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子どもの本の会

子どもたちにはありったけのお話をきかせよう。やがて、どんな運命もドッヂボールのように受け止められるように。(茨木のり子)

大人のためのおはなし会(予告)

2010年06月14日 | 日記
「まさ夢いちじく」は、昨年度の6年生卒業おはなし会にて、読み聞かせしたものです。

「かちかちやま」は、昨年度末おはなし会にて、1・2年生(現2・3年生)に語ったものです。

さて、皆さんご存じのカチカチ山ですが、はてさて、本当のカチカチ山は…。ふっふっふ。

雨の日を楽しむ

2010年06月14日 | 日記
6月14日(月)

梅雨入りですね。
大人にとっては、雨の日は憂鬱そのものですが、子どもにとっては…?

『雨、あめ』(ピーター・スピアー/作、評論社)
文字のない絵本ですが、レインコートを着た女の子と男の子が、降りしきる雨の中で、遊ぶ世界が見事に描かれています。水たまりを長靴でバシャバシャする音、 雨樋から滝のように流れる水の音、車が水たまりの水をはね飛ばす音が、聞こえてきます、聞こえてきます。
水たまりに同心円の輪を作る雨つぶ。雨宿りする鳥。 雨粒をはじいて、レース刺繍のように綺麗なアートになっているクモの巣。雨の世界を、思う存分満喫した子どもたちは、満足げに眠りにつくのでした。


同じく文字のない絵本です。
「セクター7」「かようびのよる」「漂流物」の、デイヴィッド・ウィーズナーの作品。

『大あらし』(デイヴィッド・ウィーズナー/作、江國 香織/訳、BL出版)
こちらは、雨どころか暴風雨のあとの、しっちゃかめっちゃかの庭を冒険する兄弟のお話。倒れた大木相手に、「おぉ~!そうやって遊ぶか!」と、想像力豊かな子どもの様子が楽しく描かれています。

結構好きです、絵だけの絵本
そして、子どもの頃から結構好きです、台風や大雨。ワクワクしちゃいます。不謹慎ですみません

『あめあめふれふれもっとふれ』(シャーリー・モーガン/文、エドワード・アーディゾーニ/絵、のら書店)
同じく、雨の中、冒険を試みる兄妹のお話。3日間降り続いている雨。兄妹は、窓から、外の世界を眺めていましたが、いよいよ外に飛び出したくなります。レインコートを着せて、お母さんが、優しく送り出します。いいお母さんですね~。



『あめの日のおさんぽ』(U・シェフラー/文、U・ヴェルセン/絵、文化出版局)
小学2年生の国語の教科書にも載っているお話です。
おばあちゃんにかってもらったレインコートを着て、雨の中、一緒に、犬の散歩へでかけます。排水溝でダムを作っていた落ち葉、ひさしの下で雨宿りしている小鳥、森のきのこ。途中犬が行方不明になったりしますが、いろんな発見をして帰宅すると、あったかいお茶が待っているのでした。



そう、そう!土砂降り初体験の兄弟のお話もあります。夏向けのお話ですが、紹介します。

『まほうの夏』
(藤原一枝・はたこうしろう/作、はたこうしろう/絵、岩崎書店)
両親共働きの都会の兄弟が、ヒマな夏休みに辟易していたら、おじさんから手紙が。急きょ、お母さんの田舎に二人で泊まりにいくことになったのでした
親としては大助かりなんでしょうねぇ、わかる、わかる~

いきなり、坊主頭にされ、現地の子どもたちと、木登り、虫とり、海水浴、釣り、スイカの種飛ばし。なぜか、都会育ちの二人だけがやぶ蚊に刺されまくります。体力も無く、すぐ疲れる都会っ子たちが、どんどん田舎の子になっていきます。

そんな中、夕立に遭遇した兄弟は、雨に顔を打たれて「気持ちいい…」となんとも不思議な気持ちになるのでした。もちろん、ずぶ濡れになって帰ってきても、おばあちゃんは怒らない!採れたて野菜に新鮮なお魚、たくさんおかわりして、倒れこむように布団へ…。いいですねぇ~。遅くまでゲームしている誰かとは大違いだわ…。




雨の中、自然散策に出かけるといえば…、大人向けにお薦めの1冊が、こちら。

『センス・オブ・ワンダー』
(レイチェル・カーソン/著、上遠恵子/訳、新潮社)

『沈黙の春』で有名なレイチェル・カーソン女史の最後の作品です。

センス・オブ・ワンダー。
それは、「すべての子どもに生まれつき備わっている神秘さや不思議さに目を見はる感性」のこと。

レイチェルが後に養子に迎える姪の子ロジャーと、雨の日はもちろん、冬の寒い日も、真夜中の風雨の海岸へも、構わずどんどん出かけていきます。そんな二人の体験が書かれた作品。

子どもたちに自然をどのように感じとらせたらよいか悩む親たちへの、穏やかで説得力のあるメッセージが満載です。



子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみち溢れています。残念なことに、私たちの多くは、大人になる前に、澄み切った洞察力、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときは全く失ってしまいます。

もしも、私が、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー」と授けて欲しいと頼むでしょう。

この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、私たちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、変わらぬ解毒剤になるのです。

わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭を悩ませている親にとっても、『知る』ということは、『感じる』ことの半分も重要ではないと固く信じています。

美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知のものに触れたときの感激、思いやり、憐れみ、讃嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたび呼び覚まされると、次はその対象となるものについてもっと知りたいと思うようになります。
そのようにして見つけ出した知識は、しっかりと身につきます。

消化する能力のまだ備わっていない子どもに、事実を鵜呑みにさせるよりも、むしろ子どもが知りたがるような道を切り開いてやることの方がどんなに大切であるかわかりません。

(中略)

雨の日は外に出て、雨に顔を打たせながら、海から空、そして地上へと姿をかえていく、ひとしずくの水の長い旅路に思いをめぐらせることもできるでしょう。

(本文より)


センス・オブ・ワンダー。それを、生かすも殺すも、そばにいる大人次第ということになるのでしょうか。大切なのは、何か制限すること、無理に理屈で教え込むことではなく、一緒にそばにいて感動できる大人でいること。


「私たちの住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもと一緒に再発見し、感動をわかちあえる大人が、少なくともひとり、そばにいる必要があります。」

と、レイチェル女史も言っております。

本当の環境教育って、こういうことなのだろうな…という1冊です。






余談ですが…、

科学物質による環境汚染に対して、最初に警告を発したと言われている、レーチェル・カーソン女史の『沈黙の春』がアメリカの雑誌に発表されたのが、1962年。

それに衝撃を受けた有吉佐和子さんが、日本の農薬汚染について調査し、それを小説化した『複合汚染』が新聞に掲載されたのが、1974年。

しかし、それより前、1955年(昭和33年)に、菊池霊鷲(太母)と言う女性が、地球の環境汚染について警告し、地球の浄化を訴え、「舟を岸につなぎなさい」というメッセージを全世界に向けて発表していました。

英文に翻訳されたこのメッセージは、世界百十数ヵ国の主要人物三百数十人に送られ、ローマ法王を始め世界の多くの指導者から期待と賛辞を寄せられたそうです。

高度経済成長期にあった当時の日本において、科学的根拠のない彼女のメッセージに、どれだけの日本人が耳を傾けたのでしょうか…。

ご興味のある方は、ネットでも「舟を岸につなぎなさい」の全文が紹介されていますので、ぜひ。

すみません、こうして、いつもの定例会のごとく、話があっちこっちに行ってしまい、長くなってしまいました…ごめんなさい。最近、バタバタしていて、ゆっくり定例会にも参加できず、ご迷惑をおかけしております。大人のためのおはなし会は、頑張りますね~