物欲大王

忘れないために。

東野圭吾「容疑者Xの献身」

2006年02月11日 14時04分17秒 | 読書、書評
容疑者Xの献身

文藝春秋

このアイテムの詳細を見る


 ~~天才数学者でありながら、高校教師に甘んじる石神。彼は隣の部屋に住む靖子に片思いをしていた。靖子が娘と共に元夫の殺人を犯した事を知った石神は、彼女を守るべく完璧なトリックを考える。ひょんな事から石神と再開を果たした物理学者の湯川。数々の難事件を解決し、友人の刑事が最も信頼を寄せる男である。石神の隠蔽工作に感づいた湯川は、石神の立てた数式を解こうと奮闘する。そんな中、靖子に身を案じた工藤という男が現れる。石神のトリックは解かれるのか?靖子との恋の行方は??~~

 著者の作品は何冊か読んだ事があるのだが、彼が描く恋、特に男女が別れる時の心理描写がとても上手く、読んでいて悲しくなってしまうので「もう、この人の作品は読まない!」と決めていた。だが、「このミステリーがすごい第1位受賞」、「第134回直木賞受賞」と世間が騒ぎ出すと読まずにはいられなくなってしまった。ミーハーな俺である……知らなかったが物理学者湯川が活躍するミステリー、ガリレオシリーズの長編ミステリーらしい。へぇ、ガリレオシリーズなんてあったんだ……。 

 さて、読了後の感想である。東野圭吾氏が書く文章は毎回安定感があり、安心して読める。今回は物理学者と数学者の対決という内容と聞いていたので、取っ付き難いのかな?と思ったが、意外とすんなり読め、数学にも興味を持った。最後に暴かれるトリックの部分では俺の頭が悪いのか(多分そのせいで)、繰り返し読まないと理解できなかった。石神、工藤、靖子の三角関係(?)の部分をもう少し書いて欲しかったという印象があった。全体的に上手くまとめてあるが、少し物足りなさが残った作品である。
                         
                              評価★★★★☆(5段階)