今日は曇り時々晴れまたは雨。今朝は上空にどんよりとした雲が広がっていたが、次第に雲の合間から青空が広がってきて、日が射し始めた。朝の気温は 25℃で熱帯夜となった。南よりの風が吹いていて湿度が高く、ムシムシとした陽気である。ただ、ここ熱海は海が目の前に広がっているということもあって、海風が気持ちよかった。
宿泊していた旅館で朝食を食べると、朝風呂に入った。旅館に3カ所ある大浴場は男女入替制になっていて、この時間は旅館の5階建ての建物の4階にある大浴場に入る。露天風呂もあって、湯船からは相模湾が一望できた。
今日は熱海の街を散策することにしている。昼前に旅館を出ると、旅館の送迎バスで熱海の山の上にあるMOA美術館に行くことにした。MOA美術館は相模湾を見渡す高台に建つ「海の見える美術館」で、エントランスから美術館本館まで3基のエスカレーターを使って昇っていく。
本館前の相模灘を望むムア広場と呼ばれる広場にはヘンリー・ムーアのブロンズ像「王と王妃」が設置されている。この広場から本館までは急な階段が設けられているが、この階段を登らなくても、建物の中を4基のエスカレーターで登ることができる。もちろん、エスカレーターを使って本館2階まで登った。
メインロビーに入ると左手に黄金の茶室が展示されている。この黄金の茶室は豊臣秀吉が大阪城内や茶会で組み立てた黄金の茶室を復元制作したものである。
右手奥は展示室になっている。今月28日までは吉田博木版画展を開催しており、画家吉田博の水彩画や油彩画、木版画などが約80点の作品が展示されている。これら展示の中に混じって、MOA美術館の所蔵する国宝「色絵藤花文茶壺」等も展示されていて、なかなか見応えのある展示となっていた。
2階の展示を見た後は1階の展示室に降りて、MOA美術館の所蔵品を見て回る。その後は本館の外に出て、茶の庭に向かった。茶の庭の入口には神奈川県大磯町の三井家別邸 城山荘内にあった唐門が建っている。
この門をくぐって、中に入る。庭園内には茶室や尾形光琳の屋敷を復元した光琳屋敷、豊臣家重臣片桐且元が薬師寺の普請奉行をつとめた時の宿舎の正門であった片桐門などがある。
庭園を一周し、本館に戻る。1階のカフェでお茶をした後、MOA美術館を出た。
午後は熱海市街地の中にある起雲閣に行くことにした。起雲閣まではバスを乗り継いで行くことも考えたが、目の前にタクシーが停まっていたので、タクシーで起雲閣に行くことにした。
熱海市指定有形文化財となっている起雲閣は大正から昭和時代にかけての実業家・政治家である内田信也が別邸として建設したのが始まりで、その後、鉄道王の異名を持つ根津嘉一郎の手に渡り、戦後は旅館として開業した。平成に入り、熱海市が観光の拠点として整備し、一般公開をしている。
建物は広大な庭を囲むように配されていて、建物もまた広い。
旅館として営業されていた時期は、山本有三や志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治などの文豪が宿泊しており、文豪にまつわる資料も展示されている。
建物を一巡したところで、入口脇にある喫茶室「やすらぎ」でお茶をすることにした。
( 今日のスイーツ(御抹茶と和菓子@喫茶室やすらぎ) に続く )
喫茶室を出た後は起雲閣の庭に出た。庭には池が配置されていて、池の周囲を巡ることもできる。庭から見る起雲閣の建物群は一部後世に整備された建物を除き、昭和の雰囲気を感じさせるモダニズムな建築様式で、見ていて飽きない。
庭を一巡した後、起雲閣を出て熱海駅に向かう。今日は熱海海上花火大会があるので、旅館の夕食を早めに予約しておいた。そのため、あまり遅くならない内に旅館に戻ることにしていた。起雲閣からはバスで熱海駅に戻るつもりだったが、バスに乗れずに熱海駅まで歩いて戻った。熱海の街までは急な坂もあったが、昨日の伊豆山神社から熱海市街地まで戻る行程に比べるとだいぶ楽だった。
熱海駅前から旅館の送迎バスで旅館に戻ると、少し休憩をして、旅館で夕食を食べる。食事を済ませると、早々に部屋に戻り、カメラをセットして、花火が打ち上げられるのを待った。
熱海海上花火大会は午後8時20分から50分までの30分間で実施される。旅館の仲居さんに聞くと、雨が降っても風が吹いても花火は打ち上げられるというのが凄い。
花火大会のスケジュールは以下の通りである。
20:19 プロローグナレーション
20:20 弟1ステージ オープニングカウントダウン
20:30 弟2ステージ 水上の花火展覧会
20:40 弟3ステージコンピューター制御デジタルスターマイン
20:49 ファイナルステージ 最終最大の一大スペクタクル 大空中ナイアガラ
20:50 エピローグナレーション
花火を打ち上げる会場は岸から順に第1会場、第2会場、第3会場の3つに分かれていて、プログラムによっては全会場で花火が打ち上げられる。ちなみにナレーションはホテルからは聞こえないので、時計を見ながら暗い海を眺めた。
花火は時間通りに打ち上げられた。打上花火を見るのは3年ぶりだろうか。途中、にわかに嵐のような強い雨が降ってきたが、花火は何事もないかのように打ち上げられている。おそらく浜で楽しんでいた人たちはずぶぬれになったのでは無かろうか。
最後にフィナーレを飾る「大空中ナイアガラ」が打ち上げられて、その美しさに目を奪われた。花火が終わると、カメラを片付ける。その後、旅館の大浴場で温泉に浸かって、昼間の疲れを癒した。
( 熱海旅行(2日目)(MOA美術館・起雲閣) から続く )
喫茶室「やすらぎ」に入る。
起雲閣の庭に面した喫茶室は厨房に面してカウンター席が6席直線上に配されている他、6人掛けのテーブル席が2卓と4人掛けのテーブル席が1卓ある。店員に「お好きな席にどうぞ」と言われて4人掛けのテーブル席に腰を下ろした。
卓上にはコーヒーシュガーとシュガーの2種類のシュガーポットとラミネートされたメニューが置かれている。メニューは「お抹茶と和菓子」「起雲閣ブレンド珈琲とクッキー」「起雲閣ブレンド珈琲」「熱海紅茶~だいだいマーマレードを添えてロシアンティー」「紅茶~ストレートティー、ミルクティー」「オレンジジュース」「アイスコーヒー」「アイスティー」「クッキー」「クラッカー&だいだいマーマレード」で構成されている。
自分の注文したのは「お抹茶と和菓子」である。お抹茶は温かい抹茶か、冷たい抹茶が選べるということで、冷たい抹茶を注文することにした。今月の和菓子は水まんじゅうとのことである。
しばらく待っていると、抹茶と和菓子が載せられたトレーが運ばれてきた。
抹茶はグラスに注がれたアイス抹茶に氷が浮かべられている。アイス抹茶にはストローが添えられていて、添えられたストローを挿し込んだ。
和菓子の水まんじゅうは昨日お茶をした間瀬CAFEなど熱海市内に店舗や喫茶を展開している老舗和菓子舗「間瀬」の商品で、吉野葛と寒天の透き通った生地にこしあんをしのばせている。
紙おしぼりで手を拭くと、まずは抹茶をストローで飲む。冷たい抹茶は抹茶の上品な苦みと風味が美味しい。抹茶を少し飲むと、水まんじゅうを食べる。水まんじゅうを口に入れると、ぷるんとした食感とこしあんの落ち着いた甘さが味わえた。この甘さが残っている内にアイス抹茶を飲んだ。
アイス抹茶を飲み干すと、少し体も冷えて、落ち着いた気分になった。汗もひいて、むしろ濡れたTシャツが店内の冷房で冷たく感じられる。窓の外に目を向けると、庭の芝の緑が濃く見える。
今日は熱海の花火大会があるので、早めに旅館に戻ることにしている。この後は庭を見てから熱海駅に出て、土産物を買って旅館に戻る予定である。少し休憩をして歩き疲れた足を癒すと、店を出ることにした。
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