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◇ERP◇ システムベンダー6社による「発注者ビュー検討会」発足の裏にあるもの

2006-04-30 16:59:26 | IT・視点


 最近、企業の基幹システムにトラブルが発生し、社会問題化しつつある。それだけにコンピューターシステムが社会の中枢に入り込み、重要な役割を演じていることが実証されるという、皮肉な側面も覗かせている。ここで問題となるのが、ユーザーのシステム要求が、正確に開発側に伝わっているかどうかが問題になる。SI企業側からすると、最初からユーザー側の要求を正確につかみ、後で修正が出ないようにすることは、プロジェクトの赤字化を防ぐことにつながる。最近発足したベンダー側6社による「発注者ビュー検討会」の発足の背景には、これらの問題が存在する。

 NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所、構造計画研究所、東芝ソリューションの6社は、情報システムの「仕様」の記述方法・合意方法のの共同検討会「発注者ビュー検討会」を発足させた。これは、これまで企業ごと、プロジェクトごとに、開発者の視点で個別に定めていた仕様書の記述方法および合意方法について、“ユーザの視点で分かりやすく”“現場で使える”ベストプラクティスづくりを狙いとしている。ユーザー視点での使用記述方法について、画面遷移・定義から順次着手し、07年9月末までに検討を終了させる予定。成果物については、標準案の策定・公開を目指すことにしている。

 要求開発アライアンス(ReDA)が05年3月に設立され活発な活動を展開している。ReDAはビジネスの改善活動をシステム開発にいかに結びつけるかに注目し、ユーザーにとって真に役立つ情報システムを作り上げることを目的とした団体。真に価値あるシステムを作るための要求開発方法論「Openthology(Open Enterprise Methodology)」を独自に開発し「Ver1.0」を完成させた。Openthologyは「要求はあるものではなく、開発するものである」というスローガンの下に、ビジネス的要求をシステム要求に変換するためのシステマティックなアプローチ提供する。06年3月には「要求開発サミット2006-コンセプトから実践へ-」を開催し、Openthologyについての実践的報告が行われた。

 UMLモデリング推進協議会が03年5月に発足し、わが国でもUMLの普及に向けた本格的動きが開始された。UMLとはUnified Modeling Languageの略で“統一モデリング言語”と訳されている。最初の版はラショナル(現IBM)の3人によって策定され、現在はOMGによって管理されている。システムを図を使い表現するので、プログラムの可視化が可能となり、システム要求開発には欠かせないツールになりつつある。OMGでは世界共通の「UML技術者資格試験」を実施している。

 これまで、あいまいな表し方でソフトウエアを開発するための費用の見積もりが行われ、この結果、いろいろなトラブルが発生してきた。これを解決するためIBMのA.J.Albrecht氏が1979年にファンクションポイント法というアプリケーションプログラムの大きさを測定する手法を開発し、これによって、よりきちんとしたプログラムの大きさを基に、見積もり計算を行うことができるようになった。プログラムの大きさをはかるには通常、ソースコードの行数やファイルサイズが使われているが、これは言語や開発手法に依存し、いろいろの新しい技術が出てくる中、実情に合わなくなってきている。これに対しファンクションポイント法は、ソフトウエアの持つ機能の数を基にソフトウエアの規模を測定するもので、アプリケーションプログラムの大きさに相当する量を、プログラムの入出力とデータの集合(ファイル)によって表す方法。これによりソフトウエアの価値、品質、開発の生産性の尺度として客観的に使うことができる。日本ではファンクションポイント法の国際組織「IFPUG」の日本支部として1996年に日本ファンクションポイントユーザ会(JFPUG)が結成され、活動を展開している。 (erpdata)