『では、ブラックホール同士が接近した時にはどのような結果が生じるのでしょうか?ブラックホール同士の場合、単なる接近遭遇だけでなく、衝突でも膨大な速度が生じることが分かっています。ブラックホール同士が接近すると膨大なエネルギーの重力波が放出されますが、この重力波の発生には偏りが生じることもあるため、衝突後に誕生した合体ブラックホールは特定の角度に集中した重力波によって “蹴り飛ばされる” 可能性があります。
そのようなブラックホールの実例としては活動銀河「CID-42」に存在するとされる超大質量ブラックホールがあり、2つのブラックホールが衝突した結果、銀河に対して約2000km/sの速度で飛び出していると推定されています。
このように、ブラックホール同士の衝突は極めて大きな運動速度を生じる可能性があり、その限界速度はこれまで5000km/sだと推定されていました。これは光の速度の約60分の1に相当します。
ロチェスター工科大学のHealy氏とLousto氏は、ブラックホール同士の合体で生じる限界速度についての数値計算を行いました。
ブラックホール同士の接近で生じる激しい重力波の変化を正確に計算するには、計算強度の高いスーパーコンピューターを必要とします。また、限界速度を知るには様々な角度からの衝突を仮定する必要があるため、パターンが増えるに従って計算量も膨大になります。
Healy氏とLousto氏は、ブラックホール同士の衝突パターンを1381通り想定して計算を実行しました。これは5000km/sという上限値を推定した研究で計算された42通りを大きく上回ります。その結果、かすめるような角度で衝突する時に最大の速度が生じ、最高で2万8562 (±342) km/sに達することが分かりました。これは以前の数値計算で示された値の5.7倍であり、光の速度の約10分の1に相当します。この速度では地球を1周するのに1.4秒、地球から月まで移動するのに13.5秒しかかかりません。』
↑BHが重力波を偏った方向に出す時に、その反動でBHが動き出す、そうな。
ほほう、そうですか。
そうであるならば、「軽くなったBHがホーキング放射を出す事の反動で光速の10%を優に超える速度で動いても何の不思議もない」という事になります。
つまりは「BHも運動量保存則に従って動きまわる」という事です。