
しかし、世間はお盆休みでどこもかしこも人の波だろう。静かに避暑をなんていうのはどだい無理。
わが家から高速道路を使わずに行き着ける気持ちのいいリゾートとなると、山中湖あたりが筆頭に挙げられる。
「よし、明日は、山中湖だ!」
先週の金曜日、そう思い立って、久しぶりにM夫妻に声をかけた。
「ねえ、明日、山中湖あたりへ昼寝しに行かない? どこかで弁当仕入れてさ……」
むろん、Mさんも異存はなく、一路、山梨の416号線を山中湖へ向かった。
目指した先は、われらが春夏秋冬、四季を通じてお世話になっている湖畔の公園。適度な木立があってなんとも気持ちいい。道志のキャンプ場の混雑状況を冷かながら現地に着いたのは午後1時ごろ。
いましたねぇ、先客が何組か……。考えることは皆同じ。少々の食べ物と、たっぷりの飲料水、椅子、テーブル、あるいは簡易ベッド(ポンポンベッド)まで持ち込んでマッタリ~ッ!としてる。
マッタリ・スタイルこそ千差万別だけど、そろいもそろって共通点がある。ほとんどがカップルながら、すべて中高年ばかり。子供連れなんてひと組もいない。
われわれもほかの人たちに距離をとりながら、しかるべき木陰に落ち着いたが、ときおり、その脇をワンコ連れで過ぎていく人たちも中高年ばかり。きっと子供連れは、湖畔の林間なんて退屈きわまりないから、真夏にふさわしいもっと刺激的な場所へ行ってしまったのだろう。
聞こえてくるのはセミの音(ね)ばかり。ときおり、遠くのほうから遊覧船の案内アナウンスが聞こえてくるのが玉にキズだけど、草の上にグランドシートを敷き、デイパックを枕に、湖水の藍と空の青に酔いしれながらうつらうつら……。
4頭のワンコたちも元気そのもの。やっぱり来てよかった。
とっぷりと日が暮れて寒いほどに涼しくなったころ、帰り道の途中にある「英国館」のテラスでノンアルコールのビールを飲み、毎度のことながら、416号線のさらに東京寄りの「遊楽食ほろほろ」(ここは、ほんとうに美味い)で夕飯をいただき、満ち足りて帰ってきた。
毎月最低でも一度は出かけていた野遊びに、今年はほとんど出かけることができなかっけど、日帰りで、昼寝とおしゃべりだけが目的の、そして、ほんのちょっとゼイタクな一日もなかなかいいもんだと再認識した次第。
ふと、年齢(とし)相応のスローな生き方って、こんなことなのかなと思いをめぐらせた一日でもあった。