昨日行ってきた宝塚月組『アルジェの男』『Dance Romanesque』の感想。
まず、『アルジェの男』。
作品はバッチリ宝塚
環境の中からのし上がって行こうとし破滅するのは同じ柴田先生のスタンダール原作『赤と黒』に似ているが悔いのない人生を歩んだジュリアン・ソレルとは違いジュリアン・クレールの方は突然襲って来るので最後は観客の思い、解釈に任されているように思う。
この最後、通い倒した『霧のミラノ』と少し似ている
まず、霧ヤン(霧矢大夢)から‥‥
ファンの方、ごめんなさい~
こなれていません。
初日開けの公演なのでまだまだ進化するとは思うが霧ヤン自身も挑戦だとおっしゃっている通り、持ち味(真面目さ)と違うため色悪のクレールが表現できていない。
お腹の中にしっかり持っているのし上がってやろう感が弱いと思う。
3人の女性に愛される役。
真面目クレールがその時そのときに3人とも愛しているように見える。
クレールが愛しているのはサビーヌだと思う。
アルジェの下町仲間 サビーヌ(蒼乃夕妃)‥クレールが愛しているがアルジェに捨ててきた人
ボランジュ総督の娘エリザベート(彩星りおん)‥のし上がる為に結婚しようとする人
社交界の花形シャルドンヌ婦人の姪で盲目のアナ・ベル(花陽みら)‥一途にクレールを愛している人
次に二番手。クレールに付きまとうジャック役の真咲くん(龍 真咲)。
これまた、ごめんなさい。
ごめんなさいなんだけど面白い
出て来られる度に「クックックックッ」って笑ってた。
芝居の質が違う~~
何といったらよいか‥‥
型から入っている昔で言うクサッ~~イ芝居。
作品が昭和の香りがするから真咲くんの昭和の匂いのする芝居は違和感はあるが癖になりそうになった。
石原裕次郎さんの日活映画の悪役を思い出してしまった。
たぶん、先生から言われて演じているのだろうがこなれてないように思った。
クレールに付きまとって一緒にのし上がりたいとする感情は銀橋の歌でよくわかった。(一種の屈折したクレールへの愛かな)
『春琴抄』の佐助、アンリ役のみりお君(明日海りお)。
アナ・ベルへの愛情がよくわかるストレートな芝居だった。
みりお君には簡単な役だったのではないだろうか?
クレールの後を追ってパリに出てくるサビーヌ役のまりもちゃん(蒼乃夕妃)。
ショーで一部代役を立てておられたので怪我か?と思っていたがぜんぜん怪我を感じさせない
素晴らしいダンスです
役は屈折はしているがクレール一途だからまりもちゃんには簡単だったのではないかと思う。
娘役で一番難しいが演じがいがあるのはエリザベートだと思う。
クレールを愛しているのにお高ピーと屈折極まりない役。
『バラの国の王子』の悪い母親役では存在感があり上手かったが娘役の今回はもうちょっと華やかさも含めて頑張って欲しいな~と感じた。
アナ・ベル役は宝塚娘役の鏡のような美味しい役だと思う。
下級生の花陽みらさんはとても声の綺麗な可愛い娘役さんだった。
特筆すべきはシャルドンヌ婦人役、専科の邦さんとミシュリー内相役のマギー(星条海斗)。
台詞で腹芸を披露できる邦さんの芝居は素晴らしい。その台詞を受け止め芝居するマギー。
少し太られたか?でも、色っぽかったわ(マギーのジュリアン・クレールを見てみたいと思った)
何故か、一色瑠加・青樹 泉・星条海斗の3人を見ると嬉しくなってしまう。
しっかり月組を支えてくれている。
次にショー・スペクタクル『Dance Romanesque』。
スペクタクルってあったから何がスペクタクルかと考えてみた。
「ノートルダムのせむし男」=カジモドの場面かしら??
ヤンさん(安寿ミラ)が振付をなさっている。
霧ヤンも最後の挨拶でカジモドは演じてみたい役でお気に入りの場面だとおしゃっていた。
今回は客席降りもあり、(2階も生徒さんが行かれるらしい←2階で見てもらうには良いことだと思う)銀橋も多用されなかなか楽しいショーになっていたと思う‥‥
男役総踊りの振りやデュエットダンスの振りが単調でキャーとならなかったのは残念だった。
今回、みりお君を中心に下級生も銀橋に出てきて張っている。
可愛い。月組の下級生はよく知らないから勉強になるわ。
最後にもう1回、まりもちゃんの根性に、頑張りに拍手
暑い最中、身体に気をつけて頑張って進化させていって欲しい
あと1回観劇予定だ。
いつもの事ながら勝手言いたい放題お許しくださいませ。
ご自分の目で見てくださいませ~~
追記:某所で少しストーリーを読んだ。
出世を望むジュリアンは高慢なエリザベートの心を逆用して、純粋なアナ・ベルに近づき、
彼女の心を捉え、エリザベートが二人の仲を嫉妬するようにしむける。
ジュリアンの思惑通り、嫉妬したエリザベートは、ジュリアンに愛を告げふたりは婚約する。
傷心のアナ・ベルは、田舎の山荘にひきこもってしまう・・・。 とあった。
私はそのようにはぜんぜん見えなかった。
シャルドンヌ婦人の「アナ・ベルと結婚してくれるなら、将来を保証する」とほのめかす言葉に乗ったとしか見えなかった。
霧ヤンの台詞はストレートすぎて腹芸の台詞の言い方がにゃい。
柴田先生の作品には必ずカタルシスがあるが、まだそれが得られる舞台ではなかった。
進化させて欲しい
宝塚~の作品。何度も書くのをお許しあれ~~