ダークマター、ホーキング放射、ブラックホールなど

ブラックホール、ダークマター、相対論、そうして賢者の石探索中。

東大、ダークマターの正体が「超対称性粒子」である可能性を検証

2023-02-10 11:46:34 | 日記

https://archive.md/s3cgp

『東京大学(東大)は2月6日、ダークマター起源の高エネルギーガンマ線を探索するため、スペイン・カナリア諸島ラパルマ島のチェレンコフ望遠鏡「MAGIC」を用いて、天の川銀河中心領域を2013年から2020年まで継続的に観測した結果、ダークマターの可能性がある未知の素粒子である「超対称性粒子」が予言するテラ電子ボルト(TeV)以上の質量領域に到達したことを発表した。

また、観測の結果として十分な信号は見つからなかったが、その素粒子的な性質に強い制限を与え、宇宙初期にダークマターがどのように作られたかについて、従来のシナリオに一石を投じることになったことも併せて発表した。

同成果は、東大 宇宙線研究所(ICRR)の稲田知大協力研究員、同・モリッツ・ヒュッテン特任研究員、同・手嶋政廣教授、同・窪秀利教授、高エネルギー加速器研究機構の郡和範准教授、独・マックスプランク物理学研究所の研究者らも参加した国際共同研究チームによるもの。詳細は、米国物理学会が刊行する機関学術誌「Physical Review Letters」に掲載された。

未知の物質であるダークマターを検出できるとされる方法の1つに、同物質同士が衝突した際の対消滅で生じると予測されるガンマ線を観測するというものがある。ガンマ線は地上では観測できないが、宇宙から飛来して大気圏内の分子と衝突して二次粒子の空気シャワーを発生させた際に生じるチェレンコフ光を捉えることで、間接的に観測することが可能である。

ダークマターの質量は、特に有力な理論によればGeV~TeVの範囲に存在すると予想されており、対消滅時に生じる光子も同様のエネルギーを持つ。TeV以上の高エネルギー粒子を地上の実験室で生成するのは難しく、また予想される信号数も少なくないが、広大な地球大気を利用するチェレンコフ望遠鏡なら100TeV程度までの感度を持つため、未踏のテラスケール質量のダークマターを探すにはうってつけと考えられている。

また、ダークマターは重力の強いところに集まるとされ、地球に最も近い密集領域と想定されるのが、天の川銀河の中心部とされている。ただし、ダークマターがどのように空間的に分布しているのかについては、まだ理論的にも実験的にも未解明の部分もあり、ガンマ線でのダークマター探索の結果について、しばしばその不定性が課題とされてきた。そこで研究チームは今回、高いダークマターへの探索感度を保ちつつ、そのような課題を解決する研究方法を提案することにしたという。

今回の観測で特に注目されたのが、ダークマターの質量にピークを持つエネルギースペクトルを有することからダークマター特有の「ラインガンマ線」で、ほかの天体起源の類似信号と容易に区別でき、信号超過が見つかった場合には強い証拠となるという。また、銀河中心付近のダークマター空間分布における理論的な不定性の大きさに対しては、複数の空間分布を想定した上での解析を行うことにしたとする。

なお、このような特徴的な信号を検出できなかった場合、これだけの観測時間と装置を用いても観測できなかったとして、対消滅の頻度(断面積)に対して少なくともこの値よりは小さいものと見積もれる“上限値”を計算できるようになるという。これらにより、今回世界で初めて、超対称性粒子がダークマターの正体である可能性の検証が実現された。今回はダークマターの正体は不明のままだったが、世界で最も小さい対消滅断面積まで探索が行われ、上限値をつける(絞り込む)ことができたとする。

また今回の観測では、MAGIC望遠鏡の立地条件もプラスに働いた。同望遠鏡は北半球にあることから、いて座の方向にある天の川銀河中心領域は地表近くを通過する。そのため、同領域からの光はそれだけ厚い大気を通過するが、大気の厚みがあるほど高エネルギーガンマ線に対して感度を上げられるチェレンコフ望遠鏡にとって有利なことだった。その結果、ほかの手法では難しい、1TeV~100TeVという質量の重いダークマターを最高感度で探索することに成功したとしている。

今回の研究により、天の川銀河中心領域におけるダークマター探索は素粒子理論の検証にも有用であることが、より強く示された。特にTeV以上の重いダークマターについては、他手法と比較してもユニークな結果であり、チェレンコフ望遠鏡によるダークマター探索研究の必要性が示されていると研究チームでは説明している。

現在、2基のMAGIC望遠鏡と同じ観測所に、さらに高い性能を実現する口径23mのチェレンコフ望遠鏡(CTA-LST)が4基建設中で、これらが稼働すれば、1桁高い感度でよりダークマターの性質究明に迫ることができるとしており、加速器・地下実験などのほかのダークマター探索実験とともに、悲願であるダークマターの発見に向けて研究を継続していきたいとしている。』

さてこの報告は結局は「ダークマターの検出には至らなかった」という従来からの観測結果の再確認となります。

しかしながら「大気チェレンコフ光を用いる事でより高いエネルギーレベル=より重いダークマター粒子の検出を可能にした」という事になります。

そうしてその状況は: https://archive.md/QTVIJ :のページにある2つ目のグラフを確認する事で分かります。

 

さて皆さんが好まれるこの「ダークマター=超対称性粒子仮説」、現在ではそれなりに疑惑のまなざしが注がれていますが、それでもまだ多くの方々の期待を背負っている状況が確認できます。

 

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