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中医協、再診料の一本化で集中審議 結論出ずに持ち越し

2010年02月09日 09時36分46秒 | 予算・事業仕分け
基本的な方針として合意できていたと思われた「再診料」で、中央社会保険医療協議会(中医協)が緊迫している。
再診料は、200床未満の中小病院が600円であるのに対して、診療所は710円。再診料には様々な加算があることに加えて、医療機関で価格が違うことへのわかりづらさもあることから、基礎となる再診料を統一しようということで合意が得られていた。しかし、その合意ができたのは、診療所の再診料を引き下げて600円に統一する、中小病院の再診料を引き上げて710円にする、二者の間をとって650円程度で揃えるのいずれなのかについては曖昧なままになっていたため。
再診料を10円引き上げると、医療費は100億円ほど増えることになる。今回の診療報酬の引き上げ幅は、0.19%(約700億円)と小さく、再診料の引き上げに使える財源は限られている。確保できる財源を眺めつつ、600円と710円の間のどれぐらいで決着させるかというせめぎ合いになると思われる。

日経新聞が報じたのは、再診料を680~690円にするという方針。診療所の再診料は引き下げになるが、時間外対応などの加算により収入減を補うことができるようにするという。

中小病院の再診料680~690円 厚労省方針、診療所と同水準
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20100207ATFS0601H06022010.html

診療所の再診料、原則引き下げを検討 厚労省
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20100120ATFS1902N19012010.html

5日に厚生労働省が示した「外来に関する財源」の粗い試算によると、外来部分の改定率の引き上げによる400億円と検査実施料などの適正化による400億円。800億円から新規技術などの評価に650億円をまわすために、再診料の統一に使うことができる財源は150億円程度。これでは、再診料の引き上げにはとうてい足りない。かといって、他を引き下げて財源を持ってくるのも難しいだろう。

【中医協】再診料統一、診療側と支払側の溝埋まらず
http://news.goo.ne.jp/article/cabrain/life/cabrain-26243.html

これらを前提として、8日の中医協で集中審議がなされたが、双方とも譲ることなく結論を出すことができなかった。そのため、公益委員が裁定案を提出して10日に決着を図ることになった。しかし、開業医を代表する委員からは、「現在の再診料でも低い。裁定の内容によっては、大きく非難することもありうる」と述べるなど、簡単には合意することはできないだろう。開業医にとって、再診料の引き下げは経営=収入に直結する。開業医の月収は205万円、病院勤務医は123万円。このような情報が流されているので、世論は「診療所の再診料を引き下げるのは当然」だろう。

中医協、再診料一本化の結論出ず 公益委員が裁定案提出へ
http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010020801000776.html