goo blog サービス終了のお知らせ 

子どもの本の会

子どもたちにはありったけのお話をきかせよう。やがて、どんな運命もドッヂボールのように受け止められるように。(茨木のり子)

『初雪のふる日』安房直子・作/こみねゆら・絵

2011年02月09日 | 日記
【ストーリー】
秋の終りの寒い日。

女の子は、村の一本道に、石けりの輪が延々と続いているのを見つけました。

「片足、両足、両足、片足…」(ケンケンパーのように)飛んでいくと…。

気がつくと、前にも後ろにも白ウサギが続き、一緒に飛んでいます。

ウサギの列から逃れようとしても、なかなか抜けられません。

女の子はおばあさんから聞いた話を思い出しました。

「初雪の降る日、北の方から白ウサギがやってくる。
 そのウサギの群れに巻き込まれると、世界の果てまでいって帰ってこれなくなる…」

どんどん、どんどん、進みます。山を越え、湖を過ぎ、たくさん街を過ぎ…

「このままでは、おばあさんのいったとおり、世界のはてまで連れていかれて、小さな雪のかけらされてしまう…」

やっとのことで思い出した、おばあさんのおまじないのことば。

女の子はどうやって、切り抜けるのでしょう…









安房直子さん、情景も主人公の心情表現がとても細やかで美しいなぁ…といつも思います。宮沢賢治の世界にどこか似ている気がします。今回の主人公のように、一度読み始めたら、惹きこまれて、なかなかこちらの世界に帰ってこられませんよ、ひっひっひ(笑)

『さんしょっこ』
『花豆の煮えるまで―小夜の物語』

などがお薦めです。

安房直子全集が欲しい、今日この頃。

『トムテ』リードベリ・作/ウィーベリ・絵

2011年02月09日 | 日記
【ストーリー】

しんしんと冷える真冬の夜空に、星が冷たくまたたいている。

森に囲まれた農場は、すべてが眠りについている。

目を覚ましているのは、小人のトムテだけ。

トムテは、長い歳月、この農場の夜番をしている。

牛、馬、羊、鶏、飼い犬のカーロ…

夢の世界をまどろむ農場の家畜たちを順に見回ったあと、母屋の主人夫婦、子供たちの部屋へも。

何代も何代もこの一族を見守り続けてきたトムテ。

彼はいつも疑問に思う。

ひとは、どこからくるのだろう。どこへいくのだろう。

ときは、どこへ流れていくのだろう…。

これまでもこれからも、彼は問い続けていく…。

白い長いひげをなでながら、哲学者のように。









雪の降る夜、子供たちに、ゆっくり、静かに、読んであげたくなる1冊。

家畜たちの静かな息づかいが伝わってきます。

北欧では、床下や屋根裏に小人が住んでいて、何百年もの間生き続け、その家の人々が幸せになるように守ってくれていると、いわれています。

この絵本は、19世紀の詩人リードベリの詩がもとになっています。今でもスウェーデンの人々に愛され、大晦日の夜になるとラジオなどで朗読されているそうです。(あとがきより)