エテポンゲの独り言

残したい瑣末な話し

大人の漫画

2006年02月07日 | その他

 今世界各地で風刺漫画が原因のデモや騒動が頻発しています。発端はその漫画なんでしょうが西洋社会に対するイスラム圏の鬱積した不満が爆発したのでしょう。たかが漫画されど・・・ですね。

 漫画が肩の凝らない時間つぶしから今のような文芸的な評価をされるようになったのはいつからだろう。子供だけではなく大人も楽しめ、またそれなりに読み込まなければならない作品が登場した頃ですね。

 白土三平の作品は間違いなくその中に入るでしょう。私は「サスケ」から読みました。その後兄の影響で「カムイ伝」「忍者武芸帳」に接して白土ファンになった一人です。夢中になって読んだのは高校生の時分かと思います。

 同じ忍者ものでも横山光輝などとは異なり理屈っぽく絵も男性的な荒っぽさがありました。作中の解説も所謂疑似科学の手法でなんとなく納得させられました。何より学校で学ぶ実際の歴史をからめて壮大なストーリーが展開されるんだから生意気盛りの高校生には面白くて仕方ない。

 歴史の闇の部分に光を当て、被差別の存在なんかも「橋の無い川」ではなく「カムイ伝」で知った輩でした。幸福の絶頂にあるヒロインがあっけなく惨殺されたりで決して小学生が喜んで読む代物ではなかった。そこには骨太な作者の世界観がたっぷりと練り込まれていました。

                 

 もう一つは「ゴルゴ13」でしょう。ご存知さいとう・たかおの代表作です。今ではパロディにされるくらいの有名キャラ、デューク東郷が主役の硬派?の漫画です。しかしこれも背景にリアルな国際社会を描いてるから存在感があるんです。たまに単行本のページ数の為に付け足された作品にはただの成人向けエロ漫画があります。

 いずれにしてもゴルゴのダンディズムは多くの男性の憧れになりました。ライターで火をつける時はいつも気持ちはゴルゴです。しかしこれは漫画だから許される面があり、映画「ジャッカルの日」を観るとあの非情さが実写ではちょっと辛かった。

 子供の頃には近所に貸し本屋さんがありました。絶滅職種の代表ですね。そこには子供向けの漫画本とは一線を画して大人向けの本も沢山並んでいました。勿論漫画だけではなく小説や月刊誌、週刊誌の類もあります。店に入ると子供ながら関心は大人の本にも当然ありました。しかし正面に貸し本屋の親爺がデンと座っていつも見張ってるから手に取ることすらかないません。

 今は成人向けの本やビデオが自販機で売られています。子供達はなんの怖れも無くそれらを購入できます。またインターネットをすれば大人でも恥ずかしくなるような画像を小学生でも見られます。一概に昔は良かったなんて言う気はないけど確かに良かった事も沢山あったと思います。子供では入れないカギの掛った納戸があるのは大人にも子供にも好都合な事と思っています。