イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

ヒマラヤとアネハヅル

2014年02月08日 03時53分46秒 | Weblog

アネハヅルの山越えは、風を捕まえるか否かにかかっている。ダウラギリの周辺は強い乱気流が渦巻いていて、風の方向が瞬時に変わる。鳥達にとってはいよいよ正念場だ。

しかし、複雑な乱気流の中には真上に向かって上昇する風もある。その上昇気流に乗れた群れは無事ヒマラヤを越えられるが、その風を読み間違えて見逃してしまった群れは山頂近くの風に押し流され、2kmも3kmも後退しなければならなくなる。その時にV字編隊は崩れ、鳥達の相互協力機能は低下する。どの鳥も一様に体力を消耗し、疲労困憊の挙げ句、低地に舞い降りなければならなくなる。

アネハヅルの山越えの季節となると、脱落した群れを餌にしようとする鷲やトンビのような猛禽類も麓に集まって来る。疲れ果てたツルの群れは、もう逃げ惑う元気すらない。山越えの失敗は、それがその集団の死を意味する場合もある。