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ダークマター、ホーキング放射、ブラックホールなど

ブラックホール、ダークマター、相対論、そうして賢者の石探索中。

銀河の形状と分布で検証する初期宇宙のゆらぎ

2023-12-28 00:26:14 | 日記

https://archive.md/gcfGE

『・・・原始ゆらぎの性質は初期宇宙の物理によって決定されるが、最も標準的で最も単純なインフレーションモデルである「単一場インフレーション」で生成される原始ゆらぎの場合、データが平均値の付近に集積し、その平均値を中心に左右対称となるような「正規分布(ガウス分布)」に非常に近い統計性を持つと予言されている。このガウス分布からの「ずれ」(原始非ガウス性)が観測データから有意な水準で検出されれば、初期宇宙における原始ゆらぎの生成プロセスの理解が飛躍的に進展し、「宇宙がどのように始まったか」という疑問の解明に繋がると期待される。

・・・

独・マックス・プランク天体物理学研究所の栗田智貴さんとカブリIPMUの高田昌広さんは、銀河の空間分布を示す分光データと個々の銀河形状をとらえた撮像データを組み合わせ、銀河の形状パターンに含まれる主要な統計的情報の抽出を可能にする「銀河形状パワースペクトル」の測定手法を開発した。この手法を、世界最大規模の銀河サーベイである「スローン・デジタル・スカイ・サーベイ」で得られた約100万個の銀河に適用して、銀河形状パワースペクトルを測定した。

その結果、1億光年以上離れた2つの銀河の向きが統計的に有意に揃っていることが検出された。見かけ上独立で因果関係がないように見える遠い銀河間に、相関が存在することを示す結果である。この相関はインフレーション理論が予言するものであり、銀河の形状を通してその予測が確認されたことを意味する。さらに、最も標準的なインフレーション理論が予言する相関と矛盾しないこと、つまり原始ゆらぎが非ガウス性を示さないことも確認された。

「銀河の形状を用いて初期宇宙の物理を探る研究は先例がほとんどなく、データ解析に至る一連の研究過程は試行錯誤の連続でしたが、それらをやり遂げることができて嬉しく思っています。この成果は、『銀河の形状を用いた宇宙論』という新たな研究分野を切り拓く第一歩となると考えています」(栗田さん)。』

↑↑↑最も標準的で最も単純なインフレーションモデルである「単一場インフレーション」を支持する観測結果が得られた模様。