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子どもの本の会

子どもたちにはありったけのお話をきかせよう。やがて、どんな運命もドッヂボールのように受け止められるように。(茨木のり子)

『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子/幻冬舎

2012年06月02日 | 日記
久しぶりに、感動。

最近、「挨拶してくれない」「誰もねぎらってくれない」「感謝されない」「誰も認めてくれない」など、など、「くれない族」になっていた私。

渡辺和子先生のメッセージのひとつひとつが、沁みて、沁みて…。

読後の清涼感を何度も味わいたくなって、もう三度も読みかえしてしまいました。

大変読みやすい文章。

著者のマザー・テレサのような優しい言葉が、すーっと入ってきます。


以下、本文より抜粋。


「置かれたところで咲く」この生き方は、私だけでなく、学生、卒業生たちにも波及しました。

ノートルダム清心女子大学にも、自分の本意ではなく、この大学に入学した"不本意入学者"がいます。

その人たちにいう、「時間の使い方は、そのまま、いのちの使い方なのですよ。置かれたところで咲いてください」という言葉は、私自身の経験から裏打ちされているからでしょうか。学生たちの心にも響いて、届いてくれるようです。

結婚しても就職しても子育てをしても、こんなはずじゃなかったと思うことが次から次に出てきます。そんな時も、その状況の中で「咲く」努力をしてほしいのです。

どうしても咲けないときもあります。

雨風が強い時、日照り続きで咲けない日、そんな時は無理に咲かなくてもいい。

その代りに、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです。

次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために。

どんなところに置かれても花を咲かせる心を持ち続けよう。

境遇を選ぶことはできないが、生き方を選ぶことはできる。

「現在」というかけがえのない時間を精一杯生きよう。



子育てについて。

「子どもは親や教師の『いう通り』にならないが、『する通り』になる」
子どもに何かを伝えるのに言葉はいらない。ただ、誠実に努力して生きていくだけでいい。


子どもに、もっとちゃんとしなさい、本読みなさい、努力しなさいと言っている自分が、一番努力していない…。

子どもに負けないように、努力をしていこうと思う。

まだ花は咲かせられないかもしれないけれど、根をしっかり張ろう。

★2012年度★第2回お昼休みのおはなし会

2012年05月18日 | 日記
お届けした絵本は、この3作。
①『歯がぬけた』中川たかひろ/文・大島妙子/絵・PHP研究所
②『じゅげむ』川端誠/作・クレヨンハウス
③『ぼくのかえりみち』ひがしちから/作・BL出版

『歯がぬけた』
表紙の左、柴田理恵似の女性は、担任の先生なのだ

抜けた歯をどうするか…
日本では、上の歯が抜けたら屋根の上に、下の歯が抜けたら縁の下に投げるようで…。
マンションの人はどうするの?
外国では、抜けた歯を枕元に置くと妖精がコインに換えてくれる。
主人公の「僕」は、抜けた歯をビンに集めておいて、将来、おじいさんになった時、自分の入れ歯にするというアイディアを思いつきました。

ちょうど、乳歯から永久歯への生えかわりの時期。
抜けた歯をコレクションする子どもが増えたりして…

いまや、ヒトの歯茎の細胞から、さまざまな細胞に変化する人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作製するほど、再生医療が進歩しておりますからね

歯が永久歯に全部生えかわる頃というのは、親からもらった細胞が、生後作られた新しい細胞にすべて入れ換わる時期と言われています。だいたい9~10歳前後。これまであたたかく守ってくれた世界に向かって、その殻を壊して、外へ出たいという衝動が始まる時期でもあると言われています。歯の生えかわりの時期は、しっかりと、子どもを見てあげたいものです。


『じゅげむ』

絵本を見せた瞬間、『じゅげむ、来た~織田裕二ばりの男児の声が(笑)
はて?この子たちは、織田裕二を知っているかな

3年生の教科書にも取り上げられているほど、有名な落語「じゅげむ」。

「じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきれ、かいじゃりすいぎょ、すいぎょうまつ、うんらいまつ、ふうらいまつ・・・」

なぜ、こんな長い名前になってしまったのか…。
生まれた我が子に、めでたい名前をつけて、末長い幸せを願いたい、そんな想いをもった父親が、お寺の和尚さんに相談に行きます。教えてもらっためでたい言葉を、全部連ねて子に命名。
近所中で、覚えるために練習会が開かれる始末。名前が長いため、子育てでは一苦労のようで…。

文中では、「じゅげむ」の由来が絵とともに描かれて、わかりやすいです。
絵本にもありますが、大人より子供の方が、長い名前を覚えやすいようでして、皆、全部言えるようになってね

子どもの名前、どんな想いで命名したか、今一度、子供に教えてあげましょう~。


『ぼくのかえりみち』
「今日は、この白い線の上を歩いて帰ろう!」
学校からのかえりみち、道路の白い線だけを通って家に帰ることを決意した"そらくん"。
落ちないように、ゆっくりゆっーくり、そろーりそろーり。冒険のはじまりです。

「ここから落ちたら大変なことになる…」
トンボやザリガニの誘惑…
恐ろしい断崖絶壁
白線を阻む、障害物
大きくてっちょっと危険な敵
困難をひとつひとつ解決し、乗り越え、進みます。

最後の最後、家を目前に、新たな試練が…
そらくんは無事家路につくことができるのでしょうか

皆「あ、僕も、私も、同じことやった、やった!」という想いを抱きながら、絵本の世界に引き込まれ、ドキドキ、ハラハラ。

交通量の多い歩道では、なかなか、無理でしょうが、「何やってるのよ!?早く歩きなさいよ!!」と、今日も保育園帰りのお母さんが路上で叫んでおりましたが…(苦笑)ちょっとは、付き合ってあげましょう~。

今でも、横断歩道の白線だけ、ピョンピョン飛んでいる私自身(アラフィフ)、久々に、ヒットした、お薦め絵本です。

参考まで:「中学受験から撤退する決断」AERA(12.4.30-5.7合併増大号)

2012年04月24日 | 日記
今日発売のアエラで「中学受験から撤退する決断」という記事があります。中学受験を目指したがために、おかしくなってしまった家族や子どもの具体例を示しながら、受験適齢期を見定める大切さを書いています。私はこれからの子どもも抱えていますので、考えさせられる記事です。(AERA編集長一色清氏のツイートより)


『最初の質問』長田弘

2012年04月23日 | 日記
 「最初の質問」長田弘
  
  今日あなたは空を見上げましたか。
  空は遠かったですか、近かったですか。
  雲はどんな形をしていましたか。
  風はどんなにおいがしましたか。
  あなたにとって、いい一日とはどんな一日ですか。
  「ありがとう」という言葉を今日口にしましたか。

  窓の向こう、道の向こうに、何が見えますか。
  雨の滴をいっぱいためたクモの巣を見たことがありますか。
  樫の木の下で、あるいは欅の木の下で、立ち止まったことがありますか。
  街路樹の木の名前を知っていますか。
  樹木を友人だと考えたことがありますか。

  この前、川を見つめたのはいつでしたか。
  砂の上に座ったのは、草の上に座ったのはいつでしたか。
  「美しい」と、あなたがためらわず言えるものは何ですか。
  好きな花を七つ、挙げられますか。
  あなたにとって「わたしたち」というのは、だれですか。

  夜明け前に鳴き交わす鳥の声を聴いたことがありますか。
  ゆっくりと暮れていく西の空に祈ったことがありますか。
  何歳の時の自分が好きですか。
  上手に年を取ることができると思いますか。
  世界という言葉で、まず思い描く風景はどんな風景ですか。

  今あなたがいる場所で、耳を澄ますと、何が聞こえますか。
  沈黙はどんな音がしますか。
  じっと目をつぶる。すると何が見えてきますか。
  問いと答えと、今あなたにとって必要なのはどっちですか。
  これだけはしないと心に決めていることがありますか。

  いちばんしたいことは何ですか。
  人生の材料は何だと思いますか。
  あなたにとって、あるいはあなたの知らない人々にとって、
  幸福って何だと思いますか。
  
  時代は言葉をないがしろにしている。
  あなたは言葉を信じていますか。 
 
  

ゴールデンウィーク、たまには立ち止まって、ゆっくり、ゆったり、耳を澄ませて、心を澄ませて、「○○君のママ」でなく、「△△さんの奥様」ではなく、「私」のこと考えましょ。

実は…、おととしの「大人のためのお話し会」で、朗読したんです。
参加者3名でしたが…

★2012年度★第1回お昼休みのおはなし会

2012年04月19日 | 日記
2012年4月19日(木)
本日、読んだ絵本は、この3冊です。

①『あ』大槻あかね(著)福音館書店
②『ともだちや』内田麟太郎(文)降矢なな(絵)偕成社
③『からすのたまごにいちゃん』あきやまさとし(作)鈴木出版社


『あ』
小さな針金小人が、ジョッキ、マヨネーズ、綿棒、テープ、耳かき、蚊取り線香、ファスナーなどと遭遇します。はじめて目にする物たちに、「あ」「は」「あーー」などと、一言だけ発して、その物の形をまねてポーズ。そして、触ったり、遊んでみたり、「物」と戯れる針金小人。
身近な、何の変哲もない物も、針金小人を目を通してみると、なんだか、こんな楽しみ方があるのかぁ~と、物の見方が変わってくるから不思議。ビールの泡にまみれちゃうシーンは、子供たちも大喜びしていました。

針金小人には目も口もありませんし、発する言葉は「あ」「は」「ひょ」のひとことだけ。
全編いたってシンプルな絵本ではありますが、大人も十分楽しめる、作者のセンスの良さがにじみ出ている素晴らしい作品だと思います。

この針金小人の動き、とっても愛くるしくてね。次回は、この針金小人を作って、子供たちに見せようっと。
きっと、大喜びするぞ~。フォッフォッフォ

それにしても…、私も、耳かきの綿毛に身体をうずめてみたい~(笑)


『ともだちや』
キツネが「ともだちやさん」をはじめました。
「え~、ともだちいりませんか?さみしいひとはいませんか?ともだち1時間100円、ともだち2時間200円!」
一緒に食事をして欲しいと、クマからお呼びがかかります。苦手なイチゴやはちみつを一緒に食べ、200円いただきました。
今度はオオカミが声をかけました。いっしょにトランプ遊びをします。遊んだあとお代を頂こうとすると…、
「おまえは、ともだちからお金をとるのかっ!それがほんとうの友だちかっ!」と一喝されます。キツネとオオカミは、あしたも明後日も遊ぶ約束をしました。
さみしくて、本当の友だちが欲しかったのは、キツネの方だったんですね。

大型ビック絵本で読み聞かせをしました。
「おまえは、ともだちからお金をとるのかっ!それがほんとうの友だちかっ!」見開きいっぱいの大迫力のオオカミの真っ赤な口が印象的でした。


『からすのたまごにいちゃん』
学年末のお話し会で1年生(現2年生)に読んだ「たまごにいちゃん」。たまごにいちゃんの殻を割ろうとイタズラしていた「カラス」が主人公のお話です。単なる意地悪からではなかったことが判明します。

それは、過去の経験から。兄弟の世話で忙しいお母さんの気をひこうと、殻をかぶったままなら、子供扱いされて怒られないのをいい事に、いたずらしまくっていた「カラスのたまごにいちゃん」だったからなのです。
その殻を自ら破り、「ちくしょー!きもちいいじゃんかよー」と羽根をひろげ、広い世界に飛び立つ経験をしていたのです。そんな快感を「たまごにいちゃん」にも教えてあげたい、そんな優しさから追いかけまわしていたのですねぇ。

成長することへの不安を吹き飛ばしてくれる素敵なお話。

先月読み聞かせた「たまごにいちゃん」と、全く同じシーンが出てきますが、さすがっ!子供たちは皆覚えていました。意地悪カラスの印象が、ガラッと変わった瞬間。子供たちの顔で分かりました。

意地悪でいたずらばかりする子が、はたして、本当に根っからの悪い子なのかどうか…、それは、わかりませんよね。

『しょうぼうじどうしゃじぷた』他

2012年04月18日 | 日記
乗り物が大好きだった息子に読んであげていた絵本4冊。

1963年「しょうぼうじどうしゃじぷた」
1965年「のろまなローラー」
1989年「とべ!ちいさいぷろぺらき」
1997年「ちからもちのタグボートとーとー」


乗り物中心に描き続けた山本忠敬さんのイラストは、1960年代発行の2冊は、やはり時代を感じさせるものですが、内容は、今でも子どもたちの心にたくさん勇気を与えてくれます。(2003年1月永眠)

どの絵本も、主人公は、小さかったり、のろまな乗り物だったり。

「しょうぼうじどうしゃじぷた」「のろまなローラー」では、どこに行っても周りの立派な乗り物に、その容姿をバカにされ、いじけて、くじけそうになりますが、それでも、自分にしかできない仕事を自分なりにこなし、最後は、その活躍ぶりを皆が認めてくれ、自信をもって前に進むのです。

「とべ!ちいさいぷろぺらき」「ちからもちのタグボートとーとー」では、はじめてのフライトや初仕事に不安をもつ主人公に、大きなジェット機や貨物船が励ましの言葉を優しくかけてくれて、勇気を与えてくれる。そして最後は頑張りぬき、前に向かって進んでいきます。

これまでは年長さんで一番大きかったのにね、6年生がすごく大きく見えて、自分がとても小さく感じる。小学校に入ったばかりで、環境の変化に慣れず、まだ不安が残る子供たちに、ぜひ読んであげて欲しいなぁと思います。


個人的な話で恐縮ですが…。
昔、まだ小学校にあがったばかりの息子を、夜1人の残して、どうしても外出しなければならない緊急の用事がありました。寝かしつけてから出かけようとしましたが、私が帰ってくるまで起きていると言い張り、後ろ髪引かれる思いで出かけました。

私が帰宅したとき、息子はソファで眠っており、傍らに「しょうぼうじどうしゃじぷた」の絵本がありました。淋しくなって、本棚から自分で選び、慣れない夜の留守番、独りぼっちで心細くなって、大好きだったこの絵本を読んで、自分を慰めていたようです。あぁ…可愛いあの頃に戻ってぇ(笑)


自分が大好きだった絵本、あるいは、心の支えになったであろう、お子さんが大好きだった絵本を、ときには本棚から取り出して、読んであげてはいかがでしょうか?


子どもが不安なときや落ち着かないときは、「あぁ、その話、知ってるよ~」なんて言われて、気乗りしない素振りでも、読み始めると、耳をダンボにして、聞いてくれてるもの。ストーリーを知っている聞きなれた物語に、妙に心落ち着くこともあるようです。

よく、高学年のおはなし会用に「高学年向けのお話を…」と、オファーされますが、小さい時に読んでもらった昔話を年齢を重ねた今、また聞くと、「こんなお話しだったっけ?」と、違った印象を持ったり、読んでもらった小さい頃情景を思い出したりするようで、はじめは、「ふふん!」と、斜に構えて聞いている子どもたちも、読み終わるころは、あらまぁ~可愛い子どもの顔に

何学年にもまたいで、同じお話を読み聞かせたときは、各学年で反応が異なり、ハマる箇所、ウケる(笑える)箇所が、まったく違って、面白い。

成長するってこういうことかも…と気付かされます。

大人はなおさらです。同じ昔話や童話でも、小さい頃は、主人公の気持ちで聞いていたはずなのに、鬼婆の気持ちやおばあさんの気持ちになって聞いたりね…(笑)小さい頃は気がつかなった話の「オチ」が、数十年して「今分かった」ということもしばしば。


しかし…男児の乗り物好きは、しょうがないですね~。男の性(サガ)だね。
特に「はたらく車」が大好きだった息子。あれは2歳のとき。ある日始まったマンション建設。それも真向かいで。いろんな「はたらく車」が次から次へとやってきて…。更地にするところから完成するまで、毎日のように見に行ってました。交通誘導警備のおじさんと仲良くなって、工事現場の事務所にまで入れてもらったり、クレーン車に乗せてもらったり…。雨の日も風の日も、炎天下も。おかげで、私は、今になってシミがすごいです…。なんてね。

2012年度の活動予定

2012年04月14日 | 日記

定例会
日時:毎週第3木曜日 10:30~12:30
場所:旧生徒寮 西談話室(食堂奥)

お昼休みのおはなし会
日時:定例会のあと、13:05~
場所:初等読書室にて

初等での読み聞かせは、子どもたちの笑顔に触れられる貴重な機会でもあります。

定例会では、本の内容から子育ての話に発展することが多く、先輩ママさんからのアドバイスも頂けて、大変参考になります。


まずは、4月19日(木)10:30~ 第1回定例会を開催いたしますので、
子どもの本の会の活動にご興味・ご関心のある方は、ぜひ定例会にお越しください。

お待ちしております

『命ということ心ということ』椋鳩十

2012年03月22日 | 日記
椋鳩十『命ということ心ということ』の「悪童からの変心」の章。

小学校時代、手に負えないあくたれ坊主だった椋鳩十さん。

先生が「こら坊主。いたずらばかりしておらんとなぁ。たまには、こういう本を読んでみないか」と彼の前に置いたハイジの本。

彼はハイジの心の清らかさにうたれ改心したとか。

彼を変えたのは、長い説教より、1冊の本。

いいですねぇ~。素晴らしい先生。

彼が心打たれた一節は…。

『この世の中で、一番美しいものは、人が、お別れをいうときのことばだ。夕焼けが美しいのはのう。おてんとうさまが、山々に向かって、お別れをいっているからだよ』

私が大好きなハイジの一節が、椋鳩十さんと一緒だったので、感動し、鳥肌が立ち、記事にしてしまいました。

最近、感動することが少なくてね…。大事ですね、心揺さぶる感動。心のアクセントになる。それだけで、一日、幸せな気分で過ごせます。

(ハイジについては、過去記事もあります⇒『ハイジ』


「ペーター少年のいたずら、それは、心がすっきりするようないたずらであった。その背後には明るさを漂わせているいたずらであった。そのいたずらは私とは正反対のいたずらであった。私のいたずらは背後には、陰湿なものがつきまとっているのだ。私は胸の痛い思いをしながら、ハイジの本を読むのであった。

(中略)

先生たちも始末に困るといった、悪たれ坊主の私と、あの美しい、雪よりも心の綺麗なハイジの心は同じなのだ。私と同じようにハイジもまた、夕焼けを美しいと思っているのだ」


そして、

「先生から何回も何回も説教されても一向にかわることのなかった私が、悪童ぶりを顧みられ、美しくありたいと思う心が芽生えてきた」
とある。

いわゆる反抗期というものは、学校の先生や親が何をどうしようと、ましてや知識ではどうにもならない。こうして、自分で解決していくものなのでしょう。でも、そのキッカケは、賢い大人から与えてあげれることでもある。

ただし、椋鳩十さんの場合は、長野県の南アルプスを臨める自然環境で育ち、ハイジが感動したのと同じような夕陽をいつも眺めることができたからこそなのかも。先生が薦めた本が、たまたまハイジだったのか、それとも、先生はそれを知っていて、少年椋鳩十に渡したのだとしたら、この先生はすごいなぁと思うのです。




昨日、たまたま観たテレビ番組での金八先生第2シリーズ(校内暴力がテーマ)で、卒業生に贈った最後のお説教にも、私は感動してしまった。

『君たちは決して良い生徒ではなかった。むしろ悪い生徒だった。しかし、悪い生徒の中にこそ美しい魂が宿っていることを、君たちは先生に教えてくれました』

「子どもと悪」について、いろいろと考えさせられる昨今。

★2011年度/学年末おはなし会★

2012年03月20日 | 日記
★1年生★
①うごいちゃだめ!
②たまごにいちゃん

★2年生★
①回文
②うごいちゃ、だめ!
③みるなのくら

★5年生★
①回文
②ピーボディ先生のりんご
③朋有り遠方より来たる
④みるなのくら

★6年生★
①はじまりの日
②朋あり遠方より来たる
③あおいとり


『うごいちゃ、だめ!』
ガチョウとアヒルの「動いたら負け競争」。ハチが飛んでこようとも、ウサギやカラスにいたずらされようとも、突風が吹こうとも、びくともしない2羽。
キツネがやってきて、2羽を食べようとします。それでも、2羽はびくともせず、とうとうガチョウが大鍋に入れられそうに…。

はたして、どちらがチャンピオンに…。

読み聞かせのあと、2年生の女子が円陣を組んで「動いちゃダメごっこ」を始めました。とても微笑ましい光景に、こちらが和ませてもらいました


『回文』
上から読んでも下から読んでも同じになる、言葉遊び。
「よだれだよ」
「かんけりよりけんか」
「さぎすいかをかいすぎさ」
だんだんと文字数も増え、難度が高くなっていきますが…。皆で頭をひねって、最後は答えにたどり着きました。楽しい言葉遊びを、これからも機会があれば、取り入れていきたいと思っています。


『ピーボディ先生のりんご』
←以前記事にしておりますので、クリックしてみてください。


『はじまりの日』
←こちらも以前記事にしております。


『朋あり遠方より来たる』
最近は、教育テレビの「にほんであそぼ」でも取り上げられている論語。メディアによく登場される言語学者の斉藤孝先生が書かれた、子供でも分かりやすい現代語訳付きの絵本です。
たとえば…、
「子曰わく、過ぎたるは猶お 及ばざるがごとし」
「先生はいわれた。『ゆきすぎは、たりないのとおなじじゃ。かたよらないのがいいのだ』」

などなど。

今回は、紙芝居形式で、原文と現代語訳、それぞれ担当を変え、掛け合いで読みました。
ちょっと難しい内容でしたが、国語の副読本でも使われているそうで、「温故知新」賢人たちの知恵や教訓にも触れる機会があればと思い、読んでみました。


『みるなのくら』
今回は、日本の昔話として、このお話をご用意しました。
山で道に迷ってしまった若者が、一晩だけ、大きな屋敷に泊めてもらいます。次の日、そこのあねさまが、「12の蔵があるが、最後の蔵だけはあけてはならぬ」と言って若者に留守を頼みます。若者が、12の蔵を順に1つずつ開けていくと、正月、節分、桃の節句…と、日本の季節の行事風景が現れます。「あけてはいけない」と言われた最後の蔵の扉も開けてしまいます。果たして、12番目の蔵には…。


どの場面も両端に黒い蔵の扉が描かれ、見ている方は、若者と一緒に覗き見ているような気持になってきます。

子供たちは「次はきっと七夕だよ…」と、小声で次の場面を予想し合って、その通りになると、喜んでいました。そうして、だんだん12番目の蔵に近づくと、顔を見合わせて「あぁ…(どうなるの?どうなるの?ドキドキ…)」「開けちゃダメだよ…」といった心配そうな様子に。物語の世界にどんどん引き込まれていく子供たちの純粋さがとてもまぶしい。

オバちゃんにも、あなたたちの純粋さ、少し分けて下さい。へへ


『あおいとり』
おなじみメーテル・リンクの「あおいとり」。題名は知っていても、じっくり読んだことがある人は少ない?のではないでしょうか。いろんな出版社から子ども向けにあおいとりの絵本が出ていますが、今回は、より原作に忠実なストーリーで、さらに、素晴らしい幻想的な挿絵のブライアン・ワイルド・スミスのもの(絶版)を用意しました。

病気の女の子のために青い鳥を探して、妖精から魔法の帽子を授かり、妖精たちと冒険の旅に出るチルチルとミチル。なかなか見つからない青い鳥。幸せの青い鳥は、はたして、どこにいたのでしょう…。幸せは、本当は、とても身近なところにあるのです。

一人一人で読む読書も楽しいですが、こうした名作(知っているようで知らない名作)を、皆でじっくり味わってもらたいと思います。機会があれば、また、素晴らしい挿絵と共にご紹介できればと思います。


今回は、初の試みで、5年生の『みるなのくら』と6年生の『あおいとり』は、プロジェクターを使ってスクリーンに大きく映し出し、場面場面に合ったBGMもつけて、読み聞かせをしました。

ストーリーもさることながら、素晴らしい芸術ともいえる挿絵を、存分に楽しんでもらいたいと思ったからです。

メンバーも少なく、なかなか練習も思うようにいきませんでしたが…、これからも、子供たちに、楽しいお話をお届けできればと思っております。

これにて、子どもの本の会、2011年度の活動、すべて終了いたしました。メンバーの皆さま、大変お疲れさまでした。また、お昼休みのおはなし会に、毎回、来てくれた子どもたちにも、感謝、感謝です。来年度もぜひ遊びに来てくださいね


最後に、初等の諸先生方、いつも、会の活動へのご理解とご協力いただきまして、誠にありがとうございます。特に今回は、最後、会場の準備や機材の貸し出しなど、大変お世話になりました。来年度も細々と活動を続けていく所存です、よろしくお願いいたします。

『ほんたうのたべもの』宮沢賢治

2012年03月10日 | 日記
 序
 
 わたくしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の光をのむことができます。
 
 またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗(らしゃ)や、宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。
 
 わたくしは、そういうきれいなたべものやきものをすきです。

 これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたものです。

 ほんとうに、かしわばやしの青い夕がたを、ひとりで通りかかったり、十一月の山の風のなかに、ふるえながら立ったりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。ほんとうにもう、どうしてもこんなことがあるようでしかたがないということを、わたくしはそのとおり書いたまでです。

 ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでしょうし、ただそれっきりのところもあるでしょうが、わたくしには、そのみわけがとくにつきません。なんのことだか、わけのわからないところもあるでしょうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。

 けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。

大正12年12月20日

宮沢 賢治
(「注文の多い料理店」(角川文庫) 序より)


さっき、久しぶりに、この本(注文の多い料理店他八編)の中から、「鹿踊りのはじまり」を朗読しました。
勝手に、鹿同士の会話の盛岡南部弁を、津軽弁にして。
いいんです、私自身のための朗読なので。ははは。
朗読家おつきゆきえさんのようにはいきませんが…。

ススキ野原にある男が忘れた手拭いを、生き物と勘違いして、様子を探りながら、その周りをぐるぐる踊り回る6匹の鹿の様子が、とても面白いです。
宮沢賢治作品の中で大好きなもののひとつ。

私の持っている本(画像)は、昭和33年初版、昭和53年第17版のものですが、この序文は原文初版のまま。

そして、この序文が大好きでたまりません。

宮沢賢治さん。37歳で逝去されています。
私は、もうとっくにその歳を越えてしまっています。

子どもたちに、たくさん素晴らしい童話を読んで聞かせて「すきとおったほんとうのたべもの」をいっぱい食べてもらいましょう~。




以前出席した「大人のための宮沢賢治朗読会」にて、朗読をされた「おつきゆきえ」さんから、いただいた言葉。


子供は子供でいてさえくれればいいのよ。大丈夫、そんなに早く大人にしなくても。
『そんなんじゃ、大人になったら困りますよ!』なんて、言うのはもってのほか。
子供は未来なんて予測できない。今、今この一瞬一瞬を精一杯生きてるだけ。
今を楽しくしてあげるだけでいい。
そんなに早く、辛い大人社会を教え込まなくても、子供は自然と分かるようになります。
辛いこと、苦しいことを先回りして教えないで。

子供時代は、毎日が楽しくて楽しくてしかたがないくらい、
楽しいこと、気持ちのいいことを、たっくさん、たっくさん経験すればいいの。
子供であることを満喫した子ほど、大きくなってから、とても人の気持ちがわかる、
sensitiveな、敏感な子になるから。
『あぁ、あの子、なんだか楽しそうじゃないなぁ…どうしたんだろう?』
『あぁ、今日はあの子、元気のない声してる、どうしたんだろう?』と、気づく子になれる。
それは、楽しいこと、気持ちいいことをいっぱい知っているからこそ。

今の子は、相手のそうした気持ちにとても鈍感。気づかない。
あるいは、気づかないフリをして、面倒くさいことに足を突っ込まない。
今騒がれている「いじめ」もそうしたことが原因かなぁと思っています。




おつきゆきえさんは、朗読を生業としていて、全国を駆け回っています。
今回朗読されたのは、宮沢賢治の「どんぐりと山猫」「イチョウの葉」など。

幼稚園児や小学生に絵本を読み聞かせに行くことも多いそうですが、演者に失礼になるからと、北朝鮮の子供のようにピシっと座らせ、緊張して聞かせるところが多いそうです。でも、彼女は言っています。


「こうした朗読・読み聞かせは魂で聴くものであって、スタイルは関係ない」
寝っころがって聴いてもいいし、魂に響かないときはボーっと外見てもいい。咳・くしゃみ、赤ん坊の泣き声、気を使って退席しなくてもいいですよ!




おつきさんの朗読は、そんな周りのことを気にする暇もないほど、皆の魂を物語の世界に引きずり込む、とてもすばらしい朗読です。

私はいつも子供に物語や絵本を読んであげる立場で、こうして読んでもらうことなんて、めったにありませんし、よい時間を持たせていただきました。

賢治の言う『ほんたうのたべもの』、身体に染み渡るキラキラした透き通った食べ物をいただくことができました。

ごちそう様でした。

へぇ~?!ずっと「イチロー」は長男だと思っていた…

2012年03月10日 | 日記
意外と知られていない話ですが、プロの選手には、おもしろい傾向があります。

「一流選手には、長男よりも次男が多い。長女よりも次女が多い」という結果です。

プロ野球選手は、次男が圧倒的に多い傾向があります。

例えば、誰もが知っている野球界のヒーロー「王貞治」「長島茂雄」「イチロー」「松井秀樹」など、次男です。

大横綱といわれる「大鵬」「北の湖」「貴乃花」「朝青龍」にも兄がいます。

オリンピックに出場した選手の兄弟・姉妹関係を調査したリサーチ結果をみたことがあります。

それによると、長男・長女が全体のおよそ20パーセント、次男・次女がおよそ70パーセント、一人っ子がおよそ3パーセントという結果でした。

見ての通り、圧倒的に次男が多いですね。

はたまた歴史上の偉人たちも、なぜか長男より次男が多い。

聖徳太子、坂本竜馬、織田信長も次男坊です。

なぜ、次男ばかりがこれほど強くなるのでしょうか。

まずひとつ目に挙げられる理由は「体格」です。

体格は、長男より次男、長女より次女のほうが身長が高くなりやすいのです。

次男次女は、母親にとって二度目の出産になります。

つまり、すでに子宮が伸びているため、二人目のほうがお母さんのおなかの中でのびのびと育ちやすくなります。

その結果、身長も高くなりやすいのです。

もちろんすべてがその限りではありませんが、傾向が強いのは事実です。

そして、メンタル面にも違いが出てきます。

長男・長女は、親にとって初めての子どもです。

初めての子どもですから、親は懇切ていねいすぎる子育てをしてしまいがちです。

面倒見がいいのはすばらしいですが、度合いにもよります。

あまりにも面倒を見すぎてしまうと、子どもが試行錯誤したり努力したりする機会まで奪ってしまいます。

「面倒見がいい」といえば響きはいいのですが、あまりにやりすぎるのも問題なのです。

その点、次男や次女は違います。

親にとっては、二人目の子どもです。

育児についてはいくぶん慣れがあるため「このくらいは放っておいても大丈夫だろう」「このくらいは安全だ」と、手を抜きやすくなる。

その上、二人目の子どもですから、次男・次女の世話に割ける時間はどうしても少なくならざるをえない、という事情もあります。

結果として「いい意味」で、子どもをほったらかしにするのです。

これがいいのです。

次男や次女は、親が面倒を見てくれないので、子どもなりに努力をしようとします。

親からの面倒見が少ないぶん、わからないことは自分で試行錯誤します。

「自分のことは自分でやる」という習慣も身につきやすい。

そして常に年上の兄や姉の存在がいるので、競争心を燃やしやすいのです。

その結果、自立心の成長がうながされ、優れた精神力を兼ね備えやすくなります。

だから、オリンピック選手には、次男・次女が多いのです。

「面倒見のいい親=子育て上手な親」とは限りません。

面倒見が悪いほうが、子どもは強く成長するとは皮肉ですが、そういう現実があるのもたしかなのです。





そんな私も次女。ふふふ

『からすたろう』やしまたろう/文・絵

2012年03月08日 | 日記
小学校入学当初から、みんなに「チビ」と呼ばれた少年。
何ひとつ覚えられないので、授業中も放っておかれ、友達もできず、いつも、からかわれ、のけものに。
チビは、皆と離れ、校庭の隅でじっと耳をすませたり、虫をつかまえて眺めたり…。
それでも、毎日、雨の日も嵐の日も、菜っ葉でくるんだ握り飯持って、学校へやってきます。

6年生のとき、新しく赴任してきた磯部先生が、野山の植物や、花に詳しいチビの素晴らしさを認めてくれるように。
先生は、学芸会でチビを一人舞台に立たせ、「カラスの鳴き声」を披露させます。
雛のカラスの鳴き声からはじまり、お母さんガラスの鳴き声、お父さんガラスの鳴き声、村に不幸があった時の鳴き声…。
6年間カラスの鳴き声を聴きながら、毎日毎日、休まず通ったのだと先生が説明しますと、子どもたちは、6年もの間、どんなにチビにつらくあたったかを悔いて泣きだし、父兄も感動して褒めたたえます。
卒業式では、チビだけが「皆勤賞」。今までにない、誇らしげなチビが描かれています。
卒業後は、誰も「チビ」なんて呼ばない。
「やぁ!からすたろう」と誰もが、通りで、少年に親しげに声をかけるのでした。



磯部先生は、作者やしまたろうさんの恩師(当時20代の若さ)お二人がモデルだそうです。
そのうちのお一人は、支那事変の上海上陸作戦で、若くして戦死されたそうです。

自然いっぱいの学校に、素晴らしい先生…
あら?まるで…


1955年初版の絵本。
7、80年前の日本の風景が描かれていますが、今でも全然読めますし、通じるものがあります。

この絵本、『Crow boy』という英タイトルがついています。実は、海外で有名な絵本。アメリカの絵本界で最高の栄誉とされるコールデコット賞次席を当時受賞。


作者の「やしまたろう(八島太郎)」さん。

軍事訓練を拒否して芸大を退学になり、さらに、軍国主義を否定して、何度も特高につかまって投獄されます。そのうち、子どもを神戸の実家に残して、夫婦で渡米。亡命といいましょうか…。アメリカでも芸術活動を続け、戦争中出版した、『The New Sun(新しき太陽)』という自伝的画集で、投獄されても希望を捨てなかった日本人と賞賛され、アメリカの新聞や雑誌に広く取り上げられたとか。

戦時情報局でも働いて、沖縄戦では、米軍機からばらまくビラを書いたそうです。

当時、米軍が作成していたビラは、圧倒的な兵力を誇示するか、食べ物が欲しければ降参しろという内容ばかりだったそうですが、八島さんは、ビラの内容を変えるように主張。

ひとりでも多くの命を救いたい。そう考えた八島さんのビラには、例えば抱き合う母と子の絵と共に、こんな言葉がそえられていたそうです。


   「父よ、生きよ。
    あくまで生き抜くことは、
    父よ、夫よ、あなたの義務である。」

   「死ぬな、断じて死ぬな!
    耐えろ。機会を待て。

    死んで欲しくない。生きて欲しい。
    戦後こそあなたたちが必要だ。」


1994年、カリフォルニア州の自宅で85歳で死去。


1冊の絵本の中に、いろんな作者の思いが込められていたり、いろんなバックグラウンドがあって、ホント深いなぁ…と思います。

たかが絵本、されど絵本

(この記事は、以前投稿した記事を再編集して再掲しています)

『心のボタン』東君平

2012年03月01日 | 日記
東君平さんの絵本で大好きなのは、切り絵のような君平さんらしい独特な画風の『くろねこかあさん』。1986年に、絵本作家としてこれからが有望視されていた中で、46歳の若さで逝去された。私と同い歳で死ぬということ、家族を残して死ぬということ…、慮ると切ない。
これは、君平さんが遺した小さなノートから生まれた詩集。
「くろねこかあさん」のモデル?と思われる「猫の黒塀(クロベエ)」シリーズは、君平さんが急逝されたため、未完のまま掲載されています。


『心のボタン』東君平

いつか遠い日

母さんが

しかっかりつけた

小さなボタン

僕の心に とまっているよ

心のボタンと よんでるよ。


いつか遠い日

父さんが

しっかりかけた

小さなボタン

今でもちゃんと かかっているよ

心のボタンは ゆるめてないよ。


心にもボタンはあると、思っている。
糸で付けたのは、母さんで、
しっかり、かけてくれたのは、父さんだと思う。
心のボタンは、乱暴に扱ったり、
意味も考えず、ゆるめたりすると、
思いがけないことになる。
返せないほどのお金を借りてしまったり、
自分の命や他の人の命を軽く扱ったりという、
結果を生じたりする。
いつも、自分で気を付けていなければいけないのが、
心のボタンだと思う。
ただし、好きな人の前では思いきって外してみるのもいい。
また、あるいは、糸がゆるんで、取れそうなボタンを見せて…
という手もあると思う。
しかし、それは、一時期の手であって、
普段はキチっと、かけておくのが心のボタンだと思う。
こんな、偉そうなことを書きながら、
空いた手で、探ってみるのも、心のボタンだと思う。

(「心のボタン」より:サンリオ)


この詩を読んで、昔、聞いたことがある「躾糸」のことを想い出しました。

【躾糸(しつけいと)】
「しつけ」とは、漢字で「躾」=身を美しくする、と書きます。
洋裁や和裁で、本縫いの前に仮縫いをします。この仮縫いをする時、細い糸(簡単に手で切れるような糸)でまず型を整えます。
この糸を「しつけ糸」と言い、仮縫いすることを「しつけをかける」と言ったりします。
この「しつけ」がいいかげんだと、本縫いが曲がってしまったり、全体の型が崩れてしまいます。
「しつけ」は、仕上がりを綺麗にしたいならば、細かくまんべんなくかけた方がいいのです。
「しつけ」は、洋服が完成したとき、すべてはずされてしまいます。
出来あがるまでのいっとき、型を保持するためのもの、本縫いのための道しるべ。

家庭や学校での「躾」も、この「しつけ糸」と同じもの。
家庭では親が、学校では教師が、子供に「しつけ糸」をかけていきます。
そうして、人間としての型を整えてあげるのが、親や教師の仕事。
「しつけ糸」は、子どもが自立するまでの親や教師の手助けに過ぎないのです。
この「しつけ糸」を取るときは、型崩れの心配がなくなったとき。
親や教師という「しつけ糸」があるうちに、子どもは自分で本縫いの丈夫な糸をつくり出していく。
本縫いは、子供自身がするのです。


あらためて、躾について、考えさせられました。

よくのぞく糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」の日記に、以前、糸井さんの子育て論みたいなものが書かれていて、とても共感できたので、これも転載してご紹介。
 

・禁煙している人たちの、周辺の人たち。
 家族だとか、同僚だとか、仲間たちは、
 「どう応援すればいいんでしょうか?」と、
 何度か質問されました。
 ぼくの答えは、はっきりとあります。
 「あたたかい気持で無視してあげてください」なんです。
 
 じぶんの苦しい禁煙について、
 誰かが気にかけていると思うと、
 ついつい、タバコのことを考えちゃうんです。
 たとえば、毎日何度も「禁煙、がんばれー」なんて、
 声援を浴びせかけられているところを想像しましょう。
 そのつど、「苦しい」「つらい」だの「吸いたい」だの、
 イメージしちゃうでしょう?
 忘れていられる時間が、だんだん長くなって、
 やがて「いつでも忘れてる」になったら、
 禁煙も成功ということなんです。
 だから、思い出させるだけ苦しいんです。

 失恋したばかりの人に、分かれた相手のこと、
 「あんなやつのことなんか、忘れちゃえ」って、
 しょっちゅう話しかけていたら、
 うまく忘れられると思いますか?
 おそらく、タバコのことも、そうなんです。
 
・「あたたかい気持ちで、無視をしてやる」というのは、
 なんだか、いろんなことに言えそうです。
 ぼくのほんのわずかな経験では、
 子どもが育っていく過程も、
 いつもそういう態度でいられたとしたら、それが、
 いちばんよかったと思うんですよね。

 倒れそうになったら、手を貸すけれど、
 なるべく本人の力で歩めるようにする。
 おそらく、なにか育てるようなことはすべて、
 勉強のことでも仕事のことでも、
 その他いろいろ人生の諸問題でも、同じだと思うなぁ。
 気にはかけてるわけだから、
 いちいち世話をやかないというのはけっこう難しいです。
 でも、これはとても知的で最高の応援だと思うんです。


そう、暖かく放っておく。(私の理想の母親像は、ムーミンママ、なんちゃって)

親は子供にとって、知的で最高の応援団。

それでいいと思います。



「ほぼ日」に掲載される日記は、良いお話もたくさんあるのですが、バックナンバーが見れないのが難点。ブログのように、日付をさかのぼって読めない…。しかし、それも糸井さんのポリシーであるらしく、納得する。

「いつか無くなるものを求めちゃいかんのだよ。無くなるものは、求めるためではなく、そいつで遊ぶために、この世にあるんだからな」
(『セフティ・マッチの金の言葉』より)


★2011年度★第7回お昼休みのおはなし会

2012年02月23日 | 日記
お届けしたお話は、この3つ。

①『これはおひさま』谷川俊太郎:文/大橋歩:絵
 
ことば遊びの絵本。積み重ね歌。
 
「これは おひさま」
「これは おひさまの したの むぎばたけ」
「これは おひさまの したの むぎばたけで とれた こむぎ」
…と、続いていきます。
 
読み始めたときの子供たちの反応は「あっ!『のみのぴこ』みたい!」でした。
谷川俊太郎さんで有名な「これはのみのぴこ」の別バージョンといえます。
 
「これは、お日さまの下の小麦畑で採れた小麦を粉にした小麦粉を捏ねて焼いたパンを食べるあっちゃんのお腹の中に飲み込まれたミルクを出した牝牛のいる牧場の上のお日さま」

最後は、また「おひさま」に戻る。実は、太陽エネルギーを始点とした物質循環の流れが秘められている深い内容なのです(なんてね)。単純に楽しめる絵本でございます。

子どもたちから、「今、『なか』が抜けたっ!」と指摘を受けました。さすが!よく聴いてますね(笑)

大橋歩さんは、大好きなイラストレーターのひとり。暮らしぶりやファッションセンスに憧れて、イラストいっぱいのエッセイ本をよく読んだものです。この絵本を見つけたのは、かれこれ10年以上前、実家の近所のパン屋さんで。「谷川俊太郎×大橋歩!貴重だわ…」ということで、Amazonで中古品を手に入れましたが、いまや高値になってしまって…4000円~5000円台。よかった安いときで。この絵本が、こどものとも年少版として発行されたのは、もう30年前。当時定価220円なり。

ファッション誌に載っていた大橋歩さんや西村玲子さんのイラストが大好きで、よく切り抜いたりしてました。あ、今も好きです、もちろん。


②「にんげんごっこ」木村裕一:文/長新太:絵
人間のバスが走るようになったある森でのお話。森の動物たちは、人間が住む街の様子や暮らしに興味津々。そこへ、人間と暮らしたことのあるノラネコの「のら」がやってきて、得意げに人間について話し始めます。聴くだけじゃわからんだろ?ということで、皆で人間の暮らしを実際に体験しようと、「にんげんごっこ」を提案。のらが仕切って、動物たちを人間界のいろんなものに見立てていくのです。シマウマは横断歩道の役、キリンは踏み切りの遮断機、アリクイは掃除機に、そして、人間生活に欠かせないトイレの役をさせられたカバなどなど…。
さてさて、動物たちが人間の生活について抱いた感想というと…。

中でも、学校の教材、地図にされてしまった牛には、子供たちも大爆笑でした。

「あらしのよるに」で有名な木村裕一さん(キム兄ではありません)の、楽しい動物のドタバタ話は、いつも子どもたちに大ウケです。「ゆらゆらばしのうえで」「どうする、どうする、あなのなか」もお薦めです。


③「かかしのペーター」バーナデット・ワッツ:作・絵

広大な小麦畑に立っている案山子のペーター。農場の子供たちはペーターが大好き。子どもたちはペーターの周りで遊び、マフラーを巻いたり手袋をしてくれます。しかし、刈り入れが済んだ小麦畑に取り残されるペーター。風雪にさらされ、倒れてしまっても、それでも、思うのは大好きな子どもたちの事。立ち寄る動物たちに「子どもたちは元気にしているかい?」と尋ねるのです。季節がめぐり春がきて、子どもたちはペーターを見つけ、野菜畑へ連れて行きます。また一緒にいられると、ペーターは嬉しそう。農家の家族の一員として招かれたよう。望んでいたように、これからはずっとペーターは子どもたちと一緒にいられるはず。

案山子と農家の子供たち、そして動物たちとの、暖かい心の繋がりのお話。

案山子にも心がある。こうした汎心論的(あらゆるものが心的な性質を持つ)な感情は、子供たちは大概持っているもので、大人になるにつれて薄れていく。物を物質としか見れなくなってきてしまう…、どこか寂しいきもしますな。

倒れてしまった可哀そうな案山子が、これからいったいどうなってしまうのか…と、心配そうに聴いていた子どもたちも、最後は幸せな案山子を見れて、ホッと安堵した様子でした。

バーナデット・ワッツが、巡る季節を優しいタッチで描いていて、主人公案山子のペーターの表情も愛らしく、ストーリーにマッチしていて、とても素敵な絵本です。ぜひ、寒い夜に、心温まるお話として、どうぞ~。

バーナデット・ワッツは、グリム童話、アンデルセン童話、イソップ童話の絵本のイラストを多く手掛けています。



今日、W先生に「ブログ読んでますよ~」とお声をかけて頂きまして、恐縮至極…(汗っ)。
「いかん、いかん、最近は、ほとんと私物化してしまっており、気まぐれに気になった本について書いておりましたが、メインの本の会の活動であるおはなし会を載せなくては…」と、さっそく記事にしてみました。そうです、文責はすべて、私(S)にあります、どうぞ、ご容赦を~。

来月、機材を拝借します、よろしくお願いいたします。諸先生方には、いつも本の会の活動への温かいご理解とご協力を頂きまして感謝申し上げます。ありがとうございます。

2/15『子育てに役立つコーチング』講座

2012年02月17日 | 日記
コーチングの藤田潮先生をお招きして行われました「子育てに役立つコーチング」講座。

先生の楽しいお話の数々に、会場は始終、笑いの絶えないにこやかな雰囲気に包まれました。

聴きあう際のコツや、自分自身の今を見つめ直すことなど、包括的にさまざまなお話をしていただきました。

皆さまと有意義なひとときを共有できましたことを嬉しく思っております。
参加者の皆さまには、寒い中、足をお運びいただきまして誠にありがとうございました。

謹んで御礼申し上げます。



・母親は「北風と太陽」のお話にあるような「太陽」の存在である。⇒笑顔で!
・「聴く」ことは、「耳」と「目」と「心」で、相手を受け入れること。
・「ほめる≒みとめる」⇒認めると伸びる!
・「ペーシング、うなづき、うながし、繰り返し」…聴くにはコツがある。
・「リフレミーング」…人の短所も角度を変えれば長所になる。
・「ライフキャリアレインボー」…人生の20~40代は、子、親、市民、社会人など、多くの役割を担う世代。自分に期待される複数の役割をバランス良く統合して自分らしい生き方を展望し実現していく考え。

などなど…。

いくつかのキーワードをご紹介いただきました。

「他人と過去は変えられない、変えられるのは今の自分、未来の自分」

子育てだけではなく、自分のあり方など、よりよい人間関係を築いていくためのヒントをたくさん頂戴しました。

さっそく、日常生活で、実践していきたいと思います。