ダークマター、ホーキング放射、ブラックホールなど

ブラックホール、ダークマター、相対論、そうして賢者の石探索中。

ダークマター・36・フリードマン方程式の解き方

2019-08-19 11:27:54 | 日記

フリードマン方程式の最終形式は「フリードマン-ルメートル方程式の導出」を参照とします。<--リンク
( http://archive.fo/J8wTb)
それで、このページの一番下にある式がスタートラインとなります。

^2=H0^2*(Ωγ/a^2+Ωm/a+(1-Ωγ-Ωm-ΩΛ)+ΩΛ*a^2)
という形をしていますが、物質優勢期以降を主に扱いますので
放射項はΩγ≒ゼロとすることになり、最終的には
^2=H0^2*(Ωm/a+(1-Ωm-ΩΛ)+ΩΛ*a^2)
という式を解く事になります。

H0は現在の宇宙のハッブルパラメータ
Ωmは今の宇宙の物質密度を臨界密度で割った値
ΩΛは今の宇宙の宇宙定数、あるいはダークエネルギー密度を臨界密度で割った値
そして
Ωk=(1-Ωm-ΩΛ)であり、それは宇宙の曲率を表し、
Ωk>0がマイナス曲率の宇宙
Ωk=0がフラットな宇宙
Ωk<0がプラス曲率の宇宙を示します。
注意:ここの所、Ωkの符号と宇宙の曲率の符号がひっくり返ります。
これは、先人がそのように決めましたので仕方ありませんね。)

実際には^2という2乗の形では微分方程式は解けませんので
=±H0*SQRT(Ωm/a+(1-Ωm-ΩΛ)+ΩΛ*a^2)
という形の微分方程式を解く、という事になります。

ここで+H0は宇宙が膨張過程にある時に相当し、-H0は収縮過程にある時を表します。
a=a(t)であって、時間によってaの値が増減する、それをフリードマン方程式は表しています。
そうして、ビッグバンというのはこの式から必然的に現れるのではなく、ある特定の初期条件を与えるとその様な解が得られる、そう考えるのがよさそうです。
つまりフリードマン方程式は時間とともに膨張する宇宙を表すだけでなく、収縮する宇宙もまた表すことができるのです。

初期条件としては
a(0)=1
H0=1、あるいはH0=-1を与え
それから
ΩmとΩΛの現在(t=0)での値を決める、
これはΩk=(1-Ωm-ΩΛ)の関係から結果的には現在の宇宙の曲率を決める事にもなります。

以上をフリードマン方程式に代入し、この微分方程式を解く事でスケール因子a(t)の挙動が分かる、という事になります。
つまりそれは「想定した宇宙の膨張、収縮の様子がわかる」という事です。


さてそれで、具体的にフリードマン方程式を解く方法ですが、もちろんここはwolfram alphaさんにがんばっていただくと、そういう話になります。

まずはウルフラムさんが理解できるように数式を表現します。
^2=H0^2*(Ωm/a+(1-Ωm-ΩΛ)+ΩΛ*a^2)

=±H0*SQRT(Ωm/a+(1-Ωm-ΩΛ)+ΩΛ*a^2)

『x’=-(2.1/x-(1.10001)+0.00001x^2)^0.5,x(0)=1』

初期条件
H0=-1、Ωm=2.1、ΩΛ=0.00001、a(0)=1を代入した場合はこんな風になります。
Ωk=(1-Ωm-ΩΛ)=(1-2.1-0.00001)=-1.0001です。

これを
『ルンゲ・クッタ法でx’=-(2.1/x-(1.10001)+0.00001x^2)^0.5,x(0)=1を-10.8から20.5まで解く, h = .005』
と書いてウルフラムに入力しリターンするとこうなります。

http://archive.fo/jznvI

上記計算実行のアドレス

ちなみにhは数値計算での最少刻み幅の設定の様です。
この値は細かい方がより精度は出ますが、計算範囲との兼ね合わせで計算時間が決まり、細かすぎると計算時間オーバーとなりますので、計算範囲を考えながら適切な値に決める必要があります。


以下「ダークマター・28・DMと宇宙論・フリードマン方程式とそのグラフ」からの引用です。

『さてこのa(t)をつかって宇宙の膨張の様子を示したグラフがあります。

宇宙の未来について(5)スケール因子の時間発展<--リンク(or http://archive.fo/Rmrex)

a(t)を求める式の形は以下のページを参照願います。

宇宙の未来について(6)スケール因子の時間発展をオイラー近似で解く<--リンク
式の導出については個別に勉強していただく事とし、今は結果のグラフのみに注目します。

(5)では一番左にある④の線(黄色)が、(6)では左から2番目の赤色の線が「同一の状況」を示しており、現状認められている「再加速あり」の宇宙の膨張曲線となります。
そしていずれのグラフも縦軸がa(t)の「スケール因子」となっています。
そうして横軸がリニアスケールでの宇宙の展開時間tでt=0が現時点、そこでのa(t)は上記説明のように1となっています。

同じグラフですが「Week3」の35ページにも載っています。<--リンク
少々色が見分けにくいのですが、緑色の線が現在の宇宙の状況、そうして青色の線が「ダークエネルギーがない場合(宇宙が再加速しない場合)の状況」となります。』

さてここで上記(6)で一番左側にあるグラフを描いてみましょう。

初期条件
H0=+1、Ωm=0.3、ΩΛ=1.7、a(0)=1
Ωk=(1-Ωm-ΩΛ)=(1-0.3-1.7)=-1
従って解くべき式は
『x’=(0.3/x-(1)+1.7x^2)^0.5,x(0)=1』
計算範囲はー3から0.6まで、刻み幅は0.005でいいでしょう。

そうするとウルフラムさんに入力する文章はこうなります。
『ルンゲ・クッタ法でx’=(0.3/x-(1)+1.7x^2)^0.5,x(0)=1を-3から0.6まで解く, h = .005』

http://archive.fo/rGTol

上記計算実行のアドレス

ここで得られたグラフは随分と過去に向かって間延びしているものです。

これは物質密度Ωm=1.0と設定した宇宙定数Λがゼロのフラットな宇宙(アインシュタイン・ドジッター 宇宙) では恒星の年齢の方が宇宙の年齢よりも古くなる、という矛盾があり、かつてはそれが問題でした。
そうして、それを解決する為の手法として「宇宙定数Λを導入する事で宇宙の年齢を調節する」というものです。
宇宙の加速膨張が検出される前はこうした目的で宇宙定数Λは議論され、その前はアインシュタインが「宇宙の動きを止める為」に宇宙定数Λを考えたのであります。


という訳で、あとはご自由にいろいろな初期条件で計算し、その結果を確認される事をお勧めいたします。

PS
4次ルンゲ・クッタ法を使ったフリードマン方程式らしいものを解いている資料を見つけました。
・宇宙論パラメータによる宇宙膨張則の比較ツールの作成

4次ルンゲ・クッタ法についての簡単な説明も13ページにありますので、ご参考までに。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/vWTj3
http://archive.fo/f9j5b