2024/5/24
・ポーランドの映画監督キシェフロフスキーが旧約聖書の十戒をテーマに作成した10本の中編映像作品のうち、第5話と第6話を演劇に翻案した作品。
・事前にドラマ版のDVD-BOXで全話視聴して予習十分。
・知識ゼロの状態からだいぶん愛着は沸いているものの、第5話と第6話は、端的に言って話が嫌い。
・舞台化したら印象が変わるかもしれないし、行きがかり上、見ない選択肢はない。
・そんな心持ちもあり安価なテラス席を購入。下手側。
・舞台に対して椅子が垂直方向に並んでいるのでずっと左横を向いて観劇することになる。
・加えて左隣の人(舞台に対しては前方の人)が前傾姿勢。舞台の左側半分が見えない。アナウンスしていたのに。これは声掛け案件かと思っていたら開演10分位で姿勢を変えてくれた。
・第5話は、無軌道な若者がタクシー運転手を殺して死刑になる話。
・弁護士が死刑を反対する立場で苦悩している。
・ドラマ版の被告はいかにも無軌道な若者という感じで鬱屈した気持ちに対しては正直だったのに対し、舞台版ではわりと同情しやすい人柄に調整されていたように見えた。
・テーマをはっきりさせる意図だとは思うんだけど、この雰囲気で簡単に殺人を犯せるのはかえって怖い。
・自分も死刑には反対の立場だけど、死刑の考え方についてとりたてて新しいところは見出せなかった。
・第6話は、覗き趣味の若い男性が覗き相手の女性と仲良くなる話。
・覗き、いたずら電話、郵便物の偽造、付きまとい、当てつけの自傷行為、個人情報の私的利用かつ悪用と、自分の感覚では全く同情の要素はないんだけど、本作では全部許されている。
・男性から見た、理想的な女性という感じ。都合が良すぎる。
・舞台版では、女性の自暴自棄になっている部分が強調されて、覗き男の存在が、彼女にとっても救いになるという要素が強め。
・舞台版でおどけた感じの演技が足されていたけど、どういう意図だったんだろう。
・若干見やすくはなっているものの、「経験がないからと言って何でも許されると思うなよ」という感想は変わらなかった。
(2024/5/23 19:00開演 新国立劇場小劇場)