マジンガー通信

多分500万人に1人くらいの割合でしか役に立たないシトロエンC4にまつわるお話など。

F1序盤戦総括 ~変わった部分はどうなのか編~

2009年05月16日 | 車好き話

先週末に第5戦のスペインGPも終わり
大体の情勢が見えてきたF1序盤戦の総括をしてみようと思います。
先ずは今年から変わった部分はどうなのか、という点です。

09年仕様(左)と08年仕様(右)のBMW

今年は60年の歴史の中でも例が無い程に、
大幅な規則変更がありました。
ではそれがサッカーのバックパス禁止くらい
ドラスティックにF1を変えたのかというと"?"です。
1点目は見た目の違いが大きい形状の変更について。
パッシングを容易にする為に前後ウイングの形状を変更、
開発費を抑える為にエアロガジェットと呼ばれていた
細かい突起物の禁止というのが大きなところ。
破壊的に格好悪くなったフォルムは相変わらず掃除機の様ですが、
流石にそろそろ目慣れしてきました。
では目的を十分に達したのかというと、答えはNOです。
先ず開発費の圧縮ですが、これは景気が悪くなってしまったので
規制しなくても結果は同じであっただろうと思います。
翻ってウイングを含む形状の変更ですが、
そもそもの話、F1ドライバーは運転がとても上手なので
そうそう抜けるものではないといのが1点、
また、規則変更によって非常に不安定な車になってしまい
場合によっては追い抜きどころではなくなってしまったというのがもう1点。
更にはボディ下面の空気を吸い出して空力性能を上げる
ディフューザーという重要な部品について解釈が別れ、
訴訟問題にまでなった結果、ルールの抜け道を見つけた方が勝訴してしまい、
このルールも長くはない事を暗に示する結果になりました。

電気を使うので、感電に気をつけなければならないデメリットもあります。

次に簡易ハイブリッドシステムKERS(カーズと読みます)について。
大雑把にはモーターを追加してブレーキング時のエネルギーをバッテリーに充電、
ドライバーがステアリングのボタン(通称KERSボタン)を押すと
1周につき400KJ(80馬力程度を6.7秒)放出して一時的にパワーアップする仕組みです。
かつてターボ車のお約束改造メニューにオーバーブーストボタンというのがありましたが
あれを電気的にやるというのがKERSの概要です。
KERSにはモーター式と滑車式の2つが有力で、今の所滑車式は登場していません。
(市販車への応用は滑車式の方が有力だとか)
開発費用が嵩むので装着は任意と、かなり緩いルールになっています。
開幕時点では20台中7台が搭載とまずまずの滑り出し。
ただ、使ってみると寧ろ不利な面(重たく、運動性に支障が出る)が多く、
スペインGPではとうとう2チーム4台にまで減っています。
これは先に述べた1周ごとに使える量では非常に重たく嵩張る
というデメリットに対して割に合わないからで
ルールが変われば状況は変わるでしょう。
KERSは空力も腕の差も関係無い直線加速で一番効果が出るので
単純に追い抜きという点では車体をいじるより有効です。
現にKERSを使って強引に追い抜く、被せるというシーンが
序盤だけでも幾つか見られました。
また、使える時間が必要な時間よりも短いというのがポイントで
KERS使い同士でも使いどころの駆け引きが発生します。
サーキットのスタート/フィニッシュラインは大抵が直線、
という事は最終コーナー立ち上がりはKERSを使うポイントなので
最後の最後で大逆転か否かというサスペンス要素が付加される訳です。
今のところ不評ですが、将来性がある装置だと思いますし
特にフェラーリなどはF1と市販車のイメージをオーバーラップさせるために
F1の技術に似た様な装備を付ける事が多々ありますが、
エンジンとモーターのパワーの出し方次第で低燃費走行にもブースターにも使える
KERSに似た装備というのは遠くない未来に出して来るのは確実です。
環境を旗印に抑圧方向にしか思考が働かない昨今、
使い様によっては今まで以上に車を楽しくする技術だと思います。
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