ダークマター、ホーキング放射、ブラックホールなど

ブラックホール、ダークマター、相対論、そうして賢者の石探索中。

ダークマター・31・宇宙図と事象のホライズン

2019-06-17 00:43:55 | 日記
宇宙の大きさ=宇宙図(2018年版)<--リンク

宇宙図を再掲示します。
宇宙図がフリードマングラフそのものである事に気が付いてしまいました。
通常のFG(フリードマングラフ)は横軸が時間軸で縦軸が距離になっていますが、これを90度回転させ、左右対称に展開すれば宇宙図の出来上がりとなります。
そうして、数多く描かれている白い線はスケール因子a の値が異なっているだけで、つまりは距離方向に倍率を変えて描かれたもので、もともとは一本の線であり、その拡大縮小コピーにすぎません。

それから、真ん中に描かれている光のしずく状のもの、今から97億年ほど前の部分の太さが一番大きくなっています。
この部分より上の形状は銀河からの光が地球に向かってくる状況を時間軸と空間軸の中で表現したものになっています。
地球からの距離が近い銀河からの光は短い時間で地球に届く、しかし97億年前の銀河の光は地球に届くには97億年必要だった、という事を表しています。
さて問題はその時の銀河の地球からの距離です。
宇宙図はそれを60億光年だと教えています。
60億光年の距離なら、地球に届くのには60億年でいいのでは、というのは、宇宙が静止している、膨張していない時の話になります。

さてその、かつては地球から60億光年の所にあった銀河がいまどのあたりにきているか、といいますと、そこを通過している白い線をたどって上に登りますと、当方の読みでは160億光年あたり、ちょうど事象のホライズンをこえるかなというあたりである事が分かるのです。(注2)

次の問題は97億年から下の部分、138億年までの所ですね。
この部分を上と同じ理屈で次第に広がる様に描いていく事も出来ます。
しかしそう描くとビッグバンの時の宇宙のサイズが一番大きく描かれる事になります。
メルカトル図法ですね、その描き方は。<--リンク)

数センチから数メートルの距離が450億光年と同じサイズに描く、という事は問題だろう、と言うのが、そもそもこの宇宙図の描き方の原点でありました。
この宇宙図ではビッグバンのスタートは極小の点でなくてはならない、そうなりますとそこから出た光は一度ひろがって97億年前の所の光の線につながらざるを得ません。
そういうわけでこの「光のしずくの下側の形状」ができあがったのでした。
ですので、「重力の影響で光の進路が曲がった、という訳ではなく、単なる表現の仕方の問題である」、という事を了解しておく必要があります。
(この表現が気に入らない、とすると残された方法はメルカトル図法を選ぶという事になります。)


さて、宇宙のはれ上がりがビッグバンから37万年後でした。
その時の観測可能な宇宙の半径4200万光年であり、その最終散乱面は地球から(今の)光速の60倍の速さで遠ざかっていました。
しかしながら宇宙図から分かりますように、事象のホライズンを表す線の範囲内にこの「観測可能な宇宙」はすっぽりと入っていました。
つまり「その時の光速は現在の光速の60倍であった」という事になります。
そうでなければこの範囲内の事象は因果律の相互作用を持つことができず、つまり事象のホライズンに入っていない、という事になるからであります。
そうしてまた、そのことが光速の60倍のスピードで地球から遠ざかる最終散乱面から光(マイクロ波)が届いている理由でもあります。

さてそれで、以上の様に我々は宇宙図が示す「事象のホライズンの線の内部に閉じ込められている」という事であります。
それよりも外側の情報は我々に永遠に届かない、と宇宙図は主張しています。
それを前提に宇宙図のビッグバンのあたりを拡大してみますと、135億年前あたりから「観測可能だった宇宙の一部がすでに事象のホライズンを超えて外側に出て行っている事」が分かります。
そうして、そこを起点として現在に至るまで宇宙はどんどんと「事象のホライズンを超えて外側に出て行っている」のであります。

さてそれではそのような銀河の、あるいは最終散乱面の「事象のホライズン越え」は我々にはどのように見えるのでありましょうか?
まあ、銀河の例をあげますれば、「今まで観測出来ていた銀河が見えなくなる」という結果になる事は予想できます。
さてもしそうであるならば、最終散乱面よりも我々に近い所にあった銀河が見えなくなる、というのであれば、当然ながらそれよりも先に最終散乱面が見えなくなる、という事が起こらなくてはなりません。
それが「物事の道理」と言うものであります。


ここで一旦「静止している一様、等方な宇宙」を例に挙げて考えましょう。
この宇宙も「宇宙のはれ上がり現象」がありました。
宇宙のそこここが一斉にはれ上がった、その時を境に視界が無限大になったのでした。

しかしながら光は光速でしか進めません。
そうしますと「観測可能な宇宙のサイズの半径」は光速に時間を掛けた値r=C*tとなります。

そのrで示された場所から次々に3000Kのオレンジー黄色の光が届きます。
そうして、その状況、「宇宙の一番遠くにあるのは3000Kのオレンジー黄色の光のかべである」と言う状況は無限の時を超えてそのようでありましょう。
そして、その光の壁と我々との間にある空間の中で恒星の誕生や銀河の誕生の歴史くりひろげられる、それを我々は見る事になります。
そのありさまは「遠くをみれば宇宙の時間をさかのぼって昔を見る事になる」という今の状況と変わる事はありません。
(ただし、そのような宇宙に「銀河の光を見る事ができる夜という状況」が存在できるのかどうかは保証の限りではありませんが、、、。<--リンク)


さてその宇宙にハッブル先生が登場して「宇宙は膨張している」と告げます。
びっくりした宇宙は「それではやりなおし」とばかりに「宇宙のはれ上がり」からリスタートをかけます。
ハッブル定数Hoは今、観測されている値としましょう。
そうすると、地球からはなれたどこかの場所でそこの後退速度は光速Cを越えます。
つまり、その場所から外側からは「宇宙のはれ上がりによる光は地球には届かない」という事になります。
さてそういう訳で、「そこが事象のホライズンになる」という事になります。

それで、ちょうど光速Cで我々から遠ざかる所は我々から観測すると「時間は止まっている様に見えるはず」であり、そこの赤方偏移zは無限大になっている、光の波長は無限大となり、つまり「そこからの光の放出は観測されない」という事になります。(注1)
そうでありますから、「我々がいま2.7Kの光を観測している」という事は、その「時間が止まっている場所よりも少し手前を観測している」という事になります。
その場所の「最終散乱面を見ている」のであります。

さあそのような状況は未来永劫にわたってそのようでありましょうや?
いやいやそんなことはなく、我々にお構いなしに宇宙は膨張し続け、そうであればその場所の赤方偏移の値 zは増大し続け、それ故にそこからのマイクロ波の波長は延びる一方であり、またその明るさは zの値に反比例して「減る一方」となります。(注1)
つまりは「次第に見えにくくなり、ついには観測限界をこえてしまう」、つまり「見えなくなる」のであります。

こうして宇宙の遠い端はついには「暗闇にのまれる」と、そういうシナリオが妥当な所でありましょうか。
同様にしてまた「見えていた銀河も同じような運命をたどる事になる」というのは自然な事であります。
ただし「そのような時がいつ訪れるのか」、といわれれば「それはとてもとても遠い未来の事である」様に思われます。

さて注意していただきたいことは、以上の話の中では光速をCとして表していますが、その値が30万km/secである、という事はとくに限定はしておりません。
これは、多分宇宙の歴史の中では光速は30万km/secを下限として、それ以上の値をもっていた時代があったであろう事を暗に認めているからであります。
しかしながら、どのような時代であろうとも光速Cが「相互作用が伝わる最大速度である」という事は確かな事なのであります。

注1
「見かけの明るさ」を参照願います。<--リンク
あるいは「光度距離」「固有距離とホライズン」も合わせて参照願います。<--リンク

注2
さてここで問題になる事は、我々にとっての「現実」と言うのは何であるのか、という事です。
97億年前に光を出した銀河を97億光年先に「ある」として考えるのか、それとも「今はその銀河は160億光年先にある」ととらえるのか、という事になります。

97億光年先にある銀河は「過去の銀河」であり「今はその場所にはありません」が「継続観察が可能な対象」となります。
他方で「今160億光年先にある(と予測される)現物の銀河」は今は観察対象となりません。
そうであれば、そのような「現物銀河」を考えてみた所であまり得る所がない、そういう意味ではそれは「現物ではありますがバーチャル銀河」でしかなく、逆に「今は確かに実物はそこには無いのですが、そこにあった銀河の残像」を観察していく方が宇宙の理解の為には重要な事になります。
その様でありますから「宇宙の大きさが450億光年である」と言ってみた所で「現物ではあるがバーチャル銀河」でしかないものと同様に「その事はあまり得る所がない」事の様に思われるのであります。

追記
「見えない銀河」見えた 東大、宇宙に大量存在か

『 従来の可視光による望遠鏡観測では捉えられなかった「見えない銀河」を、より波長の長い光の観測で39個発見したと、東京大などの研究チームが7日、英科学誌ネイチャーに発表した。
110億年以上昔の宇宙にあり、中では星が活発に生まれていた。
これらは現在、年老いた星で構成される巨大な楕円銀河になっているとみられる。』

「これらは現在、年老いた星で構成される巨大な楕円銀河になっているとみられる。」のではありますが、それらの銀河は今では事象のホライズンを超えて我々の視界の外側に行ってしまっています。

そうでありますから、それらの銀河の「現在の姿を見る」という事は不可能な事なのであります。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/hWif4

ダークマター・30・宇宙図と宇宙の大きさ

2019-06-14 01:47:53 | 日記
宇宙の大きさ=「宇宙図(2018年版)」<--リンク
宇宙の大きさ=「宇宙図(2013年版)」<--リンク

いずれもダウンロードするのに少々時間がかかりますが、それだけの価値はありますので、是非ともご確認の程を。
2018年版はビッグバンを強調するあまり、図の下部が真っ白になっていてよく見えません。
その部分については2013年版の方がお勧めとなります。


前回導出した宇宙の大きさ、それは現時点で我々から光速で離れていく点でした。
通常の感覚ではその点が宇宙の端、我々が観測できる限界を表している、と考えてしまいます。
その点の外側は「超光速の世界」で我々にそこからの光が届くことはない、とアインシュタインは言った、と思っています。

しかしながら、「宇宙図」によれば「いいや光は届くのですよ」となります。
そりゃまたどういう訳だね、と普通は思います。
「どう考えたって届くわけはなかろう」と「宇宙図はおかしい」と思いますよね、普通は。

当方もそう考えた訳です。
しかしまあそれなりの方々が作っている「宇宙図」でありますから「いったいどうやって作ったのかな」と調べてみる価値はありそうです。


以下2018年版の宇宙図からの読み取りになります。

・宇宙のはれ上がり時(ビッグバンスタートから37万年後)の地球から最終散乱面までの距離・・・4200万光年
・ビッグバンスタート時の地球から観測可能な宇宙の半径・・・数センチから数メートル。

37万年で数メートルの半径が4200万光年まで拡大した。
(その時点での宇宙の膨張速度・・・光速の60倍)(注4)

ビッグバンスタートから37万年後までの平均膨張速度・・・光速の113.5倍
(これはフリードマングラフのビッグバン直後の立ち上がりの傾きがほぼ垂直である事により表現されています。)


・138億年後(現時点)での最終散乱面までの距離・・・450億光年

これが実質上の観測可能な宇宙の現時点での(そのようにフリードマングラフによって予想できる)大きさ
但し我々がその宇宙を観測できるのは「138億年ー37万年前の姿のみ」

これをプランク衛星などで測定しているのが「宇宙背景放射の観測」という事になります。

従って、通常の言い方では、最終散乱面までの距離は「138億光年ー37万光年」という事になります。


・<観測可能な宇宙の大きさ・・・450億光年>
138億年ー37万年で半径4200万光年の宇宙が450億光年まで広がった

平均膨張速度・・・光速の3.26倍

以上の様にビックバンスタートからみれば、基本的に宇宙は減速膨張となります。
しかしながら、より詳細にみると今から60億年ほど前に減速膨張から加速膨張に転じています。


・宇宙の事象の地平面(事象のホライズン)が現時点で地球から165億光年の所にある。
現時点でこれを超えた所にある銀河や恒星、BHなどからの信号(光、重力波、ニュートリノ)は将来に渡って地球に届くことはない。

現時点で138億光年先が光速Cで地球から離れている、とすると、この事象のホライズンの後退速度は光速の1.2倍程度。

そうすると、光速の1.2倍未満で地球から離れつつある銀河やBHからの信号は、未来のどこかで地球に届く、と言う事になります。

さてこの結論、つまり光速を超えている観測対象が将来観測できる、という理由については、当方の理解力を超えています。
フリードマングラフによって空間の伸びは知る事が出来ますが、そのように伸びた空間で光がどのようにふるまうのか、という情報が不足している模様です。
そうして、それは一般相対論ーー>FLRW計量に踏み込まないと入手できない様です。
(詳細については「固有距離とホライズン」を参照願います。<--リンク)

同じ理由で宇宙図に書かれている光のしずくがあのようになる、という事も理解できていません。


宇宙の大きさを決める手順詳細につきましては4.宇宙論パラメータの決定」の48~50ページを参照願います。<--リンク
以下、その手順に従って見ていきます。

1. 宇宙晴れ上がりの時期 zdecを推定する
a. 理論モデルを用いて観測されているCMB温度地図の宇宙時刻(宇宙 が中性化・晴れ上がった時)を計算

「第 6 講 熱的宇宙」5~6ページ「6.5 再結合温度」に記述有り。<--リンク
それによれば
『zdc = 1100, Tdc = 3000K
tdc =( Ho^−1)* (1+zdc)^−3/2 = 375,000 年』(注2)
とのこと。

b. これは、赤方偏移パラメータにして zdec=1089 ± 1

誤差範囲かと。

c. 宇宙の大きさが現在の1/(1+zdec ) ~1/1089 の時期に対応。
(宇宙モ デルを仮定して)時刻に換算すれば tdec=37.2 ±1.4 万年

誤差範囲かと。

2. この時期までにゆらぎの振動が伝わる距離 rを計算する
a. 空間的な重力的密度のゆらぎは、その時期の宇宙の媒質中を音波 として伝わる
b. この音波振動が、CMB温度ゆらぎスペクトルの山や谷をつくる
c. 主として放射からなる媒質の場合、音速は光速の(1/3)^1/2
d. これらを総合すると、距離は(現在の宇宙での値に換算して)
r=147Mpc となる。

「7 宇宙の運命」7~8ページ「7.4 宇宙の曲率決定」参照のこと。<--リンク
『ビッグバン以降の音波の最長到達距離を音波の地平線(=音速×宇宙時刻)と言い、再結合時の音波の地平線長はds = 147±4(Ωmh^2/0.13)^−0.25(Ωbh^2/0.024)^−0.08Mpc と計算できる。』

3. 理論モデルとの比較から宇宙の曲率がわかる
a. この長さを現在の宇宙から見込む角度がCMB温度ゆらぎスペクトルの最初のピークの位置に対応(さらに右のピークはその高調波)
b. WMAPの観測結果より、 l~220、これは角度に換算して θ ~Pi/ l~0.8 °
c. 実はこの値はほとんど宇宙の曲率(幾何学、空間の曲がり具合)だけで決まる
d. 上の結果より、宇宙の曲率はほとんど 0、つまり、我々の宇宙はピタゴラスの定理が成り立つようなユークリッド空間(平坦な宇宙)に極めて近いことが示された:
曲率=0.02 ±0.02

「7 宇宙の運命」7~8ページ「7.4 宇宙の曲率決定」参照のこと。<--リンク

5. rの値が、遠方のものさしの目盛りの役割をする
a. CMB温度地図の宇宙時刻(宇宙の晴れ上がり)から現在までの距離dは、
d=r/ θ ~14Gpc

観測からθ ~Pi/ l~0.8 °、理論計算からr=147Mpcである事より、ここから上式によって宇宙の現在の大きさを推定している。(注1)

6. 現在の宇宙年齢の推定
a. 宇宙の晴れ上がりから現在までの距離 d が決まったので (宇宙の曲率がほとんど 0であることを利用すれば)、その時点から現在までの経過時間が精度よくわかる
b. 宇宙の晴れ上がりでの時刻は tdec=37.2 ±1.4 万年だったから、上で得られた時間は現在の宇宙年齢そのもの

137億年≒137億年ー0.0037億年、、、と言う意味かと。
c. t=137 ±2 億年

ハッブル定数Ho74km/秒/1Mpcが観測値である。
そうすると450億光年先(14Gpc先)の速度が光速の3.4倍である事がわかる。
さて、そこまでわかると後はフリードマングラフでa(0)に450億光年をいれて、そこでのグラフの傾きを光速の3.4倍にすれば、a=0でのtの値、それが宇宙年齢になるのですが、求まる事になります。

注1
「現時点での宇宙の大きさを知る」というのは137億年の昔、3000Kの光を出していた最終散乱面が今、地球からどれぐらいの距離にあるのかを知る、という事になります。
そうして現在その場所では我々が暮らす地球から見るような恒星や銀河によって夜空が彩られている、という事が「一様かつ等方である宇宙」という前提から浮かび上がってくる結論となります。(注3)
そして、「事象のホライズンの外側にあるその場所の銀河の光」を我々は決して目る事はない、という事でもあります。
さて、そうでありますから我々は又、我々が暮らすこの場所も137億年の昔は最終散乱面として3000Kで輝いていた、という事を知るのであります。
(ちなみに3000Kというとオレンジがかった黄色でしょうか。<--リンク)

注2:decoupling timeーー>zdec
「ガモフの基準と脱結合<--リンク より
『やがて宇宙の温度が下がってくると,粒子間の相互作用は弱くなり,お互いのエネルギーのやりとりがなくなって独立に運動するようになる.この過程を粒子の脱結合 (decoupling)という.』

何と何が結合を解かれるのか、といえば電子、陽子という物質粒子と光子との結合であります。
温度が下がって電子と陽子が水素原子を作ると、光が自由に飛び回れる様になる、これを称して「宇宙のはれ上がり」といいます。
そしてその温度が3000K、オレンジがかった黄色の光の色温度に相当します。
そういう訳でその時代は宇宙はどこもかしこも「オレンジがかった黄色の光」が充満していた、と、そういう事になります。
もちろん、我々が暮らしているこの場所もそうでありました。

「光子の脱結合と電子の再結合」<--リンク

注3:一様かつ等方である宇宙
この前提のもとにフリードマン方程式は解かれています、
その結果がフリードマングラフとなります。
さて「一様である」ということはどういうことでしょうか?
宇宙には特別な場所はなく、あそこがあのようであれば、ここもまた同じようにあのようである、そうしてまたその逆も成立している、という事であります。
「等方である」ということはどういうことでしょうか?
我々から見渡す景色はどの方向を見ても同じに見える、という事です。
有限体積の3次元球でこの条件が厳密に成立するには、我々が球の中心にいる時だけです。
そうしてまた、そのような「自己中心主義が宇宙では成立していない」という事もまた我々は良く知っているのです。
しかしながら、我々が観測する範囲においては「見渡す景色はどの方向を見ても同じに見える」のでありますから、「宇宙は等方である」として式を立てて、それを解くのです。

注4
37万年で数メートルの半径が4200万光年まで拡大した。
(その時点での宇宙の膨張速度・・・光速の60倍)

光速の60倍<--この数値は後述する「・42・輻射-物質拮抗時期(宇宙の放射成分を考える)」で算出できました。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/ETe8Y

ダークマター・29・膨張宇宙とハッブルパラメータ

2019-06-10 00:58:14 | 日記
膨張する宇宙、といえばハッブル定数であります。
そういうわけで、前回の続きとしてハッブルパラメータの話が続きます。

ハッブル定数Hoを式で表すと観測された銀河の後退速度をVとして、その銀河までの距離rで割ってHo=V/rとなります。

このハッブルパラメータH(t)は定義によって
H(t)=V(t)/r(t)=(t)/a(t)

さてそうなりますと、前回示した「宇宙の膨張曲線」、以下に再提示しますが、そのカーブのt=0でa(0)=1での接線の傾きが(0)であり、従って
Ho=(0)/a(0)=(0)/1=(0)と言う事になります。
つまりt=0 ではそこでの接線の傾きがHoになっている、そう言う事になります。

以下、前ページの再掲示。
さてこのa(t)をつかって宇宙の膨張の様子を示したグラフがあります。

宇宙の未来について(5)スケール因子の時間発展<--リンク(or http://archive.fo/Rmrex)

(5)では④の線(黄色)が現状認められている「再加速あり」の膨張曲線となります。
・・・・・

そうしてtがどの値であっても、その時のグラフの接線の傾きがその時(tという宇宙時間の時)の宇宙の後退速度を表す事になります。
それではその時(t という時)のH(t)はどうなりますか?
定義からH(t)=(t)/a(t) 。
したがってその時のグラフ接線の傾きをその時のa の値 a(t)で割ればよい事になります。
(但し後述しますがその事が成立する為には、そのグラフのt=0での傾きがHo=74km/sec/Mpcになっている事が必要であり、そうして通常はグラフはHo=1と規格化されて表示されているため、傾きの値は換算しなおす必要があります。)

さてそれで(5)の④の線(黄色)が現状認められている「再加速あり」の膨張曲線ですが、膨張スタート時には随分と膨張スピードが速いのですが、その後はほぼ安定して一定の後退速度で膨張していく、と言う事が分かります。
そうして、その時々でのaの値で(t)を割る事でその時のハッブルパラメータ(あるいはその時のハッブル定数)がきまるのですから、「宇宙が膨張するに従ってハッブル定数は小さくなる」と言う事が分かるのであります。
あるいは同じ事ですが「昔の方がハッブルパラメータは大きかった」という事が分かります。
ちなみにハッブル定数の「定数」という意味は「時間による変化はしない」ではなく「空間のどの場所でも同じ一定の値を示す」と言う意味での「定数」になります。


さてそう言う訳で宇宙の膨張グラフを作ること、がフリードマン方程式の結果でした。
そのグラフを作る式については「宇宙の未来について(1)」にてご確認願います。<--リンク
そして、その式の中にはハッブル定数Hoが入っていますが、グラフを作る時にはHoを1として計算していきます。
そうしてΩmとΩΛ、Ωmが物質密度項、ΩΛが宇宙項(あるいはダークエネルギー項)です。
空間の曲率が平坦な宇宙である事を前提に、この二つのパラメータを決めてやる事でグラフが描けます。

しかしそのままではHoは決まりません。
Hoを決めるにはt=0で1Mpc(3.26光年の100万倍の距離)をa(0)に代入し、ビッグバンから現在までに経過した時間 Toをa=0であるX軸上の点(ビックバンが始まった点)にマイナスToとして代入する事が必要です。
そうすることでいままでは傾きが1であったハッブル定数Hoが実際の数値を示す事になります。
以上の手順詳細につきましては4.宇宙論パラメータの決定」の48~50ページを参照願います。<--リンク
ちなみに以上の様にこのグラフを解釈しますと、このグラフの線は現時点で地球から1Mpcの距離にある座標点(あるいは銀河)がかつては地球からどのくらいの距離にあったか、そうして未来に至ってどのくらい離れるのかを示していることになり、その点の後退速度を地球からの距離で割る事でその時のハッブルパラメータが求められる、という事になります。(注1)


そうして、それらのパラメータを宇宙背景放射(CMB)のデータから決める事ができる、と主張するのが以下の記事になります。
プランクの最終版CMBデータ公開<--リンク(or http://archive.fo/jOa8O)

それに対して実際に銀河の後退速度とその銀河までの距離を測定する事でHoを決めようじゃないか、というのが以下の記事になります。
ケフェイド変光星の距離改良で導かれたハッブル定数の不一致<--リンク(or http://archive.fo/3gr21)


こうしてお互いに一歩も譲らない2つの陣営が存在する、というのが現状のハッブル定数Hoの状況なのでありました。

(注1):宇宙の大きさについて
我々が見ることが出来る、一番遠い宇宙の端は「我々から光速で遠ざかっている所」になります。
ここで「見る」と言っても「宇宙が誕生してから37万年間はプラズマの雲におおわれて」光では見通せません。
ですから「光(電磁波)以外で見る事」を前提とした話です。
さてそれで、その点をt=0でのa(0)が示している、とします。
そうしますと、その時のグラフの傾きは、上記前提から光速Cという事になります。
これは、そこの点の傾きが光速になるようにa(0)の値を決める、という事ですね。

そのように上記グラフを読み替える事で、ハッブル定数を求める事ができたグラフが今度は「現在の宇宙の大きさを示すグラフ」に変わってしまいます。
そうでありますから、このフリードマングラフは「とても使い出があるグラフである」という事になります。
ちなみにそこで求めた点が何時の時代においても常に「見ることが出来る宇宙の端」であったかどうかは「定かな事」にはなりません。
これは、宇宙の膨張が「減速したり」「加速したり」しているからであります。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/vMPoy

ダークマター・28・DMと宇宙論・フリードマン方程式とそのグラフ

2019-06-05 00:34:31 | 日記
「ダークマターはプランクスケールのBHだ」という主張を横目でにらみながら、ダークマター(CDM)と宇宙論の関係を見ていきます。

まずは宇宙膨張について。

宇宙論では「物質分布は完全流体であると仮定する。」様です。
Wikiによれば「完全流体とは流体力学において、粘性が存在しない流体のことである。」とのこと。
さてここでなぜ「理想気体」と言わないのか、については「アインシュタイン方程式はエネルギー・運動量テンソルで書かれている」が答えになりそうです。
ざっくり言うと「気体では応力を持てない」が「液体なら応力が持てる」、そうしてここで注目すべき応力とは「マイナスの圧力の事」でもあります。
そうして「マイナスの圧力」とはアインシュタイン方程式によれば「斥力になる」のであり、「これがダークエネルギーを表す」と言うのが一般的な考え方の様です。

話が始めからぶっとんでいますが、宇宙論と言うのはこんな感じでいろいろな事が結びついているのです。

さて宇宙論ではアインシュタイン方程式ーー>フリードマン方程式という流れが定番です。
そうしてフリードマン方程式から膨張する宇宙が出てくる、そう言う事になっています。
ここでa(t)という量が出てきます。
「a(t) は、宇宙のスケール因子(膨張因子)と呼ばれる量で、時刻 t での宇宙の大きさを相対的に示す量である。」とWikiのフリードマン方程式のページには書いてあります。
ざっくりいうと「現時点でのお気に入りの銀河までの距離Loを基準とし、その銀河の動きで宇宙の膨張を測る」ということですか。

ですから現時点ではr/Lo=Lo/Lo=a(to)=a(0)=1となります。
ここでrは「お気に入りの銀河までの距離」となります。
従って時間 tをさかのぼってr=0.5*Loに「お気に入りの銀河」があった時は
a(t)=r/Lo=(0.5*Lo)/Lo=0.5
となります。
ちなみにこのa(t)を「スケール因子」と呼びます。(重要な事なので繰り返しました。)

さてこのa(t)をつかって宇宙の膨張の様子を示したグラフがあります。

宇宙の未来について(5)スケール因子の時間発展<--リンク(or http://archive.fo/Rmrex)

a(t)を求める式の形は以下のページを参照願います。

宇宙の未来について(6)スケール因子の時間発展をオイラー近似で解く<--リンク
式の導出については個別に勉強していただく事とし、今は結果のグラフのみに注目します。(注2)

(5)では一番左にある④の線(黄色)が、(6)では左から2番目の赤色の線が「同一の状況」を示しており、現状認められている「再加速あり」の宇宙の膨張曲線となります。
そしていずれのグラフも縦軸がa(t)の「スケール因子」となっています。
そうして横軸がリニアスケールでの宇宙の展開時間tでt=0が現時点、そこでのa(t)は上記説明のように1となっています。

同じグラフですが「Week3」の35ページにも載っています。<--リンク
少々色が見分けにくいのですが、緑色の線が現在の宇宙の状況、そうして青色の線が「ダークエネルギーがない場合(宇宙が再加速しない場合)の状況」となります。

これらのグラフから現在の宇宙の大きさを1とした時に、今から時間をまき戻した時の宇宙のサイズ、あるいは時間を進めた時の宇宙のサイズが分かるのであります。
そうしてまさに138億年前には「宇宙のサイズはゼロであった」と言う事も又分かります。

「いや、それはおかしい。目印の銀河は地球の位置にくるが、それより遠い銀河はまだ地球には届かないのでは?」という疑問がわいてきます。
そこで登場するのがハッブルパラメータH(t)になります。<--リンク
H(t)の現在の値Hoをハッブル定数といい73.4km/sec/Mpcです。
これは3.26光年の100万倍の距離が離れる毎に、秒速で73.4km早くなる、と言う事になります。
式で表すと観測された銀河の後退速度をVとして、その銀河までの距離rで割ってHo=V/rとなります。
従って2倍の距離にある銀河は2倍の速度で遠ざかっている事になります。
というよりも、観測結果がそのようであって、Hoを決める事が出来た、と言う事になりますか。
それで、時間を反転させると、その銀河は2倍の速さで地球に近づくことになり、見事に地球に届いてしまう、と言う事になるのでした。

これはまた上記で導入したLoとa(t)を使っても同じ様に表せます。
目印の銀河の2倍の距離にある銀河までの距離rは
r=2*Lo*a(t)
であらわされ、t=0ではr=2*Loですが
t=-138億年ではa(-138億年)=0である事より
r=2*Lo*a(t)=2*Lo*a(-138億年)=0
となります。
以上が「フリードマン方程式がおしえる、我々の宇宙の大きさの歴史」と言う事になります。


さて、しかしながら今現在我々は138億光年離れた所から届いてくる「宇宙背景放射」なるものを観測しています。
と言う事は「138億年前には宇宙のサイズは少なくとも138億光年の半径を持っていた」と言う事になります。
(実は少し違いますが、その件については後述します。)
そうしてそのサイズよりもはるかに大きなサイズに宇宙が、そうですね10^-35mのサイズから10^-34secの間に膨張した、というのが「宇宙のインフレーション理論」と言われているものになります。
これについては「Week2」の45ページにイラストがありますので参照してみて下さい。<--リンク
(宇宙背景放射についてもWeek2に説明が載っています。)

「宇宙のインフレーション」についてはWikiにもきれいなグラフィックスが載っています。<--リンク

ダークマターの話がなかなか出てきません。
それで「第3講: 宇宙は何からできているか?」の3ページ目に「このあたりでダークマターが登場した」と取れるイラストが載っています。<--リンク
このイラストによれば「時間は10^-10sec、温度が10^15Kあたり、クォーク~グルーオンプラズマ時代にはダークマターも生まれていた」と、そのように主張している様です。

そうしてまた「原始ブラックホール」も生まれていた、とするならばそのあたりである、という事になります。
『原始ブラックホールは、いわゆる放射線が支配する時代に、非常に初期の宇宙(ビッグバンから1秒以内)で形成された可能性があります。』

Primordial black hole(原始ブラックホール)<--リンク


注1:フリードマン方程式
この方程式は「一様で等方な時空であるFLRW計量を仮定する」という前提があります。<--リンク
さて、銀河の分布ですが、実際の測定ではこうなっています。
銀河の分布<--リンク

このような「明らかに網の目状の構造を持つ宇宙」に対して「一様で等方な時空である」というような前提がどこまで有効であるのか、疑問が残ります。
そうしてその事が上記「天文学辞典のハッブル定数のページ」で問題になっている様な「ハッブル定数の不一致」というような状況と関係がある様にも思えます。<--リンク

あるいは以下の様な主張を生む事につながります。

・ダークエネルギーがなくても宇宙の加速膨張は説明可能<--リンク(or http://archive.fo/yPX3O)

(注2)
「オイラー近似で解かれる元の式」については「宇宙の未来について(1)」にてご確認願います。<--リンク
さらに「その式の導出は」と問われれば「宇宙定数」の8P、(2、3、8)式を参照してください、と言う事になります。<--リンク


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/WyXiQ

ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・27・BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?(5)

2019-06-01 06:14:44 | 日記
「ホーキングさんが考えたこと・25・26」と考察してきましたが、このシナリオの方向性で検討を続ける事は可能です。
そうして、実際に「26」の終わりに「追伸」として以下の文章をアップしました。(但し、今は削除されています。)

『追伸
検討は継続していますが、問題は「今、目の前にあるマイクロBHはいったいどれほどの運動量を持っているのか?」という質問にどうやって答えるのか、と言う事の様です。

そうして、この問題はそれなりに手ごわいので、別テーマ「BH(ブラックホール)が持つ運動量」というページで下準備をする必要があります。
そう言う訳でいったん「BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?」というテーマから離れる事になりますので、ご了承の程をお願い致します。』

このシナリオの行先を見とおしますと、BHは自分の質量をホーキング放射に変える為に辛抱強く、なかなか訪れないチャンスをじーっと待ちながら、ただ自分の質量をゼロに近づけていく、そういうお話になります。
それがどれほどの長い時間であっても、たとえばこの宇宙の年齢と同じくらいの長さであってもBHはそうやって、決して到達できないゼロ点を目指すのでした。

さて、このシナリオは面白くありません。
「面白くない」というのが「物理的な表現ではない」といわれるならば、「きれいではない」といいかえましょうか。(まだちがいますか?)
当方の自然観、宇宙観というものは「自然は匠である」というコトバによく表されております。
そうでありますから、「到達できないゼロ点に向かってあまり意味のない、ほとんどゼロエネルギーのホーキング放射を無限に繰り返す事」を「自然が選択する」とはとても思えないのであります。
それではいったい何の為に宇宙はPBH:原始BHを作り出したのでしょうか?
(とはいえ、まだPBHが観測された、という証拠は上がってきてはいません。
すばるが「とらえたかも」という例が1件ほどはありましたが、、、。)

さてそうなりますと前回の記事の注で書いた事、「今の物理を拡張してマイナスエネルギーを導入できる様にホーキング放射の条件を広げる」というストーリーが魅力的に見えてきます。
それができれば今から思えば本当に楽観的な読み、それはまるで「知らぬが仏」とでもいうような状況ですが、「ホーキングさんが考えたこと・9・ダークエネルギー優位に至るまでの宇宙展開の歴史」で述べている様に「ダークエネルギー問題を一挙に解決だ」などという「大それた思いつきのシナリオ」に突き進む事になります。<--リンク
そうしてそれが「どれほど大それた事であるのか」をいやと言うほどに思い知る事になるのでありました。


さてそう言う訳で、まずは現状の宇宙論、それはもうがちがちの精密宇宙論なのでありますが、それを前提として、「ダークマターはプランクスケールのBHである」という主張を確かなものにする事から始めるのがよさそうであります。
つまり「ダークエネルギーの件は当面棚上げ」というスタンスですね。
しかしながらこの件につきましては「けっしてあきらめたわけではない」と言う事を申し添えさせていただきます。

さてその「精密宇宙論」、古き良き天文学は一体どこへいったのだ、とため息が出そうなしろものであります。
天体望遠鏡をのぞいて、土星の輪っかを肉眼で確認して「ホントに輪っかがある」と言った、あの感動はどこにいってしまうのでしょうか?

まあそんな事は置いておいて、現状の宇宙論というしろものの入門にはちょうど良い資料がありましたので、一応ご紹介しておきます。
Gaccoシリーズ「観測的宇宙論入門」宇宙はどこまでわかったか。
東京大学名誉教授 岡村定矩。
Week1~4。
↓リンク
Week 1 現在の宇宙の姿
Week 2 ビッグバン宇宙論
Week 3 ダークマターとダークエネルギー
Week 4 太陽系外惑星と元素の起源

この中でWeek2と3がポイントになってきます。
Week1はその話のベースになるものですね。
Week4は、まあおまけ、ということで。
岡村先生には感謝したいと思います。

そう言う訳で、話はぐるっと一回りしてまたダークマターに戻ってきました。
しかしながらただ戻ってきた訳ではありません。
現在の宇宙論のなかに「ダークマターはプランクレベルのBHだ」ということを矛盾なく組み込む、という明確な目標をかかげて戻ってきたのであります。


・この章「BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?」についての一応の結論

1、「ホーキングさんが考えたこと・23、24」での議論により「BHはホーキング放射では消滅出来ない」と言う事になります。

2、「ホーキングさんが考えたこと・25」での議論ではBH質量が0.5*Mpをきったあたりからホーキング放射できるエネルギーに制約がかかり始める、という事がわかりました。
その結果BHは次第に少ないエネルギーでの放射をするようになり、そうして放射の頻度もそれに従ってだんだん少なくなってきます。
そうやってBHは自分の質量をゼロにする為に無限に続く放射を行う、という結果になります。
無限の時間をかけて無限回の放射をした後は、そのBHの質量は「実質上ゼロになる」と思われます。
但しこのストーリーは「どんなにBHのホライズン径が小さくなっても、そこにニュートリノが飛び込める」と言う「ありそうもない事」が前提条件となります。

以上のような状況と言うものは「原始BHの存在理由と言うものが見当たらない」ということでもありますから、やはり「BHのホライズン径がLpを下回った所で通常のプロセスのホーキング放射は止まり、BHは準安定の状態になる。」という想定が必要になってきます。
その前提があればこそ、この原始BHはダークマターとしての働きを担う事ができるのであります。

3、「ホーキングさんが考えたこと・26」での議論は、「25」でのプロセスの途中でマイナスエネルギー側にBHはジャンプするはずだ、という予想の下にはじまりました。
しかしながら、エネルギー保存則に運動量保存則を新たに加えたおかげで、「できると思っていたマイナスエネルギーへのジャンプが禁止されている」という結論になってしまいました。
この結論を回避する為には従来の物理の考え方の拡張が必要になってきます。
そうして、それを自然が許しているのであれば、BHはマイナスエネルギー側にジャンプする事が可能になります。
しかしながらその議論につきましては、当面はペンディングと言う事にしたいと思います。

以上が「BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?」の章の結論となります。

PS
上記内容のお話は「ダークマターと宇宙論」という事で、ページを改めて続く事になります。
そうしてまずは
・フリードマン方程式とそのグラフ
http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=2664#post_id17208
から宇宙論の話が始まります。

さてそれで、ここまでの議論から想定されます事は、「ダークマターとしてのプランクスケールのブラックホールは宇宙の始まりに大量に作られたであろう」という事であります。

そうして、それらのブラックホールは誕生当初からすでにプランクスケールであって、一回~数回、ホーキング放射をしたか、あるいは誕生して今までホーキング放射を一度もしていない、その様な存在であろうと思われます。

その様なものがCDM(コールドダークマター)として宇宙の進化に貢献してきたのであろう、というのが当方の主張する所となります。

http://archive.fo/m1HUy

追記
その後の検討によりますと、
『プランクスケールの原始ブラックホールであって、誕生して今までホーキング放射を一度もしていないものが、CDM(コールドダークマター)の候補としてベストであろう』
という事になります。
http://archive.fo/wrGYM


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/rrFEW