flagburner's blog(仮)

マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

(金がないのならば、)どうしてクルマを買わないのか(ネタ的に危険)

2010-05-07 19:53:29 | おかしな人たち
「若者はもはや「クルマ離れ」ではなく「クルマ嫌い」になった」、という謎記事が公開されてたのだが・・・。
・若者はもはや「クルマ離れ」ではなく「クルマ嫌い」になった(2010年5月6日 @niftyニュース;SAPIO 2010年4月14日・2010年4月21日号掲載分)

これを書いたのは、清水 典之氏という謎のジャーナリスト。
つーか、清水 典之氏って誰?
と思ったら、以前から車とか ICT 関連の記事を書いている人らしい。
この辺は↓
・清水典之のBlog

ついでに、かつてチャンネル桜の番組にゲストとして出演したことがあった。
これについては以下参照

1/2【清水典之】日本復活のシナリオ「脱・石油社会」[桜 H21/3/16]


2/2【清水典之】日本復活のシナリオ「脱・石油社会」[桜 H21/3/16]


この時点で、件の記事のオチが読めなくもなかったりする・・・。


話を戻す。
SAPIO に掲載された時点で危険な雰囲気を醸し出していた清水氏の記事だが、実際の内容も相当危険なブツだった。
一応序盤は、日本における年間新車販売台数減少やらガスステーションの廃業状況やら自動車業界から新聞+TVへ払われた広告費減少について触れていた。
しかし、中盤で、自動車工業会が行った『乗用車市場動向調査』を引用してから、鳩山(兄)首相が「米軍基地を永田町や霞が関に移転する」と言いだす勢いの展開とあいなった。
以下、2010年5月6日分 @niftyニュース『若者はもはや「クルマ離れ」ではなく~』から中盤部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
若者のクルマ離れはゆとり教育のせい?

 そもそも「自動車が売れない」という現象は、不況の影響はあるものの、実際には04年から始まっている。
原因は景気だけではないのだ。

 なぜ自動車は売れなくなったのか。
最大の理由は少子高齢化にあると業界関係者は口を揃える。
高齢者はクルマから引退し、一方で新たに自動車ユーザーとなるはずの若年人口が減っているからだ。

 しかも問題は、ただでさえ少ない若年層がクルマに興味を失っていることである。

 自動車工業会は、大学生を対象にマーケティング調査を実施し、09年3月に「乗用車市場動向調査」を公表した。
70頁にも及ぶ詳細なレポートで、それ自体が若者のクルマ離れに対する危機感を表わしているように見える。

 レポートでは、現代の若者が育った時代環境として、こう分析されている。

「バブル崩壊後の低成長期に育ち、将来の生活に悲観的な見方をする傾向が強い」

「ゆとり教育で授業数が減り、絶対評価の導入で他者との競争を経験する機会が少なかったことが窺える」


 今の中高年にとってクルマはステータスを表わすものなので、人よりいいクルマに乗ることでそれを示そうとしがちだが、今の若者にはそういう感覚がないというのである。

 現在の40~50代が大学生だったころ、クルマは「興味関心がある製品・サービス」の第7位だったが、今の20~30代のころには10位に落ち、現在の大学生となると、「語学、資格試験(15位)」「化粧品、エステ(16位)」に次いで17位にまでランクダウンしている。

「今の40代、50代のなかには、親が初めてクルマを買ったときのことを良き思い出として覚えている人が多い。クルマは特別な存在なのです。しかし、今の若者は生まれたときから家にクルマがあり、携帯やゲームなど娯楽も他にたくさんあるので、特別なものではなくなっている。しかも若年層の平均年収は年々減少しています」(自工会総務統括部・持田弘喜氏)

 つまり、「興味もないし、買うお金もない」ということ。

 東京在住の20代ビジネスマンや大学生に話を聞いたところ、こんな答えが返ってきた。

「クルマは欲しいモノの17位どころか、100位以内にも入らない。駐車場代や税金がかかるのでタダでもいらない」(商社勤務26歳)

「ゼミにクルマ好きがいて、バイトして100万円ぐらいのクルマを買って、周りから変人扱いされている。だいたい合コンで女の子から携帯の機種は聞かれても、『クルマ、何乗ってる?』と聞かれることなんてまずないですしね」(大学生21歳)

 もちろん、これは公共交通機関が発達している都市部の話で、地方では相変わらず生活の足としてクルマは必需品だ。
しかし、都市部は人口が多いだけに影響は大きくなる。
(以下略)
---- 引用以上 ----

2009年3月に公表した『2008年度乗用車市場動向調査』は↓
・2008年度乗用車市場動向調査の概要(2009年4月8日 自動車工業会)
・2008年度乗用車市場動向調査報告書(PDF:1.63MB)(2009年4月8日? 自動車工業会;.pdfファイル)

正直、調査報告書の全文を読むのは苦行でしかないので、ここは、P.7 『まとめ』に掲載されてる『1.エントリー世代が育った時代環境』を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
(1)エントリー世代の二十年史
経済・社会、及び家庭・学校生活の激変期に生まれ育った。
エントリー世代が生まれ育った90年代は、経済成長率が低下し、家計の収入や消費が長く低迷した時代である。
学校では、ゆとり教育や個を尊重した教育(絶対評価)が導入され、学校生活の転換期を過ごす一方、家庭ではパソコンや携帯電話、インターネットなどが普及し生活条件が激変する過程で育ってきた。

 (2) 低成長期を過ごした世代
バブル崩壊後の低成長期に育ち、将来の生活に悲観的な見方をする傾向が強い。
エントリー世代は、バブル崩壊後の景気の長期低迷の中、大企業の破綻、終身雇用等の日本的経営が崩壊していくのを見ながら育ち、これから社会に出ようとする今、未曾有の景気悪化に直面しており、以前の大学生より、将来の雇用や収入に対する不安感、社会への閉塞感を抱く傾向が強い。 

(3)教育制度の変化と学校生活
ゆとり教育で授業数が減り、絶対評価の導入で他者との競争を経験する機会が少なかったことが窺える。
学校では、過密な授業についていけない子供たちを考慮するとし、教育制度が改正され、ゆとり教育(授業数の削減、週休2日制への移行)、絶対評価(成績順位ではなく、生徒本人の成績で評価する制度)が導入された。
大学受験時には、一般入試が減り、推薦入試、AO入試、内部進学の割合が増加している。 

(4)変わる親との関係と行動機会
親と仲がよく、行動をともにする機会が多い傾向がみられる。
親は、自分のことをほめてくれたり、自分の趣味や好きなことを応援したり、悩みがないか気にかけてくれるような、よき理解者であったようである。
親子双方で週休2日制が浸透したことを背景に、一緒に遊んだり、買い物や外食、旅行など、行動をともにする機会が以前の大学生よりも増えている。 

(5)デジタル機器による遊び方の変化
幼い頃から様々なモノに囲まれ、屋外より家で遊ぶようになった。
生まれた時から、テレビ、冷蔵庫、エアコン等の家電製品、乗用車がある環境で育ち、小中学生の頃からゲーム機、携帯音楽プレーヤー、携帯電話等のデジタル機器に触れている。
ゲーム機やパソコンなどの普及を背景に、放課後に屋外で遊ぶことが減り、自宅や友人宅など屋内で遊ぶことが増えていた。
(以下略)
---- 引用以上 ----

車購入意欲減少と教育制度変化がどう結びついてるのか意味不明なのだが。
件の報告書の P.55-P.56 には『クルマ購入意向の阻害要因』について分析が加えられてるのだが、正直強引な論理展開じゃね~の?
それ以外の要因も、結構謎だらけだが・・・。

でも、車購入意欲が湧かない原因として大きい比率を占めるのは、皮肉なことに持田氏が述べている「(若者の)平均年収は年々減少しています」ってことかもな。
自動車業界もこれに関与してるってのにこういうことを言うってのは、色んな意味で不可解だ。
なお、20代の平均年収は↓
・20歳代 平均年収@2008年度(年収ラボ)

この辺りについて清水氏には、もう少し突っ込んで議論を展開していただきたかったのだが・・・。


なお、今年自動車工業会が行った『2009年度乗用車市場動向調査』では、意味深な結果が出ていた。
・2009年度乗用車市場動向調査の概要(2010年4月8日 自動車工業会)
・2009年度乗用車市場動向調査報告書(PDF:1.63MB)(2010年4月8日? 自動車工業会;.pdfファイル)

無論、2009年に行った調査と2010年に行った調査は調査対象が大きく異なるので単純比較できない。
とはいえ、日本において車購入意欲が湧かない理由についてある程度参考になる結果も・・・。
以下、2010年4月8日分自動車工業会『2009年度乗用車動向調査報告書』から、P.12 『IV 今後の保有動向』(第4章の要約)から『現保有車の保有予定期間はさらに長期化』と『保有長期化予定ユーザーは今後の購入時に経済性を重視』を引用する。

---- 以下引用 ----
(中略)
<現保有車の保有予定期間はさらに長期化>
・ 現保有車の保有予定期間を算出すると、新車、中古車ともに長期化の傾向が顕著で、7 年超の比率が新車で71%、中古車で43%となった。
・ 現保有車から次への買い替え間隔は、新車で「従来と変わらない」が減り、「長くなる」が増加。
・ 買い替え間隔が長くなると思う理由では、「収入の伸びが思わしくない」「景気が悪い(不況ムードだ)」が増加し、景況感からユーザーの消費マインドが低下していることがうかがえる。
一方、「買い替えたくなる気に入った車がない」も11%から18%へと増え、ユーザーにとって魅力的にみえる車が少ないことも影響している。

<保有長期化予定ユーザーは今後の購入時に経済性を重視>
・ (新車購入での)保有予定期間が7 年超の長期化予定ユーザーの特性をみると、ライフステージでは家族形成期から成長後期までの比較的若い世帯が多く、年収では高所得層が少ない。
また、主使用用途は「通勤・通学」「日常の買い物・用足し」が多く、車型では軽とキャブワゴンが多い。
・ また、長期化予定ユーザーは今後の購入時に「燃費のよさ」「税金・保険の安さ」「車両価格」「故障の少なさ」など経済性を重視している。
(以下略)
---- 引用以上 ----

メーカー側も魅力的に見える車を作らない(作れない)以上、この状況が大きく改善されるとは思えないが・・・。



# 今回のタイトルの元ネタは、中国は恵帝 (西晋)の『“何不食肉糜?”(何不吃肉粥?)』((穀物がなければ)、どうして肉粥を食べないのか?)という発言から。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。