
といっても、ぼくの会社は暦どおりの休みである。製造業の友人の会社では4月29日から5月6日までぶち抜きの9連休だという。5月1日に限ってはメーデーで休みという会社も少なくない。なるほど、今朝の通勤電車は空いていた。
午後、外出先から汗を拭きながら帰ってきたスタッフのひとりが、銀行のATMに長い列ができているといっていた。ゴールデンウィークに使う資金を下ろそうとの人の波だろう。
ぼくは、40代まではゴールデンウィークだからといって動こうとはしなかった。どこへ行っても、人、人、人……だというのがわかるし、道路だってすさまじく混雑する。ぼくの場合、遊びに行くといえばキャンプである。この時期は静かなキャンプなど望むべくもない。だから、ゴールデンウィークは家で過ごすのが常だった。
ゴールデンウィークが終わると有給休暇をとってフィールドへと繰り出す。さすがにどこも静かなものだった。大勢の人間が通り過ぎたあとのフィールドにはまだ喧騒の残響が染みついているようで、どことなくアンニュイである。
ただ、連休を過ぎた早月の空は気難しくなる。1日でも穏やかな青空にめぐまれたら儲けもの、荒れるのを覚悟しなくてはならない。特に強風にさらされやすい。ハンパな風じゃない。
山の上で野砲を発射したような「ドカ~ン!」という地響きを伴う大音響が聞こえると、狂ったような風が襲いかかってくる。ひとしきり狂風が暴れたあとは、またありきたりの強風に戻る。このありきたりの強風だって木々の幹をギシギシいわせているけど、狂風のあとではそよ風くらいにしか感じない。雨が混じったら情況はさらに悲惨になる。
これはこれでゴールデンウィークの人出や道路の混雑以上に消耗する。
50を過ぎたあたりから、ぼくも連休に出かけていくようになった。いちばんの理由が、野遊びに家内が同行するようになったからである。もうひとつ、大型台風並みに荒れるフィールドで突っ張るだけの体力、気力に衰えが生じたためでもある。
ただ、ぼくの野遊びに同行する2匹のワンコたちのうち、今年11歳になる雑種のシェラが極端に花火を怖がる。ところが、最近のファミリーキャンパーや若者グループはアホのように花火をやりたがる。静かにキャンプを楽しんでいる人々がいるというのがまったくわからないらしい。
親たちまでもが確実に幼児化しつつある。