「保活レポート」第12回は、稲毛の保育園「ちびっこランド稲毛愛教園」(http://www.inage-aikouen.com/)の園長である依田直也先生にお話を伺った。
20年間教育現場を経験してきた依田先生は、今の子どもたちのたくましさの欠如、壁に当たると逃げてしまい自分の力で乗り越えようとできない姿勢に懸念を抱き、手薄となってしまっている乳幼児期教育を変えていく必要性を感じて、保育園を開園された。
そして、以前の日本人のたくましさ、これが培われたのは、多くの兄弟がいる環境の中で、子どもたちが自ら子どもの社会・ルールを創り、それを上の子から下の子へと伝承していく文化があったからではないか、また、子どもが課題に直面した時に大人が介入してその場だけの解決をしてしまうのではなく、自分たちで考え乗り越えていく経験を積む機会があったからではないか、そのように考え、以前の大家族のような環境の中で子どもたちを育てることに取り組まれている。
この保育園の中では、子どもたち同士で解決していくことを大事にしていて、できる限り先生たちは関与しないで見守ることに徹している。
子どもたちがケンカを始めても、けがをしてしまうような状況でなければとめたりはせず、自分たちで考えて話をして納得する答えを見つけさせる、もしくは、大きい子が仲裁をして解決することもある。
もちろんまだ子どもなので、その仲裁の仕方が不条理なこともないわけではないが、そんな時でも、そっとその子だけに「こういう言い方をすればもっと伝わるかもしれないよ」と教えてあげることで、自分が何とかしなきゃという意思を尊重し、子どもたちの社会が崩れてしまわないように配慮している。
このように、子どもたちの社会を大事にして、徹底して異年齢児保育の特徴を活かす工夫をすることで、小さい子たちの大きい子たちへの憧れというのはいっそう強いものとなる。
上の子の様子を見せることで、トイレも自然と行けるようになるし、よみかきやたし算ひき算などの学習も、意欲を持って取り組むことができるようになる。
「年長になればお勉強をすることができる」、これを楽しみにしてきた子どもたちは、一日で「あ」から「ん」までを20枚も30枚も平気で書くし、ドリルだって一冊簡単に終わらせてしまうのだそうだ。
このような保育園の取り組みに保護者の方も賛同してくれていて、この保育園では転勤など特別なことがない限りは、乳児の頃から小学校入学まで在園することがほとんどなのだそうだ。
子どもたちが長くこの保育園にいて、そして弟や妹も引き続きお世話になる、そうやって文化が引き継がれていることが、大家族のようにという言葉を言葉だけのものにしないで、しっかりと形のあるものができるという好循環を生んでいるのだと思う。
もう一つ、この保育園の特徴は、戸外保育による体力づくりを重視している点だ。
小中学生の体力不足が深刻になっている中で、依田先生は人間の動作の基本である「歩く」ということを大事にされている。
2歳までには隣駅まで、もっと大きい子になれば2~3駅くらいは平気で歩くようになるそうだが、ここでも異年齢児保育の効果が活きていて、上の子たちが歩く姿を見て自分もという気持ちが生まれるので、途中で抱っこをねだるような子はほとんどいないそうだ。
それから、起伏の激しい自然の中で友達と木登りやかけっこをしたり、転がって遊びながら身のこなし方を学んだり、トレーニングバイクでバランス感覚を養ったり、体育的な授業ではなく、遊びながらいろいろなことを覚えるとともに、体力をつけることができる。
また、遠足は年に三回実施されているそうだが、動物園や水族館、東京タワーや空港など、実に様々なところへ出かけていて、在園中に2度同じ場所に行くことはないそうだ。
そして、これらの活動の集大成として、3歳以上の子どもは筑波山や高尾山へ登山遠足に出かける。
頑張って登り切った時の達成感は格別で、日常の生活の中で身に付いた自分の力を実感し、大きな自信につながっている。
日々、子どもたちと何をしようか、どこに行こうかと考え続けている依田先生、その原動力となっているのは、新しいことをやっている時の子どもたちの目の輝きだそうだ。
お話を伺っている間に、子どもたちが元気よく歌い、力いっぱい踊っている様子を見させていただいたが、その生き生きとした表情がとても印象的であった。
この子どもたちの表情にこそ、依田先生が実践している保育の成果が表れていると思う。
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