
■ 古いソロ用テントで過ごす
来月3歳になるルイとはじめてふたりでキャンプへいってきた。ルイにとってはこれが9回目のキャンプになる。
ルイとふたりだけといっても、キャンプデビューしてまもない若いFファミリーの見守りキャンプだったので厳密なふたりだけというわけではない。このファミリーとはすでに年越しキャンプをふくめて二度ご一緒しているのでルイにしてみればキャンプ仲間というところだ。
場所は彼らのデビュー地でもある山梨・道志村。前回が11月で、早暁にいっとき雨に見舞われたが、おかげで濡れて輝くみごとな紅葉を満喫できた。今回は夏の晴天のもと、太陽に輝く若葉のキャンプを味わってもらった。やっぱり天候に恵まれるキャンプはすがすがしい。
ルイは、ゼロ歳のときのゴールデンウィークを皮切りに、これで数回のキャンプを経験したことになるが、テントの設営や撤収となると激しく吠える。とくにポールには異常な敵愾心を見せる。幕体を広げたり畳んだりも嫌う。根が臆病なのだろうが、尋常な吠え方じゃないので周囲へのご迷惑にこちらが辟易する。仕方なく設営や撤収時はクルマの荷台に積んである移動時用のケージへ放り込んでおくことになる。せっかくのキャンプなのにかわいそうだが自業自得というわけだ。
今回のテントは、かれこれ10年ばかり前に姫路や埼玉の仲間たちとの本栖湖でのキャンプで使って以来のモンベルのムーンライト3とモンベルのヘキサゴンミニタープの組み合わせ。
このムーンライトⅢは二代目だが、それでも20年選手になる。10年ばかり使っていなかったので状態がわからず、先のゴールデンウィークに持参して試張りをして状態を調べてみた。酷使した初代のムーンライト3と違って、二代目はあまり使ってこなかったのできれいなもので、見た目ではまだじゅうぶん使えそうだった。ただ、一緒に買ったミニタープのほうは、縫い目に貼ってある防水用のテープの剥離がはじまっている。それでも使えないという状態ではなかった。

■ 今月もう一度ソロで出かける理由
久しぶりのソロキャンプという気楽さから、点検のためにほかにもソロ用テントを2張持参した。そのひとつは40年前に購入したカモシカの古いエスパースミニ。これを最後に使ったのは25年前の本栖湖だった。
もう1張りは一昨年死んだキャンプ同伴犬のシェラのために買ってやったサウスフィールドのツーリングテントである。シェラはテントの中が大好きで、ぼくが自分たちの大型テントの設営をはじめると、中へ入りたいと催促するほどだった。そのシェラが、スクリーンタープのぼくたちのすぐ横でまったりできるようにと買ってやったひとり用テントである。
どちらも経年劣化の点検を兼ねての持参だった。だが、昼前にキャンプ場に着いたものの、薪ひろい等、焚火の用意、ルイの散歩、同行者の設営の見守り、そして、何よりもソロキャンプ気分を味わうまったりタイムにひたって点検なんて面倒で、結局、次回にまわしてしまった。
テントの点検以外にも、この日のためにアメリカから取り寄せて持参した折り畳みの焚火グッズの火入れ式も予定していた。だが、結局、出しもせずに持ち帰った。
このキャンプに持っていこうとあわてて注文し、まにあうかどうかヤキモキして待ち、ようやくギリギリで届いてホッとしたらケースがない。そこで調べなおしたら、なんとストーブ本体さえ日本国内でもっと早く、安くで買うことができると判明、すっかりテンションが下がってしまった。
携帯ストーブはもう1個用意していたが、これも使っていない。今月中に梅雨の中休みの週末にでも再度、ソロで出かけてこれらのストーブで遊び、ここでレポートしたいと思っている。

■ ルイのために鶏肉のボイルを
夕飯は、以前から作りたかったジャーマンポテト。この20数年、ぼく以上にキャンプづいてしまい、いつもついてくる女房が大のジャガイモ嫌いとあってこの献立はずっと見送ってきた。ようやく、念願かなってさっそくキャンプ用のフライパンで調理したものの、久々のソロだったので分量を誤り、作りすぎてしまった。おかげで、翌日の朝飯もこれですませた。
アルファー米を持参して、これまた久しぶりにコンビーフご飯でも作ろうかななんて思っていたが、結局、ジャガイモづくしのキャンプとなった。ジャガイモは大好物なので、むろん、不満なんかあるはずもなく、ほかに焚火で作ったポテトのホイール焼きもあって大満足のソロキャンプだった。
ルイの食事は女房に用意してもらったいつものドライフードと缶詰。だが、面倒だから缶詰はやらずにドライフードだけですませた。それというのも、キャンプ用わんこフードを用意していたからである。
ルイの前に17年間キャンプをつきあってくれたシェラ、そして、シェラとともに12年間いつも一緒だったむぎのために、キャンプではいつも鶏肉を買っていき、原則として網焼き、時間がないときはボイルしてキャンプにつきあってくれたごほうびにしていた。今回もルイのためにちゃんと途中の買い出しで用意してあった。
だが、焼くためには熾火を作らなくてはならないのでバーナーでお湯を沸かし、茹でて食べさせた。手は抜いたが、むろん、ルイはむさぼるように食べた。
■ 大人になるのはゆっくりでいいからな
設営や撤収では大騒ぎしてぼくを手こずらせるルイも、テントの中で寝るときは殊勝だった。キャンプではじめてぼくとふたりだけで寝るというのが不安だったのか、ずっとシュラフのぼくに張りついて朝を迎えた。
5月最後の夜、昼間は猛暑だったが川沿いの林間サイトの夜はけっこう冷え、ルイが張りついてくれたのでかなり温かく寝ることができた。
今回、女房は体調不良につづく風邪のひどい咳がおさまらず、また仕事の都合で参加できなかった。その彼女に帰宅後怒られたのは、用意してぼくに持たせたおやつをルイに全然与えていなかったことだった。ルイがいつも以上に設営・撤収作業をするぼくに凶暴な態度をしたのは、おやつを要求したからだというのだが、それはどうだろうか?
缶詰のフードもおやつもやってはいないが、その分、鶏肉をたっぷりやっている。朝飯は前の晩の残りのジャガイモだったぼく以上に豊かな食生活だったはずである。
ひと月前の連休キャンプを経験して少しばかり成長しておとなしくなったと思われたルイだったが、今回のぼくとのふたりキャンプではあまり多くを期待できそうにない。それはそれでホッとしている。
この3年間、やんちゃ坊主のルイにふりまわされ、そのたびに精神的に早く成犬になってくれと願ってきたものの、その時期が近づてくると、「いや、もう少しやんちゃでもいいや」なんていう思いもある。このままおとなしくなってしまったらつまらないからだ。
ただ、キャンプの設営と撤収のときだけは静かなわんこでいてほしいとの願いはぼくの身勝手だろうか?