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事業仕分け7日目 安心ジャパン・プロジェクトを「廃止」

2009年11月26日 10時13分10秒 | 予算・事業仕分け
このブログで注目していた経済産業省の安心ジャパン・プロジェクト(32億円)の「廃止」が決まった(「廃止」が9人、「予算計上見送り」が3人、「予算縮減(3分の1程度に)」が1人、「予算要求通り」が1人)。開始時間が遅れたため、あまり聞けなかったが、仕分け人からは、「民間が創意工夫して取り組んでいること」「事業の意味がよく分からない」「法制度や規制の見直しに取り組むのが先」などの意見が相次いだようである(このブログで主張してきたことと一致!)。
経済産業省は、「医療」は厚生労働省が所管、それ以外を「周辺」と位置づけているが、「介護」も「福祉」も大半は厚生労働省が主管しているはず。この住み分けの考え方では、経済産業省が「周辺産業」を育成しなければならないことへの説得力はないだろう。仕分け人と議論がかみ合わなかったところをみると、趣旨が伝わる説明ができなかったようであるが。


経済産業省
平成22年度予算概算要求等に係る事前評価書
http://www.meti.go.jp/policy/policy_management/22fy-hyouka/17.pdf

インターネットで公開されている上記の情報によると、「安心ジャパン・プロジェクト」は、以下のような構成となっている。

(1)健康共創プラン
・高付加価値健康長寿サービス創出基盤整備事業
・地域見守り支援システム実証事業
・車載ITシステムを活用した緊急医療体制構築のための実証事業
(2)地域生活インフラ形成促進事業
(3)安心子育て環境整備事業

「高付加価値健康長寿サービス創出基盤整備事業」の目的は、医療機関と福祉・介護の事業者などが連携してサービスを提供するにあたってのガイドラインの策定やデータの標準化、ITシステムの仕様検討などである。それにも関わらず、実施する内容は、コンソーシアムに1~3億円の予算をつけて、それぞれの地域で「高付加価値健康長寿サービス」を展開することになっている。その成果をもってガイドラインの策定などにつなげたいとの考えだと思われるが、順序を逆にして「有識者を集めて議論し、机上でガイドラインの策定などを実施。それでは現実と乖離したものになりかねないので、いくつかのフィールドで実際に使ってみて問題点を洗い出す(実証)。その結果を反映してガイドラインとして完成させ、全国の事業者などに提示する」ほうが適切に思える。
そもそも「高付加価値健康長寿サービス」とは何か、医療機関と民間事業者などが連携するにあたっての課題や策定すべきガイドラインは何かなどの議論を十分にしていない(少なくとも議論の内容が公表されていない)。それにも関わらず、20ヶ所のコンソーシアムに予算をつけることだけが決まっているということでは、「バラマキ」型の事業なのではないかと受け取られても仕方ないだろう。

仕分け人の意見どおり、「廃止」とされて当然の内容だが、医療機関と民間事業者などが連携してサービスを提供するチームアプローチの考え方、複数の機関、複数の職種(非専門職を含む)にまたがって患者=利用者の情報を共有するための考え方、情報の活用と情報の保護のバランス、国として定めるべきガイドラインやデータ交換の標準仕様などは、しっかり議論する必要があるし、国としての考え方を提示する必要もある。この事業の「復活」を狙うのではなく、経済産業省に期待されている「国が取り組むべきこと」に絞り込み、有識者を集めて地道に議論を積み上げるようにしてはどうだろうか。


また、「健康共創プラン」に含まれる「地域見守り支援システム実証事業」は、今年度から始まる3ヵ年計画の2年目にあたる。親にあたる事業の「廃止」が決まったのだから、社会保障カードの実証事業と同様、各コンソーシアムでは「出口戦略」を検討したほうがよいだろう(ここでも、あの「日本システムサイエンス株式会社」が登場する)。
この事業で実施中の内容をみると、「高付加価値健康長寿サービス創出基盤整備事業」の目的と大差ない。もし、地域見守りの8ヶ所に高付加価値で20ヶ所程度を加えて合計で37.5億円とし、同じスキームで全国各地にばらまこうという「共創プラン」だとすると、ちょっと... と思ってしまう(社会保障カードでの仕分け人の指摘から連想して)。

地域見守り支援システム実証事業
http://www.nss-med.co.jp/mimamori/index.html

採択コンソーシアム(8ヶ所)
http://www.nss-med.co.jp/mimamori/saitaku.html

3ヵ年計画の1年目で打ち切りにするか、継続できる限られた予算を使って健康共創プランの3つの事業で明らかにしたかったことを盛り込むようにするか(個人的には、打ち切ってもよいと思うが)。経済産業省の出方に注目していきたい。


仕分け結果の詳細(11月25日分)
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112501000810.html


3 コメント

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Unknown (バラマキと癒着)
2009-11-27 22:25:06
地域見守りの採択コンソーシアムは「政治案件」が多いですね。当時の経済産業大臣の基盤は和歌山県。前大臣の出身地は神奈川県の厚木市。タクシーチケット問題で辞任に追い込まれた仙台市の市長は、経済産業省出身だし。
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来年度は (Unknown)
2010-03-17 23:59:31
http://www.meti.go.jp/information_2/data/20100308094447.htm

地域見守りは来年度はこのような形になるようです。
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Unknown (Unknown)
2010-03-18 05:37:19
なんだか愕然としますね
事業仕分けをした意味がないじゃないですか、これでは

国会で追及してもいいぐらいですよ
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