マジンガー通信

多分500万人に1人くらいの割合でしか役に立たないシトロエンC4にまつわるお話など。

日産デルタウイング

2012年06月17日 | モータースポーツ



今年の見た目上1番の話題だと思います
日産デルタウイングについて。
見ての通りでまともなレーシングカーの形をしていないので
ル・マンの競技ルールには適用されない
招待枠での出走になっています。
鬼ごっこでいうところのミソという訳です。
では、何でそんな車が走れるのかというと、
競技と環境保全を両立する未来のレーシングカー
としてデルタウイングは大きな提案をしているからです。
それこそがこの車の存在意義だったりします。

発表された当時のデルタウイング

デルタウイングが変な形をしているのは
大きく2つの理由があります。
1つめは元々がフォーミュラーカーとして
企画された車だからという事。
デルタウイングはアメリカで行われている
フォーミュラカーレースの最高峰である
インディカー用マシーンとして作られた事に起因しています。
2つ目はデルタウイングのコンセプトが
空力性能を極限まで高める事で同じスピードながら
エンジンを小さく出来る、
環境性能の高いレーシングカーを作る目的がありました。
レーシングカーの空力は黎明期こそ空気抵抗との戦いでしたが、
1960年代頃からマシーンを押し付けてコーナーを速く走る
ダウンフォースの方が重要となっていて、
空気抵抗は大きなエンジンパワーでごり押しをする
設計がされています。
それを空気抵抗を減らして速く走らせようという考えから
フロントは出来るだけ細く、リアは強大なダウンフォースを生む
空力装置(ディフューザー)を収めるために
特徴的な三角形をしているという訳です。



ところで日産デルタウイングとよばれていますが、
実は日産がレースに関与をしている訳ではありません。
日産は元々エンジンサプライヤーとしての参加だったのですが、
メインスポンサーも引き受ける事になって
あたかも日産が走らせているかの様な名前になっています。
それだけデルタウイングの先進性が高いという事ですね。
詳しいデータは分かりませんが、デルタウイングに積まれる
1.6リッターターボエンジンはレース専用エンジンではなくて
量産エンジンをレース用に改造したものだそうです。
せいぜい350馬力程度といったところでしょうか。
大体同じペースで走っているLMP2クラスのマシーンが
3.4リッターのV8エンジンを積んでいますので、
デルタウイングの理論は実証されたと言って良いと思います。

これがデルタウイングのご先祖様

インディカーの
夢破れてルマンカーに転身したデルタウイング、
実は更にその前に原型となったマシーンがあって、
何とそれはル・マンを走っていた過去があります。
アストンマーチンのAMR-Oneというマシーンがそれです。
このマシーンも環境対策を考えたル・マンの新規定に合わせた
エコレーシングカーとして生まれたのですが、
結果は燦々たるもので、アストンマーチンは
このプロジェクトを放棄する様に終了してしまいます。
これでAMR-Oneはイベント走行などで
余生を送る事になる筈だったのですが、
このマシーンに目を付けたのがデルタウイング。
レーシングカーのモノコックを作るには
クラッシュテストをパスしないといけないなど
膨大な費用がかかってしまうので、
既に公認モノコックになっている
AMR-Oneのコンポーネントを流用したという訳です。
更に面白いのが、前回の童夢S102.5を走らせている
ペスカローロがもう1台走らせているマシーンも
AMR-Oneを改造したマシーンを今年デビューさせています。
リサイクルの様に数奇な運命を辿るレーシングカー
というのは珍しい話ではありませんが、
何の因果かという気はします。
ちなみにAMR-Oneの末裔対決は、
1秒差でペスカローロがリードしている様です。

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 童夢S102.5 | TOP | 2回目の車検 »
最新の画像もっと見る

post a comment

Recent Entries | モータースポーツ