コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません-あるいは消えたヴィクトリア朝花瓶の謎-』
ウィリスの本は「航路」に続いて2冊目。両方とも訳している大森さんによれば「航路」はシリアス系でこちらはコメディ系だそうで、たしかにそれはそう。
空襲で焼け落ちたコヴェントリー大聖堂を修復せんとするレイディ・シュラプネル。
その助手(奴隷?)となって、行方不明の花瓶(?)「主教の鳥株」を復元すべく、過去と現代(2057年)を行き来するオックスフォードの史学生ネッド・ヘンリー。
タイムトラベルのやりすぎで、タイムラグとよばれる病気となってしまったネッドはレイディ・シュラプネルの魔の手から逃れるべく(笑)、19世紀、ヴィクトリア朝のイギリスへと休養のために降下する。
しかし、そうは問屋が卸さず、いつのまにやらタイムパラドックスが引き起こされて…。
「主教の鳥株」は何処に? トシーの(未来の)愛する夫、イニシャルCは誰か? 時空連続体のズレは果たして元に戻せるのか? ネッドとヴェリティの仲は如何に?
といった感じのタイムトラベルでミステリなラブコメディ小説(笑)。
訳者がいうような「抱腹絶倒」はちと言い過ぎの感があるけど(僕にはニヤニヤできるタイプのユーモアだった)、タイムトラベルの部分(パラドックスのところ)とミステリの部分はよくできてて楽しめた。
演劇や詩の引用が多くて、翻訳は大変だったかも。
大森望訳。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞。