電脳馬牧場-Electric Ranch

カタログ人間による本,映画,ジャズ,古本屋巡り,ニュース拾い

阿部和重「グランド・フィナーレ」(新潮社・2005年)読了!

2005-02-27 23:07:52 | 読了日記


 阿部さんの小説の、その滑稽なほどのハチャメチャさというか、後半の崩れていく感じが好きなのだけれど、表題作では後半にスピード感を味わえたものの、「えー?!」って言いたくなる、積み上げたものをどかどか崩していく感覚はなかったなぁ。
 ロリコン趣味の男の崩壊(の回想)と再生がテーマなのかな。危ない方に進むかと思いきや踏みとどまってしまう。それがちょっと意外。
 私は阿部さんらしくないと思ったけど。それに比べると、表題作とともに収められている短編のほうが、あぁ阿部和重だぁと思わせるよ。

ハウルの動く城(東宝・2004年)

2005-02-20 00:01:41 | 映画・ドラマ
宮崎駿を映画館で観るのは初めてだったりする。
結構大人になるまで宮崎駿は観ないと決めていた。単なる天の邪鬼である。
「となりのトトロ」は結構好き。「紅の豚」も格好いい。「ナウシカ」とか「ラピュタ」はまぁどうでもいい。多分、認めたくないだけ、単なるひねくれ者である。

さて、「ハウルの動く城」。
観客動員が多いという話題は何度か見かけたが、中身が面白いという話はあんまり聞かないし、私の周囲(3,4人ですが)の評判もあまり芳しくない。観ないつもりだったけど、それなら観てやろうという気になった(トホホ…)。

で、観てみたんだけど…、

面白いじゃないか!ダメなのか、こういうのって?
確かにあまっちょろい。魔法使いハウルの活躍はそれほど前面に出されず、ハウルに恋するソフィーの、ハウルを思う「思い」のみで、ハッピーエンドを迎入れる。

友人はこれを宮崎的な反戦映画だという。これまでと違ってほとんど戦闘シーンがない(それは戦えない90歳のおばーちゃん〔で18歳の少女〕ソフィーが主役となっている点ですでに不可能なのだが)という。確かに、蹂躙される町は描かれても、怪物と戦うハウルは描かれず、ただ戦いに疲れ、血と鉄のニオイがするハウルが描かれるだけだ。そして、ハウルの無事を願い、思い続けるソフィーの姿が描かれる。
僕には反戦映画かどうかはわからない。ただ、ここまで描かれないとなると宮崎駿が何らかの意図を持っていると言えるだろう。世界だの平和だのを守るために、結局は戦い、簡単に悪人とは言いきれない相手を殺さなければならないのだ。では、それを描かなければそれでいいのか。それも単なるきれい事。

とりあえず、今回は戦わないソフィーに軸を置いた。そして、愛だの恋だので戦争を終わらせることになった。戦いなしに、あるいは戦いを秘匿したまま大団円というのではリアルでない。が、戦いの一方でソフィーのような、戦う者を思い、行動する立ち位置はアリだと思う。素敵じゃないか。
ハウルへの思いが強まるほどに、ソフィーが若くなっていくように見えて、なんだかいいなぁって思っちゃったよ。

2/19の獲物

2005-02-19 22:48:27 | 古本・今日の獲物
ブックオフに期待を込めて

ブックオフ鹿児島天文館店
近頃獲物がないなぁ。残念。

ブックオフ鹿児島中山店
ここも相変わらず元気がよろしい。で、以下獲物。

キャラクター小説の作り方(講談社現代新書 1646)大塚英志著

大塚英志「キャラクター小説の作り方」(講談社新書・2003年)→400円
別の新書も読んでなかったような…。どこに片づけたっけ?
「物語の体操」を具体化したのかな?

反社会学講座パオロ・マッツァリーノ著

パオロ・マッツァリーノ「反社会学講座」(イーストプレス・2004年)→750円
ネットでも読めるけど、まぁ、手許にあってもいいよね。

ブックオフ鹿児島宇宿店
またも獲物。この調子で頼むよ。

すばらしき愚民社会小谷野敦著

小谷野敦「すばらしき愚民社会」(新潮社・2004年)→700円
小谷野さんとは合わないなぁと思うことも多いけれど、その分析や批判は的を射ていると感じることが多い。なにしろ面白いんだよね。コレ大事。


Apple Store

2/13の獲物

2005-02-15 20:30:46 | 古本・今日の獲物
ブックマーケット姶良店
なんだか,この店もいろいろ防犯グッズやら東南アジア系の雑貨やら置いてあって訳わかんないことになってきたよ(笑)。
以下獲物。
葉桜の季節に君を想うということ(Honkaku mystery masters)歌野晶午著

歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』(文藝春秋・2003年)→500円
前から読みたいと思っていたのだけれど,なかなか見つからなかったんだよね。
あんまり状態がひどいのは買いたくないし。
この本はいつだったか「このミステリーがすごい!」で1位だったんじゃなかったかな(ちゃんと調べろよ!)。
歌野さんは初期の「~家の殺人」シリーズしか読んでない。記憶もあんまりない。
やられた!と思わせてくれますように(祈)。

斉藤美奈子「物は言いよう」(平凡社・2004年)読了!

2005-02-02 21:46:43 | 読了日記


「噂の眞相」に連載されていた「性差万別」を大幅加筆修正してまとめたもの。
政治家の「天真爛漫なご発言」や評論家などの「油断大敵なご発言」を収集分類。
私たちが普段耳にする「セクハラ発言」や「性差別発言」とはっきり言えるものから、うーんそこまで言えないけど、なんかおかしい的な言動にイエローカードを出していく。
この基準になるのが「フェミコード(FC)」。
公の場所ではわきまえましょうよ、というフェミニズム的規則だ(フェミニンでもフェミニ二ティでもいいらしいぞ)。知らず知らずにセクハラじみた言動を行わないための心得が実例付きで60挙げられている。

そんなことどうでもいい保守オヤジや、自然とそんな物にはひっかからずに振る舞える人間にはどうでもいい話(関心のない人達にはもともとどうでもいい)。問題なのは、フェミニスト的に振る舞いたい僕のような似非インテリだ。マッチョな保守オヤジ(オバサンでもあんチャンでもおねーチャンでもよい)はバカに見えるし、かといって染みついた差別意識をぬぐいたいけどぬぐいきれない、そんな人達向け。

近頃斉藤さんは社会構築主義(大ざっぱに言うと、例えば男女の性差において生物学的な差異を重視せず、社会的な制度や文化を重視する考え方)に偏りすぎていると批判されている。
まぁ確かにそんな一面もあるかも。ただ斉藤さんも社会構築主義もそんなに単純かなぁ。
違う気がするけど。
この辺自分のなかでもイマイチ形にならないので、とりあえず、その違和感の表明だけ。

僕の彼女を紹介します(ワーナーブラザース映画・2004年)

2005-02-01 23:38:02 | 映画・ドラマ
「猟奇的な彼女」が面白いと思えるならこれも面白いと思えるかも、と推薦されて観てみた。
監督(クァク・ジェヨン)と主演女優(チョン・ジヒョン)が「猟奇的~」と同じで、中身も同じなのかなぁと先入観を持ってみたのだが…。

恋愛モノには違いないが、これはどちらかといえばファンタジー。
邦画でいえば(観てないから、これまた先入観だが)「黄泉がえり」とか「いま、会いにゆきます」とかの類なのかなぁと。

コメディ色は前半にいくらかみられるだけで、ヒロイン、ギョンジンの、ミョンウへの愛を中心に物語が展開する。
途中まで観ていくとある程度展開が読めるのだけど、こういう展開への安心感みたいなのが感動作には必要なんだろうと思うよ。
泣きどころはいくつかあって、ああ、ここなのかな、と思うと話が終わらず、まだ続いたり、ってのが何度かある。ある意味お得?

面白さでいえば「猟奇的~」だけど「お涙度」で言えば「僕カノ」かな。
あと、最後のシーン、ニヤリとできます。