マジンガー通信

多分500万人に1人くらいの割合でしか役に立たないシトロエンC4にまつわるお話など。

自動車メーカーがモータースポーツをやる理由 ~WEC Fujiを見て思った事~

2012年10月15日 | モータースポーツ
嬉しい勝利。

source:clicker.com
明けて昨日、富士スピードウェイで
WEC Fuji 6 houesというレースが行われました。
ル・マンを走った車が世界選手権で競うレースの
日本ラウンドだったのですが、
(関連記事は"モータースポーツ"カテゴリーにボチボチ上げています。)
見事にトヨタが優勝、中嶋一貴選手大活躍だったそうで、
先週の日本グランプリの、可夢偉選手表彰台に続いて
モータースポーツ周りは良い事ずくめの先週今週でした。

見比べると、空力的に洗練されているのはトヨタかなと

このレースの一番の焦点は
ディーゼルハイブリッドを積んでいるアウディと
プリウスでお馴染みのガソリンハイブリッドを積んでいる
トヨタのどっちが速いのかとう点だと思います。
アウディのハイブリッドシステムは明らかに急造仕様
(彼らはそうとは言いませんが)なのは確かですが
ディーゼルという大きな武器を持っているので
戦前から圧勝なんだろう、強いて言えば急造であるが故の
信頼性くらいかと言われていたところ、
トヨタが今回の富士を含めて5戦2勝している点が
レースは深いなと思うところです。
トヨタがアウディに対して
真っ向勝負が出来ている理由は何だろうと
自分なりに調べるなり考えるなりしたところ、
F1をやっていた事にあるのかなと思います。
やはりパワーソースとしてはアウディの方が
有利な様なのですが、
トヨタにはF1で培った空力性能と
ハイブリッドシステムに慣れている車体作り
が大きな武器になっているのではないかなと思います。
性能の大半は空力で決まるというのは
レースの世界では常識ですが、
富士のレースを見ていると高速コーナーでの安定感、
コース終盤のクネクネと曲がる場所での回頭性、
両方ともトヨタの方が良いなと思いました。
エンジンのアウディに対して車体のトヨタ
という構図が出来ていて、
今年は中々のバランスになっているんでしょうね。

TS030の生まれ故郷、TMG。

source:Toyota Motorsport GmbH
トヨタは経営再編の一環でF1を止めた訳ですが、
全く何もやらなくなってしまった訳ではなくて、
かつてトヨタF1の本拠地であり
WEC参戦に当っての本拠地でもある
ケルンにあるTMGという組織は
今でも自動車業界、レース業界に名を轟かせています。
例えば当初から実測と寸分違わぬと言われていた
シュミレーター施設は多くのF1チームが活用していて
同じく世界で唯一、1/1モデルが2台同時に実験出来る
風洞施設も多くのレーシングチームが使っていて、
自前の風洞に設計ミスが見つかったフェラーリが
(結構凄い事だと思いますが、フェラーリの風洞は2005年あたりに
稼働した頃から設計ミスに起因するトラブルが頻発していて、
市販車を含めて空力性能が設計と実測値が違ったり(様するにデタラメ)します。)

来年のF1マシーンをTMGで風洞実験すると
発表するなど、技術力には定評があって、
それらの技術がTS030には注ぎ込まれていて、
トヨタの開発技術の下支えにもなっているのでしょう。
モータースポーツは企業イメージのためでもありますが、
言い訳が利かないレースの世界で鍛えられた技術は
メーカーの大きな財産になるんだろうなと思います。
何がしたかったのか良く分からない車をよく作るトヨタですが、
技術の基礎がハイレベルで出来ている間は
ある程度安泰なんだろうなと思います。
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