遠藤雷太のうろうろブログ

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シアン・ヘダー監督『コーダ あいのうた』

2022-04-01 21:31:40 | 映画を見てきた

2022/4/1

・聾者の家族のなかで一人だけ聴者として生まれた女子高校生ルビーが歌を唄うことを通して自立していく話。

・コーダ(CODA:Children of Deaf Adults)は聾者の親を持つ聴者の子供のこと。この映画で初めて知った。

・中型の漁船。使用感たっぷりの船体と網を引き揚げる機械のかっこよさに、ルビーが魚を分別しながら歌っている様子、最初から情報量が多くて楽しい。

・もう少し堅苦しい話なのかなと思ってたけど、下ネタはくだらないし、退屈なシーンもないし、素直に感動させられる。エンタメとしての完成度が高い。

・手話はわからなくても、手話が第一言語だからこそできる複雑なやり取りを感じることくらいはできる。英語は話せなくてもカタカナ英語の拙さはわかる感じの逆。

・聴者であるルビーも、育った環境から、手話のほうが複雑な感情を表現できるというシーンも納得だし、クライマックスへの前フリにもなっている。

・先生が人前で声を出せない彼女をリラックスさせようとする手際。演技指導にも通じる。

・パートナーの彼、簡単に許されすぎのような気もするけど、まだ若いからあんなものかもしれない。

・生まれ変わりの儀式としての飛び降り。

・欧米の人は自然の沼や湖に平気で飛び込む人が多い(偏見)。

・合唱部の生徒たちの素人っぽさが絶妙。歌の天才が才能を開花する話ではなく、あくまで熱意を持った素人が一歩踏み出すところに焦点を当てているところが上品。挑戦は一部の天才だけが持つ権利ではない。

・ただの恋愛話にも思える歌詞が何重にも意味がある。

・自分は聴者だけど、最後のほうに少しだけ聾者の世界にお邪魔するシーンがあって、「ああ、こういう感じだったのか」と納得。なんだか感動的だった。

・特殊な家族を描いているようで、父親、母親、兄、妹とそれぞれの役割で家族を愛そうとする様子は、ごく普通の恵まれた家族の関係性だった。

・特に憎まれ口叩きながら「家族の犠牲になるな」と妹に言っている兄。

・あの調査員、手話わかってたの意地悪すぎる。

・本作は見ていて気持ちよい作品だったけど、実際には、家族と共依存になって抜け出せなくなっているコーダの人もいるんだろうなということは頭に置いておきたい。


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