ブロードコム(本社 シンガポール 2017年11月2日社長のタン氏は トランプ大統領と共に記者会見して米国に戻すことを発表 このときは米税制改革の成果のように報道されたが、その4日後の6日早朝 ブロードコムはクアルコム買収を発表。本社を米国に戻すというのが見せかけで、狙いがクアルコムにあることを示した。つまりシンガポールに本社がある、中国系企業では米企業を買収しにくいことからまずは米国の企業に戻ると発表。そしてクアルコム買収に進んだ。米国でこれを安全保障上の脅威と見る見方が台頭するに時間はかからなかった。もともとは米HPが設立したアバコテクノロジーズが母体 2015年に旧ブロードコムを370億ドルで買収で新発足 大容量通信 WiFi向け半導体に強い M&Aとリストラで企業価値を高めてきた。「のれん」が巨額化しているが親中国系企業とされている。)による米半導体大手クアルコム(スマホ携帯電話のチップで圧倒的世界的シェア だが200億ドルの売り上げの9割を携帯に依存 一本脚打法に株価低迷 創業のポール・ジェイコブ氏が会長)買収 の発表から収束までの顛末は以下のとおり。
他方、クアルコムの事業モデル テクノロジーイネ(イ)ブラーtechnology enablerと呼ばれるもので 通信モデムなど携帯電話向け半導体をつくるとともに 端末造りに必要な基本技術の特許を取得 端末メーカー育てながら 両輪(チップと特許料)で稼ぐというもの。⇔ 携帯の普及とともにクアルコムの収入も増加 ⇔ 各国の競争法が優越的地位の乱用を指摘 ライセンス料の支払いで顧客であるアップルなどともめていることが17年に入り表面化 また スマホ市場も成長鈍化 クアルコムの株価は2016年末の60ドル超をピークに低下。2017年11月初旬 55ドル前後をさまようまでに。クアルコムの上位株主には投資助言会社やファンドが並ぶ(バンガードGが7% フィデリティマネジメントオ&リサーチが5% など)。このような株主構成はクアルコム買収が成立しやすいことを意味している。
2013年1月13日ダイヤモンドオンライン クアルコムが進めるイネ(イ)ブラーenablerビジネス
2017年11月6日早朝 ブロードコム(ホックタンCEO) 同月2日の株価に28%上乗せ1株70ドル総額1030億ドル(12兆円)買収提案発表 両社の株価が上昇 クアルコムは一時65ドル上回る
11月8日 クアルコム データセンター用チップ参入を発表
11月13日 クアルコム 過少評価としてブロードコムの買収提案を拒否
中国のスマホメーカー クアルコムの混乱を予測して発注控える(11月20日)
12月4日 ブロードコムはクアルコムの経営陣交代を要求 敵対的買収に踏み出す 3月の総会に向けて委任状争奪戦へ(背景には顧客の側の半導体内製化の動きがあるとされる アップル アマゾンドットコム グーグルなどはそれぞれ自社開発の動き 背景 データセンターの急増と受託製造会社の成長 必要となる資金力・先端分野への知見)
12月5日 クアルコム 台湾エイス―スと組んでPC向け半導体に参入を発表(同日 同分野でAMDと組むことも発表)
ブロードコム クアルコム買収に成功するとどうなるか(12月7日)
中国の大手スマホメーカー2社が合併に反対を表明(2018年1月11日)
2018年1月16日 クアルコム 10億ドルのコスト削減などで1株当たり利益引き上げる成長戦略発表
1月31日 クアルコム サムソン電子との提携強化を発表(サムソンへの技術供与で長期契約)
2月5日 ブロードコム 17%引き上げ1株82ドル 負債引受除き総額1210億ドル(13兆円)を提案
2月8日 クアルコム 再提案拒否を発表
買収は株主に短期的にプラス 業界に長期的にマイナス(2018年2月16日) ブロードコムは買収を繰り返し 収益管理を徹底 低い部門は売却を繰り返してきた 長い目で見て買収は業界にとりマイナス。他方 クアルコムは高いロイヤルティ料をとり顧客と対立するモデルから抜け出せないでいる。
2月14日 両社が首脳会談するも クアルコムは買収拒否を発表(16日)
2月20日 クアルコム 買収手続中のNXPの買収額引き上げを発表
ブロードコム 買収金額を1株79㌦に引き下げ
3月4日 対米外国投資委員会CFIUS 安全保障上の懸念がある(ブロードコムはなおシンガポールの企業というクアルコムの申し立て 次世代通信規格5Gに向けた技術開発が滞らないかという懸念)として3月6日の総会の1ケ月延期を要請 ⇔ 4月5日に延期
3月9日 インテル(もともとパソコン向け 超小型演算処理装置MPU 中央演算処理装置CPU などの 半導体で圧倒的シェア モバイルへの対応を急いでいる) ブロードコム買収を検討
トランプ ブロードコムによる買収を国家レベルの脅威として禁止を命令(米国時間2018年3月12日)
0riginal 2018-03-12
Revised 2018-03-14