出張族ですとピンと来るのはANAの待合いラウンジの名前ですが
アストンマーチンが4ドアサルーンのラピードに続いて
シグネットという車を開発しているというニュースが配信されました。
アストンといえばマスプロとクチュールの境界線の様なメーカーですから
本来、自動車界隈か大金持ち界隈で盛り上がるべき話のところ
ヤホーや新聞社が取り上げている理由はベースとなる車がトヨタiQだからです。
アストンが他所の作った車にバッヂを貼るというのは
オークションの類いで何年かごとに出品されて高額で落札されるDB4ザガートや
リアルタイムでは80年代終盤に数年間だけスポーツカーレースへ参戦した時に作った
AMR1(超美麗なレーシングカーでした)くらいしか思い当たりません。
では何で前代未聞な事をしてまでシグネットを作ろうとしているのか、
一番は排ガス規制との絡みでしょう。
昨今、欧州メーカーが蜂の巣を突いたかの様にハイブリッドや
環境技術を発表しているのはプリウスを脅威を感じている訳ではなく
2012年から罰金を伴った厳しい排ガス規制がEUでは施行される予定だからです。
(ちょっと情報が古いですが、詳しくはこちらで)
EUの排ガス規制は車単位ではなくメーカー(やグループ)単位で査定されるので
大抵のスポーツカーメーカーは難を逃れる事が出来るのですが、
(フェラーリはフィアットグループ、ランボルギーニ/ポルシェはVW/アウディグループなど)
フォードグループから外れてしまったアストンは自力で何とかしなければなりません。
ちなみに基幹車種のDB9で計算してみると、5.9L V12を搭載しているMT仕様で389g/km、
1012年基準では259g/kmオーバーで5180ユーロ(70万円程度)、
規制が100%施行される2015年になると330万円程度にまではね上がります。
アストンは年産8000台規模の生産設備を持っていて近年はフル稼働状態という事なので、
簡単に算数すると2015年基準で264億円の罰金となってしまいます。
そこで未達分を少しでも相殺させる車としてシグネットが必要となったのでしょう。
そう言えばシグネットのニュースを見る何日か前に、
ヴィトンがUSBメモリーを発売するというニュースが出ていました。
4GBの容量で価格は驚きの5万円超。
大安売りであれば1000円で買える容量、128GBのUSBが買えてしまう値段です。
しかも写真で見る限りプラチックのシルバーメッキにヒモという仕様の様。
でも、私、これはアリだと思います。(買いませんが)
アストンは金さえあれば買って良い物ではなく、相応の身分が必要だという意見に
私も概ね賛成なのですが、例えばシグネットはアストンにとってモノグラム・マルチカラーの様な
アストンを知っている人が洒落で羽織れる様な物と考えたら、面白い存在だと思います。
実際のところ、予想価格ではiQの倍程度、2万ポンドで売られるらしいので、
恐らくミドルハイの層がTTやSLKの代わりに乗るというのが現実的だと思いますが
ファッションアイテムとして、こういう車の作り方というのが
一つの流れになる様な予感もします。