天然というととても良いイメージを消費者に与えますが、野山に生えている毒草を食すると健康を害するように、天然だからといって100%安全とは限らないのです。サプリメントを購入する際、広告や書物を参考にする機会は多くありますが、バイブル商法にひっかからないように注意が必要です。もしその効果が真実ならば、既に正規の治療で取り入れられている筈ですし、病気の治療とは、本来個人の症状に合った方法が選択されなくてはなりません。身近な人の体験談ならともかく、広告の体験談は基本的に信用しない方が無難でしょう。
健康食品やサプリメントは、本来予防医学にカテゴリーされ、心身に必要で、かつ通常の飲食では補いきれない必要な栄養素を補充して健康の維持、増進を目的とする健康法ですから、西洋医学の薬のように、即効性とは結びつきづらい、という性質があります。薬ではないのに即効性を謳う健康食品は誇大広告の危険性が高いですし、「万能」という言葉も非常に問題が多い表現です。また、「天然」、「食品だから安全」、「全く副作用がない」といったキャッチコーピーもよく見かけますが、化学合成品かどうかは、安全性とはまた別の問題です。
「ガンなどの特定の病気が治った」などと具体的な治療や治療例に言及して商品を宣伝しているケースでも、医薬品ではないので、薬事法に違反する可能性が高いです。「即効性」、「万能」、「最高のダイエット食」、こうした表現は広告で頻繁に見かけますが、過度の期待を抱かせる表現です。臨床的にちゃんとした客観的データを示さず、治癒した患者はその健康食品だけで治ったわけではなく、通常の医院で治療を受けていたような場合でも、単独にその商品だけで治癒した、といった表現をしていることもよくあります。
バイブル本の体験談では「驚くべき効果」としてドラマティックな治癒経験談の症例を取り上げ、「医師などの専門家によるお墨付き」とアピールされているのが一般的ですが、そもそも万人に普遍的効果のある治療法は存在しません。独立行政法人・国立健康・栄養研究所は、健康食品の誇大広告の可能性が高い文言の例を挙げ、消費者に注意を呼びかけていますので、特に顕著な問題点をご紹介させていただきます。「新しい科学的進歩」、「奇跡的な治療法」、「他にない」、「秘密の成分」、「伝統医療」こういった表現で販売している商品は、安全性が十分に確認されていない、未承認医薬品成分を含有していることが多く、副作用の被害も多数報告されています。