なに国民に隠しているのはどうか。国がそう思っても、メディアが伝えることは可能なはずだ。しかし、こんな不自然な構成にしてまでも、事実をひた隠しにしようとするのはなんなんだ。国の意向に沿った番組を作っているのか、国内産や豪州産の牛肉業界が圧力をかけているのか。どちらにしろ、公正な報道とは言い難い。

これは明らかに、メディアもグルになって米国産牛肉への危機感を煽っている。
これは偏向報道というか、扇動報道そのものだ。これじゃまるで日本への敵意を、嘘ばかりの教科書や報道で煽っている中国や韓国のようではないか!

私は、前にこの話題を書いたときに感じたメディアへの危機感を、今回はさらに鮮明に感じた。さすがに「牛肉を食べると危険だ」と嘘は言わないが、蔓延した誤解を訂正しようとせず、その危機感だけを煽り、事実を伝えなければならなくなるとそこで話をやめてしまう。これぞ扇動報道そのものだ。こんな報道は許されてはいけない。

たとえ米国産牛肉が、国産牛肉業界に打撃を与えるものだとしても、こんな中国や韓国みたいなやり方が許されていいわけがない。もし国産業界を救いたいなら、単に関税をかければいいだけじゃないか。それか、米国を見習って無駄にコストのかかる全頭検査などやめてしまえばいい。そうすれば運搬費のかかる米国産がコストで敵うわけがないだろう。そもそも国産は高級品、安い米国産とは棲み分けが出来ているはずなのだが・・・。

この問題、フジテレビに問い合わせてみたいと思っているけど、ほんとにやるかどうかは分かりませんので期待しないでください。メールくらいは出しておこうかな。