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子どもの本の会

子どもたちにはありったけのお話をきかせよう。やがて、どんな運命もドッヂボールのように受け止められるように。(茨木のり子)

お父さんの本

2010年06月19日 | 日記
まずは、作家自身の父親を描いている絵本たち。

『あたまにつまった石ころが』

作者の父親のことを書いています。石集めが好きなお父さん、「あいつは、ポケットにも頭の中にも石ころがつまっているのさ」「石ころじゃ金にならんぞ!」と周りの人に言われ続けていました。ところが、その石好きが講じて最後は立派な仕事を見つけるのです。
(キャロル・オーティス・ハースト/文、ジェイムズ・スティーブンソン/絵、千葉茂樹/訳、光村教育図書)



『おとうさんのちず』

『よあけ』、『ゆき』などで有名なユリ・シュルヴィッツ氏の自伝的絵本。第二次大戦下、故郷ワルシャワを追われた一家が、命からがらたどりついたのは、夏は暑く、冬は寒い東の国。なけなしのお金をもって買い出しに出かけたお父さんが買ってきたものは、大きな地図。お母さんにはなじられますが、ユリ少年は、その地図のおかげで、過酷な現実を忘れ、空想の世界旅行にでかけられたのです。あとがきを読んで、また感動します。
(ユリ・シュルヴィッツ/作、さくまゆみこ/訳、あすなろ書房)



『てんごくのおとうちゃん』

こちらは、幼くして父親を亡くした作者の自伝的絵本。 父親との想い出の数々を、小学3年生になった作者が、天国の父親にあてた手紙形式で綴っていきます。
「悪いことして地獄に落とされて、天国の父ちゃんに会えなくなったらあかん…」と万引きをやめたところには、ジーンときてしまいます。
(長谷川義史/作、講談社)
長谷川氏の『いいから いいから』『ごくらくごくらく』『ぼくがラーメン食べてるとき』もお薦め。




『とうちゃんのトンネル』

作者の父親が、戦後一家で引っ越してきた村の高台で農業を始めます。家族に真っ白いご飯を食べさせたい一心で、大自然に挑戦しますが、一生懸命育てた陸稲も、日照り続きで不作。その年の娘の嫁入りのお赤飯も、村人から借りて作ったほどです。父親は、山に横穴を掘って、水脈を掘りあてようと一大決心をします。2年ものあいだ掘りに掘り続け…。
父親のあきらめなず頑張る姿と、そんな父親を家族みんなが応援する、感動作です。
(原田泰治/作、ポプラ社)




お父さんと楽しく遊ぼう~!

『あそぼうあそぼうおとうさん』

福音館書店の「かがくのとも傑作集」です。お父さんが身体を使って、子どもとどう遊ぶか、いろんな遊び方が描かれています。ぶら下がって、しがみついて、ひっぱって、のっかって、滑って…。
子どもとのスキンシップの時間が少ないお父さん必見です。
(浜田桂子/作、福音館書店)



『おもしろとうさん』

以前、お昼休みのおはなし会で、読み聞かせした絵本です。この父親は、ゆっくり休みたい休日に、しぶしぶ子どもと一緒に公園に行ったのに、木登りをしたときに、昔の子どもの頃を思いだし、急に吠えるわ、噴水池に入ってバシャバシャやるわ…はじけます。
子どもはそんなお父さんに大喜び!たまには、羽目をはずして子どもとはじけましょう。
(さとうきわこ/作、フレーベル館)



『ピッツァぼうや』

雨の日に外で友達と遊べなくて、ふてくされていた男の子。そこで、父親が息子を使ってピザを作ることにしました。息子をテーブルの上で、たたいて、捏ねて、引っ張って…、トッピングもして、オーブンへ。さぁて、完成して切ろうとすると…。
(ウィリアム・スタイグ/作、木坂涼/訳、セーラー出版)



パイを焼くお父さん、いいですねぇ~

『パパがやいたアップルパイ』

パパが焼いてくれた1枚のアップルパイには、雨も太陽も地球も全部詰まってる。パパの焼いた1枚のアップルパイが世界につながるという、壮大な「つみあげ歌」の本。
自分たちの食べているもの、飲んでいるものは、すべて太陽と大地の恵みなのですよね。
(ローレン・トンプソン/文、ジョナサン・ビーン/絵、谷川俊太郎/訳、ほるぷ出版)

谷川俊太郎さんはつみあげ歌が好きなようです。『のみのピコ』が有名ですが、私は同じ谷川さんの作品では『これはおひさま』(絶版で、Amazonで5,000円の高値が付いていて驚いた)の方が好きです。イラストが大ファンの大橋歩さんなのだよ。このコラボは二度と実現しないのでは?「パパがやいたアップルパイ」と合わせてどうぞ~
学校や親がことさら「自然を大切にしよう」「環境問題を考えよう」などと教えこまなくても、子どもたちは、ちゃんと本から学び取ってくれていると思います。



あきらめかけた子どもの背中をそっと押すお父さんの言葉

『皇帝にもらった花のたね』

これは、お父さん主役のお話ではありませんが、お父さんの進言が活かされて、子どもが最後は幸せになるお話です。正直さと勇気の大切さを教えてくれる、中国のお話。
(デミ/作、武本佳奈絵/訳、徳間書店)


ときには、詩集もいかが?

『心にもっている問題-詩人の父から子どもたちへの45篇の詩-』

幼い子どもたちに話しかけて綴られたひらがなの詩から、大人になった子どもたちに人生の友人として贈った詩まで、20年間、子どもの成長とともに書きつがれた、詩人の父から子どもたちへの、物語としての45篇の詩。
この中の「帽子から電話です」は詩というよりは、ちょっとした物語です。息子(小学4年)に楽しく読み聞かせできました。
(長田弘、晶文社)


逆に、子どもが日常何を思っているのか、お父さんには、子どもの詩集を読んでもらいたいものです。

『ちょっとだけパンツをはいてとなりのトイレに行きました』

子どもたちの作文や詩をまとめたものは、灰谷健次郎氏のものが有名ですが、(『しりたいねん』はお薦め)最近読んだ、子どもの詩集では、この本が一押しです。
タイトルからして、もう笑ってしまいましたが、想像していた通り、冒頭のその子の詩のタイトルは、「トイレの紙」でした
各詩に先生が「ないしょ話」として、その子のことや、その詩にまつわるエピソードを寄せていてます。カットに使われいている子犬や子猫の写真も癒し系。
初等学校では、子どもに日記を課していますが、職員室では、先生方がニヤニヤ読んでいるんでしょうねぇ…楽しそう~
(小掠貴子先生とこどもたち、フローシス桜蔭社)

以上、勝手にお薦めのお父さんの絵本でした。