~~ここで死ぬ?そんなことまで考える。やだよ。来月、印税が振り込まれるんだぜ。どうしよう。救急車を呼ぼうか。でもそれはあまりに大袈裟だし……。右手を押さえていたら、患部に正体不明の水分が噴き出ていた。ううっ。これ、なんなのよ。おかあさーん。(本書帯より)~~
「空中ブランコ」で直木賞を受賞した、奥田英朗(英郎ではない)さんの紀行エッセイ。
紀行文を読んだのは本書が初めてだったが、なかなか楽しめた作品である。
雑誌「旅」の取材で、雑誌編集者と共に韓国を含め6ヶ所を訪ねる。
飛行機で簡単に行ける場所をあえて船で行くという。
とある町にあるスナックにふらっと入り、そこで知り合ったホステスの子供が翌日剣道大会だと知った一行が、
その大会を観に行くようなちょっとひねくれた旅。
旅先の小さな食堂で飯を喰い、酒を呑む。地元の人間と語り合い、船では本を読む……
観光名所を紹介するだけのガイドブックとは違い、旅本来の楽しみ方が軽快な文章で楽しめた。
著者の『心の声(?)』がこれまたひねくれていて、ちょっとクスッと笑ってしまう。
ほっほっほ。奥田英朗ファンなら読んでおきたい一冊である。
評価★★★★☆(5段階)