イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

後悔先に立たず - リン皇女の遅すぎた悔悟

2013年08月26日 11時46分59秒 | 秋田書店

「なにを苦しむか、その限りある体で………」
「地上(ここ)で生きているからです、神よ……」
「生きてゆくことを愛するからです」


 相思相愛になった頃、既に政略結婚を強要してアイオンを捨てるばかりか何処までも利用することをリンは画策していた。彼女が“ティンタスそのもの”だからアイオンに婚姻の刺客は無いと蔑み、祖父ギルダーは結託して義姉アザーリアとの政略結婚を仕組んだ。

捨ててから3ヶ月後、積荷隊襲撃の報に手の空いている白鷹(ハルファード)騎士がいないため、リンは近衛騎士団を率いて救援に赴く。賢者(ナタン)の塔で再会したアイオンの心が自身の裏切りでズタズタに引き裂かれ血を流しているのを悟り、罪を悔いて彼の人生を欲しいと懇願する。しかし、身も心も結ばれた筈のSEXでリンはリッド酒に薬を盛り置き去りにしてしまう。その結果、アイオン暗殺の機会を逆賊に与えてしまい森の都は彼らにより蹂躙された。

駆けつけたリンは夫を殺そうとする矢に左肩を貫かれ転落した。背を強打して脊髄損傷により下半身不随の身になり、改めてアイオンに謝罪し後を託して力尽きたリンは絶命した。その間際、後悔してもし足りない自身の愚挙を振り返りアイオンの苦しい半生を憂う。一つの種族に移行するべく古いティンタスの崩壊と完全融合は不可欠だったが、死なずにアイオンと結婚して世継ぎを成し徐々に古い王家の血を引く、アイオンと自身との血を融合して民にもそれを倣わせれば、アイオンを悲しませることも苦しめることもなかったと悔やんでも遅い。

結局は自身もギルダーもアイオンを信じていなかったのだ。そればかりか、一つになるべき2つの種族の問題なのに自身だけで事に当たり、カルー族を蔑ろにしたことが間違いだった。


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