レンキン

外国の写真と
それとは関係ないぼそぼそ

発声

2018年12月02日 | 難病の話
母はケアマネジャーと話したり、
ベッドや車椅子の業者と話す時に
私が同席するのを避ける。
「今日は何時に誰々が来るから」
(だからその時間、家にいるのを避けてね)という
メールが事前に来る。

母は都合の悪い事をごまかす癖があるので
何か私に聞かれたくない話があるのかな、
と思っていたのだけど
納品が差し迫った時に、家でどうしても仕事をしたくて
車椅子の業者さんと鉢合わせた。


この病気の症状に
呂律が回らなくなる、というのがある。
今の母の言葉はかなりレロレロしていて
話し方もゆっくりなので(発声がうまくいかない)
慣れていないと聞き取りにくい。

居間で仕事をしながら
業者さんと母のやり取りを見ていた時に気づいた。


業者さんが私にばかり話しかけるのだ。


どこか気になるところは無いですか?
不具合やお気付きの点はございませんか?
タイヤの空気は、あ、定期的に入れているようですね
ありがとうございます


これは全部母に聞くべきなのに
ああ、この業者さんはもしかしたら
母に聞いてもよく分からないと思っているのかな
と思った。


私の車椅子じゃないし、何より私はとても抜けているので
しっかり者の母の方がよっぽど色々考えていて
覚えているのだ。要望だってあるだろう。
それでも目の前の母をスルーして私に聞くのは、
「言葉がハキハキしていてすぐ答えが返ってくるから」

私はいちいち母に聞き、母の口から喋ってもらって
車椅子の定期検診は終わった。


呂律が回らなくなるだけで、発声が難しくなるだけで
しっかりしていない、分かっていないと思われるのは
悔しいだろうな。私だったらすごく悔しい。
今の業者さんもケアマネジャーさんも、
母が病気を発症して間もなくの人から何人も変わって
皆呂律が回らなくなってから、の人だから
ハキハキと早口で喋っていた母を知らない。
だから対応もそれ相応だ。
すなわち
「相手と目線を合わせて、大きな声でゆっくりと」話す。


母がはっきりと話せていたら
そんな子供にするみたいな対応、されていなかっただろう。
身体が思い通りに動かせないだけだということを
回らない呂律で分かってもらうのはとても難しい。


今度、ケアマネジャーと会って
そこら辺をしっかり話してみようと思う。
これは母だけの問題じゃない。
将来の私の問題でもあるのだ。