さてそれで、本来はこのページではBHがマイナス質量にジャンプするという内容になるはずでした。
「ホーキングさんが考えたこと・6・その後のBHの運命」での予想ではそうなっていましたし、<--リンク
「ホーキングさんが考えたこと・16・ホーキング放射のシミュレーション(4)」の計算では実際にジャンプしていました。<--リンク
そうして、この記事をアップする前に書き上げた「26番目の記事」では確かに「マイナスジャンプは起こっている」様に見えました。
そう言う訳で、一つ前の記事の終わりに
『さてそれで、⊿E=0.4*Eと言うような条件でのホーキング放射はBHが小さくなるにつれて起こりにくくなるのですが、このレベルまでBHのサイズが小さくなりますと逆に「高いエネルギーでのホーキング放射が可能となる確率」が増加してきます。
その結果、このBHはどうなっていくのか、それは次のページ以降にて検討することと致しましょう。』
などと言う様に、「思わせぶりな書き方」をしました。
(今はそこの文章は削除されています。)
しかしながら、ひと休みしていると「あそこが手抜きだ」というのが浮んでくるではありませんか!
それで、そこを直そうとすると傷口は広がっていくばかりです。
そうしてとうとう「この記事はおしゃかだ」と言う事になってしまいました。
「ホーキングさんが考えたこと・16」での計算では運動量保存則が考慮されていませんでした。
そうして、今回運動量保存則を考慮した計算を行っているのですが、どうやらそうしますと「ニュートリノ放射によるBHのマイナス質量へのジャンプは起こらない」という結果になりそうです。
この結論は個人的には「残念なもの」ではありますが、その結論を変更できる手段が見あたらない現状においては、それを認めるしかない様です。
運動量保存則は「BHは消滅できない」を証明する時には当方には優しかったのですが、どうやら今回はそのようではなく、厳しいものになっています。
以下はそのようにして否定されてしまったロジックになります。
↓
『さてそれで、前ページで宣言した事「⊿E=0.4*E」と言う条件ではなくもっと大きな⊿Eでもいいのでは、ということについて考えましょう。
もともとの議論は
M=sqrt(((E-⊿E)^2-P^2*C^2)/C^4)
の式でBHの仮想ニュートリノ吸収後のBHの質量が決まるのでしたが、その際にはルートの中がマイナスでは困る、というものでした。
それで、ルートの中がマイナスにならない条件は
(E-⊿E)^2>P^2*C^2 です。
そうして今までは「暗黙の了解」で
(E-⊿E)>0
としてきました。
しかしながらこれとは別に
(E-⊿E)<0
であっても
(E-⊿E)^2>P^2*C^2 が成立していればいいのです。
それはつまり
「BHのニュートリノ吸収後の全エネルギーがマイナスでもかまわない」と言う事です。
但しその場合は
M=sqrt(((E-⊿E)^2-P^2*C^2)/C^4)
で計算されるMはM<0となる事になります。
これはもともと上記の式が
(E-⊿E)^2=P^2*C^2+M^2*C^4
から変形され、その際にルートの前の符号がプラスを、これも「暗黙の了解」で選択していたからであります。
そうであれば今回の検討では
M=ーsqrt(((E-⊿E)^2-P^2*C^2)/C^4)
という式を使う事になります。
そうして、
(E-⊿E)^2>P^2*C^2
のような状況が成立する為には、事前検討によれば、マイナスエネルギーにジャンプする際にそのBHに飛び込む仮想粒子の持つエネルギーとその飛び込む方向、つまり飛び込む前にBHが持っていた運動量の方向と、今回、そのBHに飛び込む仮想粒子が持っている運動量の方向が重要になる事が分かっています。
その条件とは「BHが持っていた運動量を打ち消すような方向で仮想粒子がBHに飛び込む事」と言い表す事が出来ます。
たとえば、多少の過不足はあってもBHの運動方向とま逆の方向に仮想粒子が飛び込みますと、BHの運動量Pの絶対値は減少する事になります。
その様にできれば
(E-⊿E)^2>P^2*C^2
という条件を満足させる事ができる、という訳です。』
こうして、ロジックの上では一応の勝算がある様に見えました。
しかしながら、具体的に計算をはじめますと
『(E-⊿E)<0
であっても
(E-⊿E)^2>P^2*C^2 が成立していればいいのです。』
を満足させる事ができません。
その理由を以下に示します。
もともとの出発点は以下の式になります。
(E-⊿E)^2=(P*C)^2+(M*C^2)^2
ここで⊿EはBHからニュートリノがホーキング放射で持ち去る事になるエネルギー
⊿E=Abs(P1*C)
を表します。
そしてP*CはBHに仮想粒子が持ち込んだ運動量P1ともともとBHが持っていた運動量P0のベクトル加算値になります。
さてそれで、仮想粒子が飛び込む前のBHは以下の式を満足していました。
E^2=(P0*C)^2+(M0*C^2)^2
ここでP0はBHの運動量、M0はBHの静止質量となります。
これは3平方の定理で斜辺がEの直角三角形です。
従って
E>P0*CかつE>M0*C^2が成立します。
次にホーキング放射条件式
(E-⊿E)^2>P^2*C^2
は
E-⊿E の絶対値が
P*C の絶対値より大きい、という事を要求しています。
そうであれば、我々はP*Cの絶対値をミニマムにしなくてはなりません。
そのミニマム条件とはBHの運動方向とは真逆に仮想粒子がBHに飛び込む事、となります。
そのときにP*Cは
P*C=(P0*C-P1*C)と表せます。
そうしてこの場合がP*Cの絶対値がミニマムとなります。
そしてこの式は
P*C=(P0*C-⊿E)と変形できます。
さてE<⊿Eと設定する事で
(E-⊿E)<0 となり
BHの全エネルギーはマイナスになったかの様に見えます。
しかしながら
E>P0*C でしたから(直角三角形の条件です。)
(E-⊿E)>(P0*C-⊿E) となり
(E-⊿E)<0 から
0>(E-⊿E)>(P0*C-⊿E) となります。
つまり(E-⊿E)<0と設定した場合(E-⊿E)の絶対値は常に
(P0*C-⊿E)よりも小さい事になります。
そうして
(P0*C-⊿E)=P*C であることより
P*Cの絶対値が最小値の場合でも
0>(E-⊿E)>(P*C) としかならず
常に(E-⊿E)の絶対値よりも
(P*C)の絶対値の方が大きい事になります。
そのために
ホーキング放射条件式
(E-⊿E)^2>P^2*C^2
は決して成立する事はない、と言う事になります。
つまり
E<⊿Eと設定する事で
(E-⊿E)<0 となり
BHの全エネルギーはマイナスになったかの様に見えますが、この条件でホーキング放射は起こる事はない、と言う事になるのでした。(注1)
こうしてマイクロBHのマイナス質量へのジャンプがエネルギー保存則と運動量保存則から禁止されてしまいましたので、従来予定の「BHはマイナス質量にジャンプしてそこで安定する」という事が言えなくなってしまいました。
そう言う訳で、「それではいったいこのマイクロBHはどうなってしまうのか」という事については次回以降と言う事にしたいと思います。
(注1)
この条件でホーキング放射は起こる事はない、と言う事になるのでした。
↑
こんな風に言っていますが、「現在の物理の常識の範囲内ではそのように判断できる」と言うのが正確な表現になります。
つまり「その条件でホーキング放射を可能とする為には現状の物理の拡張が必要である。」と言う事になってきます。
・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク
http://archive.fo/jiuo4
http://archive.fo/yGpMa
ずいぶんとNHKの言いなりになっている記事です。
生きている時に結んだ契約が死者になっても継続する?
そんなはずはありません。
しかしNHKは「当該の方が亡くなった。」とはなかなか認めません。
NHKから依頼を受けた人に「その方はなくなっています。」、「この家には誰も住んでいません」と伝えても「督促状」は相変わらず郵送されてきます。
もちろん宛名は「亡くなったと伝えた故人の名前」です。
NHKというのはそういう所です。
『 ツイートの「死後の分まで払えの一点張り」といったような対応が実際にコールセンターで行われていたのか調査したが、「残念ながら特定できませんでした。
1日何千件と電話が来るので、Twitterにある情報だけだと確認が非常に難しいです」。
NHKのマニュアルと現場とで認識に違いが生まれている可能性もあるが、確認しようがないとのことだった。』
↑
これは勝手なNHKの言い分ですね。
電話でも伝え、はがきでも伝え、そうしてNHKからの依頼で来た人にも伝えてもあいかわらず「故人の名前で郵便物を送りつける」、NHKとはそういう所です。
それではどうするか?
家をなくせばいいのです。
これが一番確実。
そうなれば郵便物は「尋ね当たりません」としてNHKに戻ります。
「いや、そんなに簡単には家はつぶせないよ。」
普通はそうですよね。
そういう時は、郵便法の規定を使いましょう。
「故人宛の郵便物は開封してはいけません。」
「故人宛の郵便物は差出人に返却となります。」
コトバは違うと思いますが、法律でそう決められています。
はい、NHKからあいかわらず、「うるさい、こちらの言う事など一切聞かないNHKからの郵便物」が届きました。
開封してはいけませんよ。
表に赤字で
「宛名の方は故人です。」
「この方はこの住所には住んでいません。」
と書きましょう。
他の事は一切書く必要はありません。
そうしてそのまま郵便ポストに投函します。
そうすると郵便局では「この住所のこの方は故人である」と認識します。
そうなるとNHKを含めて「故人宛の郵便物は全て差出人にご返却」となります。
PS
親が結んだ受信契約はそのまま自動的に子供に引き継がれるのではありません。
そこには新たに「再契約が必要」になるはずです。
ですから、「親と同居していた」としても、そうして「親の死後、その家に住んでいた」としても亡くなった故人宛の郵便物にはお引き取り願うのが筋というものであります。
そうしてNHKは新たにその家の主人となった方に改めて「お願い」をして「受信契約」を結んでもらうのが筋というものです。
PS
以上の内容について、「そのように実行されるかどうか」はご自分の責任においてご判断をお願いします。
当方と致しましては、「このような情報もあるよ」という立場であり、上記内容を実行にうつされた結果がどのようなものになるにせよ、一切の責任を負うものではありません。
(つまり、ご自分でも上記情報の裏をとり、良く考えたうえで、妥当だと思われる行動を取られる事をお勧めいたします。)
PS
・受信料の帳票紛失 職員が故意に廃棄も<--リンク
自分には甘く、他人にはしつこくがこの組織のモットーでしょうね。
PS
・「NHK契約」カーナビも? 最高裁「ワンセグ付携帯も契約義務」 各社の対応は?<--リンク
NHKは国がやっている事業で、裁判所は国に頭が上がらなくて、国民の事などはどうでもいい、とでもいう様なものが、この国の現状でありますなあ。
PS
・カーナビも受信料は義務 テレビ持たず、初の判断 <--リンク
NHKの出先機関でしかないようですね、裁判所は。
しかしながら、以下の2つの事を暗黙の了解としています。
①、どんなにBHの質量が小さくなっても、BHのホライズン径が小さくなっても仮想粒子はBHに飛び込む事が出来る。
それゆえどんなに小さなBHでもそれまでと同じ様にしてホーキング放射を出す事が出来る。
②、最後にこのBHに飛び込む事になる仮想粒子のエネルギーをその時にBHが持つエネルギーと同じ値にできる。
そうであればこのBHはホーキング放射として仮想粒子がBHから持ち出すエネルギーによって消滅する事になる。
さらに今回指摘している様に、「運動量保存則」は考慮されていません。
それは「考慮しなくとも良い」かのように扱われています。
それに対して前回の検討では「運動量保存則」を考慮する様にしたものです。
その結果は「計算が⑤の状況ですでに成立しなくなる」という所まで確認できました。
以下は前回の結果の再掲示になります。
この計算ではエネルギーと運動量の保存則を同時に考量しています。
ニュートリノ吸収後の
ΔE P E BHの質量M
① 2.195E+08 0.73230 1.956E+09 1.916E-08
② 2.473E+08 0.82489 1.736E+09 1.634E-08
③ 2.884E+08 0.96190 1.489E+09 1.297E-08
④ 3.576E+08 1.19295 1.201E+09 8.492E-09
⑤ 5.094E+08 1.69911 8.429E+08 ------
そして、そこで指摘した様に「より少ないエネルギーの放射であれば⑤の状況でも可能である事」をコメントしておきました。
従いまして、「話の続きはそこから」と言う事になります。
以下の表より⑤ の状況を再確認して起きます。
M(Kg) T(K) ⊿M(Kg) M-⊿M(Kg) 2*Rs/Lp
④ 1.336E-08 9.186E+30 3.979E-09 9.378E-09 2.46
⑤ 9.378E-09 1.308E+31 5.667E-09 3.711E-09 1.72
(ちなみにこの表の計算では運動量保存則が考慮されていません。)
質量は9.378E-09(Kg)、これはプランク質量の4割程度の値です。
そしてホーキング温度が1.308E+31(K)。
このホーキング温度で一番発生頻度が高いエネルギーでの放射を計算するとNGとなった、と言うのが前回の結果でした。
そして⑤の計算でもホーキング放射前にはBHは静止していた、という実際にはありえない条件で解くのですが、これは簡便な計算をする上では仕方がない事でした。
(E-⊿E)^2=P^2*C^2+M^2*C^4
において今回のホーキング放射のエネルギーが⊿Eの時にはP*Cの値も⊿Eとなっています。
(これが「放射前はBHは静止していた」という条件のありがたみです。)
そうなるとホーキング放射の条件式
(E-⊿E)^2>=P^2*C^2
は
(E-⊿E)^2>=⊿E^2
となり、整理すると
E*(E-2*⊿E)>=0
最終的にはE>0である事よりこの条件は
E-2*⊿E>=0
従って
E/2>=⊿E
という事になります。
つまり「その時のBHの全エネルギーの半分までのエネルギーを持つホーキング放射であれば可能である」という訳です。
しかしながら通常はホーキング放射前のBHが止まっている、という状況は、このBHが一番最初にホーキング放射を出した時のみに成立していた状況です。
そうでありますから一般的にはホーキング放射を出す前にP>0であって、従って
E/2=⊿E
と言うような限界条件ではホーキング放射は起こりえない、と言う事になります。
(ホーキング放射を出す前にすでにBHは運動量Pを持っていた、とすると今回BHに飛び込んだ仮想粒子がもっていた運動量を、BHが持っていた運動量Pとベクトル加算する事になり、従って
(E-⊿E)^2=P^2*C^2+M^2*C^4において
この式のP^2*C^2の値はかなりの確率で⊿E^2を上回る事が予想できます。
それは結局のところホーキング放射の条件式
(E-⊿E)^2>=P^2*C^2
がより成立しにくくなる、と言う事につながります。)
そう言う訳でここでは
⊿E=<0.5*E
ではなく
⊿E=<0.4*E
として以降の話を進めさせていただきます。
ちなみに前回、計算できなくなったエネルギー⊿Eは5.094E+08であって、これはBHのエネルギーEの0.6倍になっていました。
このことから分かります事は、BHはこのレベルになると「BHのホーキング温度に対応した黒体放射スペクトルの振動数の高い方の放射はできなくなる」、つまり「BHはハイカットフィルターになる」という事になります。
ここでは計算ステップを小さくする事は可能ですが、話が煩雑になりますので
⊿E=0.4*E
として⑤のステップを計算しましょう。
M=sqrt((E-⊿E)^2-P^2*C^2)/C^4)
において
⊿E=0.4*E
P^2*C^2=⊿E^2
を代入し整理しますと、
M=sqrt(0.2)*E/C^2=0.4472*(ホーキング放射前のBHの質量)
となります。
以上より
放射前BH質量A(Kg)と放射後BH質量B(Kg)、放射前BH直径をプランク長さで割った値を以下に示します。
A(Kg) B(Kg) BH直径/Lp
⑤ 9.378E-09 4.194E-09 1.72
⑥ 4.194E-09 1.875E-09 0.769
⑦ 1.875E-09 8.387E-10 0.344
(なお⑥、⑦は⑤と同じ条件で繰り返しホーキング放射をした場合の計算結果です。)
こうしてみると「ホーキング放射前のBHはほぼ静止している」という条件と「⊿E=0.4*E」の条件でホーキング放射は無限に続くかの様に見えます。
その有様は0.4472を比例係数とした等比数列になっていますから、そのように見えるのは当然の事になります。
しかしながら、BHの質量が小さくなる、と言う事はBHの温度が上がる、と言う事につながりその結果としては、「エネルギーの低い放射が起きる確率が下がる」という結果につながります。
そう言う訳で、次はそのような放射が起きる確率Pを計算する事になります。
そうして、実はBHのホライズン直径が2Lpを切ったあたりからこのような確率計算が必要になってくる模様です。
さて質量MのBHのホーキング温度Tは
T=h*C^3/(8*Pi*Kb*M*G)でした。
温度Tの時の黒体放射スペクトルでもっとも多く放射されるエネルギーEpの放射は
Ep=2.82*Kb*Tでした。(プランク則参照)
Tにホーキング温度を入れて整理すると
Ep=2.82*h*C^3/(8*Pi*M*G)となります。
今回は⊿E=0.4*E=0.4*M*C^2としています。
この⊿EがEpの何倍になっているのかを確率計算の目安とします。
R=⊿E/Epに上記を代入して整理すると
R=(0.4*8*Pi/2.82)*(M/Mp)^2
となります。
ここでMpはプランク質量MpでMp=sqrt(C*h/G)です。.
(そうしてMp= 2.176E-08(Kg)でもあります。)
今回の条件では限界であるエネルギー⊿E以下のエネルギーの放射が可能である、と言う事ですので、その条件で確率計算をします。
(⊿E=<0.4*Eですので、最大値が⊿E=0.4*E、でも計数0.4は0<計数<=0.4でOKですのでその範囲で積分する事になります。)
A(Kg) R P (参考:積分した値)
⑤ 9.378E-09 0.6621 0.1561 101383000
⑥ 4.194E-09 0.1324 0.002316 1504120
⑦ 1.875E-09 0.02647 0.00002076 13480
確率Pの求め方は「ホーキングさんが考えたこと・17」で行ったやり方に準じ、ウルフラムを使って
「0からR*282の範囲でx^3/(e^(x/100)-1) の積分」を行い、得られた値それぞれを
母数を6.49394*10^8として、その値で割ってPを求めます。<--リンク
(ここで母数は「0から無限大の範囲でx^3/(e^(x/100)-1) の積分」を行った値となります。)
そうしますと⑤では10回に一回ほどは放射が起こりそうですが⑥では1000回に2回、⑦では10万回に2回とBHの質量が小さくなるにつれて、なかなかホーキング放射が起きなくなる、という状況になる事が分かります。
これはホーキング放射可能なエネルギーレベルを超えた仮想粒子の発生が原因です。
その様な場合はBHはその仮想粒子のBHへの飛び込みを無視する事になります。
ちなみに上記の計算では「BHの質量Mの減少に伴うホライズン直径の減少が原因で仮想粒子がBHに飛び込めなくなる」という「従来から当方が主張している効果」は考慮されていません。
・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク
http://archive.fo/tsEvG
http://archive.fo/qp4Qb
そういう意味では「要約」も必要になってくるのでしょうね。
まあしかし「前書きは前書き」ですから、少々くだけた事を書かせていただきます。
そうして、現状の一応の結論が
「23・BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?」と
「24・BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?(2)」
にまとまっています。(2019/5/7現在)
↓
・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク
お急ぎの方はそちらからご覧いただければと思います。
第一部:概論(0~9章、12章)
0・「ダークマター」の正体に迫れるか? 宇宙の謎を巡る研究に方向転換の動き
↑
この記事を読んで「原始ブラックホールがダークマターの主な要素にはなれない」という主張に「いやそれは違うだろう」とどういう訳かそのように思い込み、「それではなぜ違うと思うのか、それを調べましょう」という事でこのシリーズが始まりました。
そして、この時点ですでに「ダークマターの正体はプランクスケールのBHだな」と思っていた様です。
一応ホーキング放射についてのそれなりの情報はもっていましたので、「BHがホーキング放射を出して、最後にはこの世から消え失せる」というのはおかしな話だ、という印象はありました。
↑
ここの書き方は正確ではありませんね。
この件を考え始めるまでは「そうか、BHはホーキング放射で消えてなくなるのか」と、確かに思っておりましたから。
1・小さなBHは本当に消えたのか?
↑
ここではダークマター探索をやっておられる方々の資料をそれなりに見させてもらいました。
いずれの資料でも「ちいさなBHはすでに蒸発しているので、もはや考慮する必要はない」が結論でした。
そうして、そのようなスタンスは現在も継続中、「その業界ではそれが常識」の様であります。
それで、ここの章での当方の結論は
「最終的にマイクロBHに飛び込めるのは光子かニュートリノだな」というものになります。
2・ホーキング放射のメカニズム
↑
いやいや、びっくりしました。
『この結果、生成消滅演算子も、空間が平らでないと、形を変えます。
空間が曲がっているときの消滅演算子をa'とすると
a'=αa-βa†
というように、ボゴリューボフ変換で結ばれます。』
↑
こんな難しい事をホーキングさんは最初にやられた、と。
そうしてそれは我々が今まで聞いていた「ホーキング放射のメカニズムの説明」とは相当に解離があるものでした。
それで、ここの章での当方の結論は
「従来のBH寿命の計算の仕方に問題がありそうだ。」というものと、
「マイクロBHの直径がプランク長LpになったところでこのBHは安定するな。」というものです。
3・熱暴走するBH
↑
寿命計算がらみの事で、一応整理をしてみた・・・つもりの様ですが、今から見ると「あっちに行ったりこっちにきたり」でしたね。
ここの章での当方の結論は
「ホーキング放射を出す層の厚みをまじめに考えないといけないのでは、、、」というものです。
それをせずに「黒体と見なせるからあとは従来の方法で扱えばOK」というのはいかにも「手抜きであろう」と。
4・不確定性原理と仮想粒子の対生成
↑
時間とエネルギーの不確定性で仮想粒子が対生成される。
そのうちの片方がBHに飛び込むと他方がホーキング放射として観測される。
エネルギー保存則から、ホーキング放射された分のエネルギーがBHからなくなり、その分BHの質量が減る。
そうやって最終的に質量がゼロになりこの世界から姿を消す、というストーリーのおさらいでした。
しかしながら、このストーリーの一番最後の所、最後の最後にBHに飛び込んだ仮想粒子が持っていた運動量の事を皆さんお忘れの様です、というのがここでの結論でした。
それはつまり
「マイクロBHの直径がプランク長LpになったところがこのBHの安定点だな。」という様な制限をつけなくても、本来、BHは蒸発などできないしろものである、消えてなくなる事はない、という事であります。
↑
この結論は衝撃的でした。
そうして、よく考えてみれば「もっともな話」なのでありました。
ホーキング放射というものは単なる黒体輻射のように、エネルギー収支だけを考えればそれでお終い、というような現象ではなかった、という事であります。
そして「BHというものはどっしりと構えており、ホーキング放射ごときであちこち動き回るようなものでは無い」と言われる方は少々早い様ですが「21・BH(ブラックホール)が質量を減らす方法(2)」を参照願います。
そこではホーキング放射を出したBHがその反動で動き出す様子が計算されております。
さてここでは以上の事に加えて「ホーキング放射が起きる粒子の放出層の厚み」についてもその事を考える手がかりを得ています。(ここまで、平成最後の日に記述)
追伸
面白いなあ、と思う事は「BHが蒸発する」という事に対して量子論からは「情報消失問題」としてこれを取り上げて「大問題だ」と言っています。
これはつまり「情報さえ消えなければBHが消えてしまっても別に問題ではない」という事でもあります。
そうでありますから、「情報消失は大変だ」と多くの人は言っていますが、「BH消失は大変だ」とは、どなたも言ってはいないのです。
そうして、それらの方々はBHが持っている「運動量という情報のこと」は眼中にはないようであります。
その運動量はBH質量と同じように当該BHが過ごしてきた歴史の積み重ねの結果でありますから、当然の事ながら尊重される必要があります。
そうでありますから、「この世からBHを消す」というのであればその質量はゼロに戻し、そうしてまた同時にその運動量もゼロに戻さなくてはなりません。
そのようにできれば「BHは消えた」と言えるでありましょう。
しかしながら「ホーキング放射にはそのような芸当は無理」というのが、当方の見立てであります。
↑
少し表現が足りない所がありました。
上の文章で主張している事は「この世界には同じBHは一つも存在しない」、「存在しているBHはどれもユニークである」という事であります。
仮に「同じ質量をもったBHがたまたま2つ誕生した」としてもそれぞれが一回、ホーキング放射を出せばそれで質量が異なり、持っている運動量が異なる事になります。
そうしてその結果、それぞれのBHの質量や運動量は量子化されることはなくどこまでもアナログでありましょうから、たとえば「目の前にあるマイクロBHの質量はいくつか?」と聞かれたら、無限に数値を並べる事になるでしょう。
その事は結局「目の前のマイクロBHが持っている質量をちょうど打ち消すようなエネルギーの仮想粒子を準備する事は出来ない」という事でもあります。
そしてそのような事(マイクロBHの質量をちょうどゼロにできるような仮想粒子の発生)がホーキング放射で起きる確率は1/無限大となると思われます。
(このあたりの状況が、反粒子を持ってきてぶつければ対消滅してしまう物質粒子と、そのような事ができないBHとの大きな違いになる様です。)
追記(2019/5/6)
上記議論の続きは
「23・BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?」と
「24・BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?(2)」で行われ、
一応の結論まで到達しました。
議論内容詳細につきましては
・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク
から該当記事に入れますので、記事内容にてご確認願います。
5・プランクスケールBHの最終形態
↑
いよいよプランクスケールのBHの登場になります。
そして不思議な事にこのスケールのBHは「紙クズ・ゴミ・ほこり」ぐらいの重量なのですよ。
そのような質量でもBHでいられる、というのがまずは驚きであります。
そうして、何時も自然はそうやって我々を驚かせてくれるのでありました。
ここでの結論
「0<最終BH質量<Mp/4という範囲に落ち着くであろう」
「その範囲がダークマターの質量範囲である」という事になります。
6・その後のBHの運命
↑
一応前回でマイクロBHは安定状態に達したのですが、実はまだその先の運命がこのBHには待っていた、というお話です。
「4・不確定性原理と仮想粒子の対生成」で議論したような手順でホーキング放射の際に「真空とBHがエネルギーのやり取りをする」という話と、「BHの質量をきっちりとゼロにするような仮想粒子のBHへの飛込みはありえない、そこでは必ず過不足が生じるであろう」と言う話を合わせて考えますと、このBHは必然的に、最終的には「マイナス質量をもつBHへと進化せざるを得ないだろう」という結論に導かれます。
そうしてそれはダークマターと並んで我々が探し求めているダークエネルギーの正体であろう、というのがここでの結論となります。
このストーリーのすごい所は「ホーキング放射という一つのプロセスとマイクロBHという一つの存在からダークマターとダークエネルギーが自然に、自動的に出てくる」という所にあり、まさに「自然は巧みである」という話に合致する状況がこのストーリーにはあります。
そうでありますから「とんでも理論だ」と一言で片づけるには「あまりにも美しすぎる話である」と、思いついた時にはそのように感じたものでした。
7・ダークマターの直接観測
↑
天の川銀河にも大量のダークマターが存在し、従って太陽系、そうして実は地球もダークマターの海の中という事になります。
そうであれば地球上でもダークマターを観測できるはず、と考えてそれなりの探索がなされてきましたが、今のところは成果なし。
まあそんなこともあり、「マイクロBHがダークマターだ」と言い出す人も現れる訳であります。(私の事です。)
実際の所、地球ボリュームの中にはダークマターが500gr程は含まれるとか。
マイクロBHの質量が想定できますから、総数が計算出来て、その数からすると「小さな検出面積の検出方法ではなかなかみつからないだろうなあ」という状況がわかります。
ちなみに地球の公転速度が毎秒30Km、銀河の腕のなかで太陽系が銀河中心の周りをまわっている速度が毎秒200Km、そういうわけで地球上では毎秒200km程度でダークマターがぶっ飛んでいる、そういう事の様であります。
さてこのページでの結論は、「地上での直接観測はダークマターがマイクロBHだとするととてもむつかしいものになる」という事であります。
8・BH(ブラックホール)は熱いのか?
↑
どなたが言い出したのかは知りませんが「BH蒸発」とはうまい事を言ったものです。
蒸発、というコトバで「跡形もなく消え去る」というイメージが読者に植え付けられます。
その結果は「BH消滅という仮説に対して我々は疑問を持たなくなる」という事になります。
9・ダークエネルギー優位に至るまでの宇宙展開の歴史
↑
『宇宙は減速膨張から加速膨張へ 66.2億年前に移行し、現在では宇宙のエネルギーの72.9%(観測誤差1.4%)を暗黒エネルギーが占めていることが測定されている。』
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こんな風に言われています。
それで「マイクロBHがマイナス質量のBHへジャンプし、それがダークエネルギーの正体であるとしたら、いったいどういう計算になるのかな?」という事で計算してみたらこうなった、という記事です。
まあとりあえずは大きな矛盾はなさそうなので、「ダークエネルギーはマイナス質量のBHでそれはダークマターが姿をかえたもの」という主張は継続してもいいのかな、という結果の様に思われます。
(ここで話の都合により少しページが飛びます。)
12・マイナス質量のBHについて
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「6・その後のBHの運命」で「自然は、宇宙はマイナス質量のBHを禁止してはいない」などとよく調べもせずに言ったものですから、ここで改めて調べてみました、という内容です。
まあその結果は、といいますと「シュワルツシルト解はBHの質量Mがマイナスである事を禁止してはいない」と言う様に個人的には理解できました。
そしてマイナス質量のBHの作り方まではシュワルツシルト解は教えてはくれませんが、しかしながら、通常の「星の重力崩壊」や「宇宙初期でのPBHの生成」のような作り方では無理である事はシュワルツシルト解から予想できる事であります。
以降の章は第2部に続く予定です。
以下、第2部の内容でのCDM(コールドダークマター)についての一応の結論となります。
『・・・上記内容のお話は「ダークマターと宇宙論」という事で、ページを改めて続く事になります。
そうしてまずは
・フリードマン方程式とそのグラフ
http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=2664#post_id17208
から宇宙論の話が始まります。
さてそれで、ここまでの議論から想定されます事は、「ダークマターとしてのプランクスケールのブラックホールは宇宙の始まりに大量に作られたであろう」という事であります。
そうして、それらのブラックホールは誕生当初からすでにプランクスケールであって、一回~数回、ホーキング放射をしたか、あるいは誕生して今までホーキング放射を一度もしていない、その様な存在であろうと思われます。
その様なものがCDM(コールドダークマター)として宇宙の進化に貢献してきたのであろう、というのが当方の主張する所となります。
http://archive.fo/m1HUy
追記
その後の検討によりますと、
『プランクスケールの原始ブラックホールであって、誕生して今までホーキング放射を一度もしていないものが、CDM(コールドダークマター)の候補としてベストであろう』
という事になります。
http://archive.fo/wrGYM』
以上、第2部内容の予告として掲示しておきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
http://archive.fo/eLUmb
http://archive.fo/zuSoS
http://archive.fo/bX8GH
それと同じ計算を「ホーキングさんが考えたこと・16」で取り上げた、順次ホーキング放射を出しながらBHが自分の質量を減らしていく事例について行ってみましょう。
さてそれで「ホーキングさんが考えたこと・20」によれば⊿Eのエネルギーを持つ質量mのニュートリノが満足すべき式は
⊿E+m*C^2=sqrt(P^2*C^2+m^2*C^4)
となる事になります。
ΔEはニュートリノ・ホーキング放射のエネルギーEを質量ΔMに換算した値にC^2をかけて求めます。
整理して
P=sqrt((⊿E^2+2*⊿E*m*C^2)/C^2)
但しm*C^2=(1.1*10^ー34)*C^2=9.887E-18(J)
以上より⊿Eのエネルギーを持つ質量mのニュートリノの運動量Pが求まります。
このニュートリノを吸収したBHが満たす式は次のようになります。
(E-⊿E)^2=P^2*C^2+M^2*C^4
この式はBHは⊿Eのエネルギーを真空に対して支払い、運動量Pをニュートリノから受け取る事を示しています。
ここでMはニュートリノが飛び込んだ後のBHの静止質量を表します。
Eはニュートリノが飛び込む前のBHの質量にC^2を掛けて求めます。
以上をMについて解いて
M=sqrt(((E-⊿E)^2-P^2*C^2)/C^4)
を得ます。
まずは「ホーキングさんが考えたこと・16」の結果を再掲示します。
この計算ではエネルギー保存則のみを考量しています。
M(Kg) T(K) ⊿M(Kg) M-⊿M(Kg) 2*Rs/Lp
① 2.176E-08 5.638E+30 2.443E-09 1.932E-08 4.0
② 1.932E-08 6.351E+30 2.751E-09 1.657E-08 3.55
③ 1.657E-08 7.407E+30 3.208E-09 1.336E-08 3.04
④ 1.336E-08 9.186E+30 3.979E-09 9.378E-09 2.46
⑤ 9.378E-09 1.308E+31 5.667E-09 3.711E-09 1.72
⑥ 3.711E-09 0.68
そうして以下が今回の計算結果となります。
この計算ではエネルギーと運動量の保存則を同時に考量しています。
ニュートリノ吸収後の
ΔE P E BHの質量M
① 2.195E+08 0.73230 1.956E+09 1.916E-08
② 2.473E+08 0.82489 1.736E+09 1.634E-08
③ 2.884E+08 0.96190 1.489E+09 1.297E-08
④ 3.576E+08 1.19295 1.201E+09 8.492E-09
⑤ 5.094E+08 1.69911 8.429E+08 ------
⑥ 1.287E+09 4.29413 3.335E+08 ------
ニュートリノ吸収によるBHの運動量の増加はBHの運動エネルギーとなり、その分BHの質量減少の度合いが大きくなることは前回の説明と同じです。
そうして、今回特に注目すべきは⑤の状況においてはもはや計算が成立しなくなる、という事であります。
⑤においてはニュートリノ吸収後のBHの質量Mを求める式で
M=(((E-⊿E)^2-P^2*C^2)/C^4)
においてルートの中身がマイナスになっています。
つまり、⑤の状況においてはもはや想定したエネルギーでのホーキング放射は「運動量保存則とエネルギー保存則の両方を同時に満たす事は出来ない」という事であり、したがってこの条件でのホーキング放射は起こらない、という事になります。
(そのような仮想粒子がBHに飛び込んでも、BHはそれを無視する、という事になります。
つまり、その仮想粒子は実体化することなく、何事もなかった様にただ消えていくだけであります。)
但し、この計算の場合のホーキング放射のエネルギーはBH質量から決まるホーキング温度で最も多く発生すると予想されるものになっています。
(つまり、もっとエネルギーの値が少ないホーキング放射であれば⑤の状況のBH質量でも放射が可能である、という事です。)
そして今回の場合のBHのホライズン直径はプランク質量MpのBHの40%程度の所になっています。(注2)
ちなみに⑤の時に「ホーキングさんが考えたこと・16」で計算が可能だった理由は、「16」での計算は運動量保存則を考慮せず、エネルギー保存則のみで計算していたからという事です。
さてこれは従来、当方が主張してきた事「BHのホライズン直径がLp未満になった時点でホーキング放射は一旦とまる」という条件によるものではありません。
「運動量保存則とエネルギー保存則を満たす事」という条件があれば、BHのホライズン直径がLpに至る前にホーキング放射は自動的に止まるかの様であります。
そうして、そのように自然は、宇宙は出来上がっている、という事になります。
所で⑤の計算ではホーキング放射を出す前のBHの運動量はゼロとしています。
(①から⑥までそのようにして計算しています。)
しかしながら実際の状況ではこれまで見てきたように、BHはホーキング放射を出すたびごとにその方向とは逆方向の運動量を得て動き出す、という事でした。
そうでありますから本来はBHの質量Mを求める式
M=(((E-⊿E)^2-P^2*C^2)/C^4)
において、Pの値はそれまでそのBHが放射してきたホーキング放射によって生じた反作用としての運動量、それはまたBHに吸収されたニュートリノが持ち込んだ運動量でもありますが、その運動量Piを最初のニュートリノが運び込んだ運動量P1から今回運び込まれた運動量Pnまでの全ての運動量ベクトルPiをベクトル加算し、その合計されたベクトルの絶対値を入れる必要がある、という事になります。
その際に原点となる座標系はそのBHが誕生した時のBHの中心にある特異点の位置にとるのが妥当であります。
そうやって決められた座標系で、BHにいままで放出された全てのホーキング放射の反作用の運動量が合計され、その合計された運動量ベクトルの絶対値をとってPとし、そうして
M=(((E-⊿E)^2-P^2*C^2)/C^4)
の式によってBHの質量Mが計算されなくてはなりません。
その時にはΔEは今回の放射を含めて、今までホーキング放射でBHから出て行ったエネルギーの合計になります。
そしてエネルギーEはそのBHが誕生した時のBH質量M0にC^2をかけた値、BHの生まれた時の静止質量のエネルギー換算値となります。
そのようにしてMが計算できる場合はそのホーキング放射は可能でありますが、Mが計算できない場合はそのホーキング放射は禁止される、とそういう事になります。
式で書きますと
(E-⊿E)^2>=P^2*C^2 となり、
左辺が右辺より大きいか等しい場合のみが許されます。
そして等号が成立した場合はBHの質量Mはゼロになる、つまり「BHは消滅した」という事になります。
以上の内容がホーキング放射の許容条件、あるいは禁止則となります。
そうしてこれは当方の主張「BHのホライズン直径がLp未満になった時点でホーキング放射は一旦とまる」という事とは何の関係もなく、自然が、宇宙がもっている「決まり事」となります。
さて、今までの話からBHが消滅可能である唯一の条件が明らかになりました。
それは「最後の最後にこのBHに飛びこんだニュートリノによってそれまでこのBHが持っていた運動量がゼロに戻されるのと同時にまたこのBHの全エネルギーEをちょうど打ち消すようなエネルギーをそのニュートリノが運ぶことが出来た場合」という事になります。
それはつまり、このBHが今まで放出した全てのホーキング放射の運動量ベクトルのベクトル和を今回のニュートリノは知っていて、その合計されたベクトルと真逆の方向に運動量ベクトルを、その絶対値は同じ値に設定し、また同時に自分がもつエネルギーをこれから飛び込むことになるBHがもつ全エネルギーEと同じ値に出来る、という事であります。
そして当方の主張は「ホーキング放射の様なランダムプロセスでそのような事が起きる確率は1を無限大で割った値、つまりゼロである」と言うものであります。
・・・・・
以上をもちまして「BHは消滅する事が出来ない」と言う事の証明になります。
注1
BHは大きさを持ちます。
マイクロBHとて同様であります。
そうしてホーキング放射を考えた時に、BHにななめ入射したニュートリノが持っていた運動量はBHに角運動量を与えるのではないのか?と言う疑問は、ホーキング放射のシミュレーションモデルを考えている時からの問題認識であります。
しかしながら、「角運動量の保存則までを考慮に入れたBHの消滅条件を出す事」は当方の技量を上回っており、手に余る問題となります。
従いまして今回「従来のエネルギー保存則のみでの計算方法に対して、新しく運動量保存則を加味した場合でのBHの消滅条件を出せた」という所あたりが、当方の分相応の所かと思われます。
注2
詳細な計算は省きますが、BH質量がプランク質量の47.4%未満になると、今回の条件(その時のBH質量に応じて一番放射頻度が多いと予想されるエネルギーでの放射)ではホーキング放射が出来なくなるという計算結果になっています。
・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク
http://archive.fo/6XnAa
http://archive.fo/IiYoz
今回は光(γ線)の放射について検討しましょう。
ただし光の放射については「ホーキングさんが考えたこと・17」の結論によればニュートリノの放射に比べて
7.31*10^-14=0.0000000000000731の確率でしか起こらないのでした。<--リンク
加えて「ホーキングさんが考えたこと・18」の結論によればニュートリノの放射に比べて「17での理由とはまた違う理由で」発生確率が1/3になってしまうのでした。<--リンク
その結果、ニュートリノの放射に比べて光の放射の発生確率Pが
P=0.3333*7.31*10^-14=0.0000000000000244=100兆分の2.44。
これでは普通は「事実上は無視しても良かろう」という事になります。
まあしかしながら、何らかの理由でニュートリノの放射が制限されていた、とするならばBHは光を放射する事になりますので、一応どのような状況になるのか、確認だけはしておこうという事であります。
BHのホライズン半径が4Lpである状況を想定します。
このBHが吸収しそうしてまたホーキング放射出来る最低のエネルギーをもったγ線の波長は、BHホライズン直径と同程度の8Lpとなります。
そうして、プランク質量MpのBHの半径Rsが2Lpであることから、今回のBHの質量は2*Mpである事が分かります。
波長が8Lpの光のエネルギーEはE=生h*振動数ν=生h*C/(8Lp)
質量換算するとΔM=E/C^2=生h/(8Lp*C)=Pi/4*Mp
(Lp=sqrt(h*G/C^3)、h=生h/(2*Pi)、Mp=sqrt(C*h/G)による。)
もともとのBHの質量が2*Mpでしたからホーキング放射を出した後のBH質量Mは
M=(2-Pi/4)*Mp=1.2146*Mp
となる事が期待されます。
但しこの計算ではBHに飛び込んだ光が持っていた運動量Pを無視しています。
それで次は運動量Pを考慮した場合となります。
光のエネルギーE=P*C=生h*振動数ν
従ってP=生h*振動数ν/C=生h/波長λ=生h/(8Lp)
(あるいはP=Pi/4*Mp*C、E=Pi/4*Mp*C^2)
ホーキング放射を出した後のBHの質量Mが満足しなくてはならない式は
((2*Mp)*C^2-生h*C/(8Lp))=sqrt((P*C)^2+(M*C^2)^2)
ホーキング放射でBHが失ったエネルギーが生h*C/(8Lp)
他方でBHに飛び込んできた仮想粒子が持ち込んだ運動量がPです。
整理すると
M=Mp*sqrt((2-Pi/4)^2-(Pi/4)^2)
M=0.9265*Mp
運動量Pを考慮しない場合はM=1.2146*Mpでしたので
その差分がBHが運動量Pを吸収した事によるBHの運動エネルギー分となっています。
そして上記より光放射後のBHの移動速度をVとすると
P=Pi/4*Mp*C=M*V/sqrt(1-β^2)
但しβ=V^2/C^2
整理すると
Pi/4*C=0.9265*V/sqrt(1-β^2)
Wolframによれば
V=0.6466*C
BHは光速の65%で運動し始める事になります。
こうして光を放射するホーキング放射の場合は、一回当たりの放射エネルギーがニュートリノ放射の場合と比較して相当に大きいという事がわかります。
(ニュートリノ放射の場合はBHは光速の13%程度で走り出します。
他方で光放射の場合は光速の65%で運動し始める事になります。)
そして、その事が光を放射するホーキング放射がニュートリノ放射のホーキング放射の場合に対して起こりにくくなっている理由でもあります。
(光放射の場合はBHのその時のホーキング温度に不相応な高いエネルギーの光の対生成が必要となり、それは難しい事であって、従ってそのような光の発生確率は極端に低くなる事になります。)
さてそういう訳でこれ以降の検討においては、特に光放射に注目する必要がある場合を除いてはニュートリノ放射をホーキング放射のメインプロセスとして想定し、議論を重ねていきたいと考えます。
・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク
http://archive.fo/2Ky2N
いままで検討してきた事を振り返りますと、「BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?」という疑問が湧いてきます。
「消滅したのか?」という現象論ではありません。
「理論的に消滅可能なのか?」という問いになります。
多くの皆さんが参照されているBHの寿命式、あの式でBHの質量Mがゼロになった時点をもって「BHは消滅した」とされています。
しかしながら、あの式のMの値が正確にゼロになるという事は保証されておらず、ゼロになる為には基本的に以下の2つの事を前提(暗黙の了解)とする必要があります。
(より詳細なBHのホーキング放射モデルによれば、質量がゼロになる時点までかかる時間は標準的な計算方法に対してかなり伸びる事になりますが、今はその事は問いません。)
1、BHを消滅させることになる、一番最後にBHに飛び込んだ仮想粒子が持っていた運動量は保存されなくても良い。
つまり運動量の保存則は破る事が可能である。
2、一番最後にBHに飛び込みBHの質量をゼロにできるエネルギーをBHに持ち込む仮想粒子をそのタイミングで真空が生み出す事が可能である。
1番目の「運動量保存則を破る事が可能である」という主張は、当方にとっては到底認められません。
実粒子が対消滅する際にも運動量保存則とエネルギー保存則は守られていると認識しています。
そうであれば、「いやBHが消滅する方が運動量保存則よりもより基本的な法則だ」などという主張は「とんでも理論」でありましょう。
2番目の「BHの質量をちょうど消し去るような仮想粒子を真空がそのタイミングで生み出せる」などと言う話は、当方にとっては「ファンタジー」であります。
BHが示すその時のホーキング温度に応じた黒体スペクトル分布のなかから、その分布形状に従いつつ、最終的にはランダムに「次に発生する仮想粒子が決まる」あるいは「次にBHに到達する仮想粒子が決まる」と言うのがホーキング放射のメカニズムでありましょう。
そうであれば、そうそう都合よく「ちょうどBHの質量をゼロにできる仮想粒子が発生しました」などという話は到底信じられないのであります。
さて、実粒子がその反粒子と出会って対消滅する。
物質という姿から光という姿に変わる。
そうであればまたBHもその姿を光に変えてもいいのではないか?
まあそういう発想の中での「BHは消滅できる」というお話でありましょう。
但し、そのお話が可能となる為には「反BHの存在が必要」です。(注1)
BHと反BHが出会って、対消滅して光になりました。
そうであるならば、どこにも問題はありません。
しかしながら、「反BH」などという存在は聞いたことがありません。
そうして、もし「反BH」という存在があったとしても、BHの質量については個々のBHが誕生した時点から現在に至るまでに過ごしてきた個々のBHの歴史に依存し、それはユニークであって、けっして同じ質量のBHというものはこの世界には存在しないでありましょう。
2つのBHがたまたま同じ質量で生まれてきたとしても、一回、それぞれがホーキング放射を出せばそれで質量は変化し、また運動量も変化します。
そうでありますから、「同じ質量のBHを2つそろえる」などという事は到底ありえない話となります。(注2)
さて、そういうわけで「反BHがあった」としても目の前のBHにちょうど一致して対消滅可能な反BHを探し出す事は不可能でしょう。
さあそうなりますと、「BHという存在は一度この世界に生まれてきたら合体する事は可能ですが、消滅する事は不可能である」という「BH保存則」が見えてきます。
そうして、そのように宇宙はできているのか、それともBHは消滅できる存在なのか、その判断は読者の皆さんにお任せしたいと思います。
注1:反BH
BHが中性子星の重力崩壊でできるなら、反BHは反中性子星の重力崩壊で出来るのでは、と思って調べてみました。
中性子と反中性子はスピン1/2で質量は同じ、但し磁気モーメントが反対で電荷はもちろんぜろ、と言うものです。<--リンク
実粒子の段階ではこの2つの粒子は出会う事ができれば対消滅して光に変わります。
さてそれで、問題は反中性子星が重力崩壊して出来たBHは反BHとなるかどうかですね。
それで、残念な事には「BHの3本の毛の定理」によってBH=反BHになってしまう様です。
『ブラックホールを特徴づける物理量としては質量、角運動量、電荷の 3 つしかない。
これを「ブラックホールに毛が三本」という。』<--リンク
つまり目の前のBHが中性子起因のBHなのか反中性子起因のBHなのか見分けがつかない、という事になります。
さてそうなりますと、この2つのBHが出会いましても対消滅は起こらず、BH合体現象が観察されるのみである、という結果になります。
注2
通常は「BHは毛が3本」だから「BHには特徴が少なく見分けがつかない」と言われています。
しかしながら、事実はそれとはまったく逆であります。
BHは毛が3本でそのうちの1本が質量です。
そうしてこの「質量という毛」が同じ値を示すBHはこの世界には無いでしょう。
つまり、それぞれのBHは大きさに関係なくユニークである、識別が可能なのであります。
この事は我々、形あるものを作りあげている物質粒子群と好対照の事になります。
物質粒子は種類が同じであれば、相互作用して別れた後にどちらがどちらの粒子であったかをいう事はできません。
そうであれば、見知らぬところから飛んできた自分と同じ種族の反粒子と対消滅して消える事が出来るのであります。
別の言い方をしますと、物質粒子には固有の世界線は無いかのようです。
他方でBHは自分自身の固有の歴史を、固有の世界線を持っている様に見えます。
それゆえに、またそうしてこれは好みの問題ですが「この世に存在する全てのBHに、その大小にかかわらず名前を与えることが出来る」という事でもあります。
「名前が違う2つのBHが合体したらどう呼ぶのか?」ですって。
「太郎」BHと「花子」BHが合体したら、もちろんそのBHは「太郎・花子」と呼ばれる事になります。
ちなみに今回撮影に成功したおとめ座にある銀河「M87」にあるブラックホールの名前は不明ですが、天の川銀河の中心にあるブラックホールは「いて座A*(エースター)」という立派な名前をもっております。
そうして、ここでの提案は「全てのBHは名前をもつ権利がある!」と言うものになります。
追伸
以上の様に、ホーキング放射でBHは質量を順次減らしていき、そうして「BH消滅に対して王手はかかった」と思われる状況までは行きますが、最後の一歩が「詰み」にはなっていなかった、という事になります。
従来の標準的な寿命式はエネルギー保存則のみを考慮して作られており、従って運動量の保存は考慮外になっています。(注3)
そうして、考慮されているエネルギー保存則も、最後の一歩が「実に人為的に操作される必要があるもの」になってしまっています。
さてそうなりますと、「それでは消滅できないがホーキング放射で質量を減らしたBHは今、どうなっているの?」という疑問が湧いてきます。
そうして注意していただきたいのは、「ホライズン直径がLpに到達した所で一旦、ホーキング放射は止まる」という当方の主張とは全く別の次元の、より一般的な内容でここまでの議論が成立している、という事であります。
注3
BHの寿命式はこんな恰好をしています。
↓
M^3=M0^3-(h*C^4/(5120*Pi*G^2))*t <--リンク
M0 はt = 0 のときのBHの質量であり、ブラックホールが蒸発するまでの時間はM = 0 として上の式からtを計算して求めます。
hは生プランク定数を2*Piで割ったもの、Gは重力定数、Cは光速です。
この式からわかる様に、BHの運動量Pは考量されておらず、そうして又暗黙のうちに「BHの質量Mはホーキング放射でゼロに出来るもの」とされています。
・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク
http://archive.fo/2y3TU
http://archive.fo/yiouV
http://archive.fo/5fxjO