物欲大王

忘れないために。

吉村達也「私の遠藤くん」

2006年02月27日 16時23分59秒 | 読書、書評
私の遠藤くん

集英社

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~~遠藤由美香は十歳年下の若い夫・彰男を「私の遠藤くん」と呼んで溺愛していた。だが、彰男の行動に対する猜疑心は強烈で、郵便物や携帯の無断検閲は当たり前。彰男あてのクラス会の案内には、勝手に欠席の返事を出す始末。妻の異常な干渉を愛情の裏返しと容認していた彰男も猛反発。中学校の同級生との集まりに強引に出席するが、夫の浮気妄想に取り憑かれた由美香は、その会場に乗り込んできた!書き下ろしホラーサスペンス。(本書カバー裏面より)~~

 まずは本の装丁から見てみよう。
……エロ小説かと思った(笑)。

 男は絶対に浮気するという前提で行動している妻、由美香。夫「遠藤くん」に届けられた手紙は全て開封。携帯メール検閲は当たり前。テニスサークルのお茶会で女子大生に冗談で「こんな可愛いだんなさんだったら私も好きになっちゃうかも」と言われ、激ギレ(マネした)。お風呂は必ず一緒。しかも夫をペットのように洗うのだ。

 「じゃ、いっしょにお風呂しよ。汗かいちゃったから。遠藤くんのことを、いっぱいいっぱいアワアワにして、きれいきれいにしてあげまちゅねー」

こんな女 嫌だ(涙)。

 「干渉や被害妄想が激しすぎると怖い」というよくありがちな展開で、まとめ方も少々強引な感は否めないが、楽しめた作品(どっちだよ)。クラス会にて担任だった黒部が「結婚」について語るシーンが印象的でぜひ覚えておきたい人生論であった。後半でその黒部の意外な一面が見られるのでお楽しみを。まるでマンガのような「ありえね~」的な展開がおかしく、ドラマで観てみたいな~と頭の中でキャスティングを考えてしまう様な作品であった。ページ数も少なめなので息抜きに最適かも。               評価★★★★☆(5段階)        

東野圭吾「予知夢」

2006年02月27日 15時37分25秒 | 読書、書評
予知夢

文藝春秋

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 警視庁捜査一課の草薙刑事とその友人の「ガリレオ先生」湯川教授の迷コンビのやりとりが楽しいガリレオシリーズの第2作。3作目の「容疑者Xの献身」では直木賞を受賞した。雑誌「オール読物」で掲載された5本の短編を収録。草薙の周りには通常の捜査では解決できない、いわゆる「オカルト」事件が舞い込んでくる。草薙は捜査に行き詰まると必ず友人で物理学者の湯川教授の元を訪ねる。オカルト話が嫌いな湯川教授は科学の力でそれらの難事件を解決する。とあらすじはこんな感じだろう。
 個人的には東野圭吾氏のガリレオシリーズの中では一番好きな作品である。短編集なのでサクっと読めて息抜きに最適。科学嫌いの草薙とオカルト嫌いの湯川という2人の主人公のキャラがしっかりと書かれているのでとても好感が持てる。草薙が大学の研究室を訪れるシーンが毎回あるが、湯川は必ず何かの実験を行っていて、そのやりとりが面白い。湯川は事件のトリックを科学で解明するのだが、科学といってもそんなに難しくないし、その解説を湯川教授に語らせているので理解できるだろう。事件の動機、トリック共に良く考えられて描かれた印象があり、とても面白かった。
※今回は手抜きをしました。                  評価★★★★★(5段階)