イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

石像から人間へ

2014年09月18日 05時47分20秒 | 高橋美由紀

「お前なんか、ナインティーンじゃなくて【1(イッ)9(ク)】で十分だ!」
→ 不要な入れ替わりで篠塚のふりをし自身を傷つける暴言を吐いたイックに激怒した慎悟の蔑称としての命名シーンで言って欲しい台詞。

イック(No.19 / ♂)は篠塚高(No.9 / ♀)の「影」と呼ばれる側近のリーダー的存在で、篠塚の片腕であり彼女の不在時の留守を預かり代理を務める重責を担う存在である。「城南一高」篇までは双児の兄妹のように篠塚に瓜二つで性別以外は身長175cm等とほぼ差異は無かったため、彼女が抜けなければならない時は入れ替わって橘慎悟の身辺警護を代行した。この任務を最後に成長期のラストスパートが始まり、10代の成長は男女の性の差異を露わにし、既に1年後の慎悟との再会で篠塚との相違が明確になっていた。嘗ての面影を残すだけの【異性双生児(mixed sex twins / opposite sex twins)】と呼ばれることもある【二卵性双生児(fraternal twins / dizygotic twins)】の男児が成長したような姿になった。

初登場は声のみでの「DUTY8:冬の情景」で篠塚に憧れる少女が不良化した際に密かに登場し、実体を伴っての登場は次の「DUTY9:闇夜の虎」だった。当初は表情が和らぎ始めた篠塚以上に無表情で醒めており、慎悟に“石像”と評され陰険な言動が顕著で躊躇なく慎悟を傷つけ、敵の襲撃よりも慎悟とイックの衝突こそが火花散る緊張に満ちたものだった。徐々に態度が軟化してゆき、慎悟がクラスメイトをバリケードにしての脱走劇を繰り返すも彼と心を通わせるようになり信頼で結ばれる。恋情と現実の狭間で疲弊し心の均衡を崩した慎悟が失踪した際に任務放棄という信じがたい篠塚の姿を見て激昂し、当の彼女を驚かせる程に慎悟と出会う前と後では内面に変化が生じている。篠塚が死を偽装した際、計画通りの役割を果たすも内心反発しており、その表情は苦悶に満ちていた。幼い頃の両親の死に次いで3ヶ月前の幼馴染の殺人に近い事故死に深く傷ついている慎悟に対し、篠塚が自身の爆死を偽装して彼を捨てるという最悪の茶番をしでかしたことに改めて疑念を抱く。部下に慎悟の動向を監視するよう指示して任務で渡米した篠塚に同行しつつ彼をずっと案じており、篠塚には慎悟の情報をシャットアウトして彼を守り、常に慎悟を案じて可能な限り自身で見守っていた。2人が結ばれることが組織にもプラスになると考え「UB」内部の有志と2年後に任務で知り合った共通の友人である「Ω」の協力により篠塚を二段構えの罠に嵌め、厳罰に処されることを覚悟の上で慎悟と篠塚の関係修復を画策した。

慎悟命名の愛称「イック」は他の影やNo.7にも広がり呼ばれている。が、馴れ初めが「DUTY9:闇夜の虎」でのペテンと牽制で入れ替わって篠塚のふりで慎悟を傷つけるという最悪の出会いだったため、慎悟命名の愛称は当時は男子生徒「篠塚高」の二人芝居の舞台裏を知ったことでのイックに対する怒りの蔑称だった。自身のコードナンバーに誇りを持っていることもあり呼ばれる度に抗議したが、改める様子の無い慎悟の態度になし崩しに諦めていった。慎悟との関係が変わることにより、大嫌いな蔑称も呼んで欲しいと願う大好きな名前になった。


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