アマドコロはよくみられる野草だが、写真のものは花壇でみかけた園芸種の斑入りアマドコロだろう。鈴のように垂れた花弁がつつましやかで好ましい印象を与える。最近では野草もみんな園芸種になって再登場する。なんだかなぁという気もするが、簡単にはみつからない野草がふつうにみられるのも、野心的な育種の恩恵と感謝したい気持ちにもなる。
(2020-05 川崎市 花壇)
アマドコロは、山野に自生する落葉性の多年草です。名前の由来は、太い根茎の形がトコロ(ヤマノイモ)に似ていて、甘みがあることによります。春の新芽は山菜として食用にされます。ただし、果実は有毒です。
観賞用に栽培されるのは、主に葉に白い覆輪が入る品種です。清涼感があり、庭やコンテナを明るく彩り、葉はフラワーアレンジメントなどの花材としても広く利用されています。茎は弓なりにやや湾曲し、春にスズランのように下向きの花を咲かせます。地中では太い根茎が枝分かれしながら広がり、群生させると見ごたえがあります。鉢植えでは、草丈低くこぢんまりとした姿になります。
ナルコユリ(アマドコロ)属(Polygonatum)には50種ほどがあります。アマドコロの基本種オドラータ(P. odoratum)は欧州に自生し、「ソロモンズシール」と呼ばれ、根茎が茶に用いられます。観賞用に交配種も育成されています。ほかに、日本にはヤマアマドコロ(P. odoratum var. thunbergii)、オオアマドコロ(P. odoratum var. maximowiczii)、ナルコユリ(P. falcatum)などが自生しています。ナルコユリはアマドコロと混同されやすいのですが、ナルコユリは葉が細長いので区別できます。
※科名:ナギイカダ科、リュウゼツラン科、ユリ科で分類される場合もあります。
基本データ
園芸分類 草花,球根
形態 多年草 原産地 日本、朝鮮半島、中国
草丈/樹高 30~60cm 開花期 5月中旬~下旬
花色 白
耐寒性 強い 耐暑性 普通
特性・用途 落葉性,初心者でも育てやすい,切り花(葉ものとして利用)
白覆輪斑
主に利用される品種。「斑入りアマドコロ」「ナルコラン」の名前で流通する。「斑入りナルコユリ(斑入り鳴子百合)」と呼ばれることもあるが、この名前は誤用。