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日々のこと

「無伴奏ソナタ」観劇感想文

2012-06-04 | 鑑賞とか

本日無事千秋楽が終わられたようなので感想文をば。

当日ハーフプライスで2階端の席をゲット。
舞台が良く見えて、しかも前に人がいないという条件で
どっぷりと入り込めて良かった。


【STORY】

すべての人間の職業が、幼児期のテストで決定される時代。

クリスチャン・ハラルドスンは生後6ヶ月のテストで
リズムと音感に優れた才能を示し、2歳のテストで音楽の神童と認定された。

そして、7歳の時、両親と別れて、森の中の一軒家に移り住む。
そこで自分の音楽を作り、演奏すること。
それが彼に与えられた仕事だった。

彼は「メイカー」となったのだ、メイカーは既成の音楽を聞くことも、
他人と接することも、禁じられていた。

ところが、彼が30歳になったある日、見知らぬ男が森の中から現れた。
男はクリスチャンにレコーダーを差し出して、言った。

「これを聴いてくれ。バッハの音楽だ……」


…まぁそのようなお話。

あ、何故にこのお芝居を知ったかというと、
SIBERIAN NEWSPAPERが劇中の音楽を手がけたからで
シベリアンやからと言ってなんでもかんでも飛びつく気はないけど
このお芝居はどうしても観とくべきという、直感により行ってきた。

このお芝居は観る人によって着目点が違う気がするわ。
私の着目点はなんやったんやろう、と振り返る。

音楽に携わることを一切禁じられた主人公に対して、
そんな事情を知らんレストランの店主は
良かれと思ってピアノを弾くことを勧める。

そして演奏していることが政府にばれて処罰を受けるはめに。

次の職場の工事現場でも、主人公に生きる楽しさを
味わってほしいがために一緒に歌おうと誘い、作曲をも勧める。

そやけど、作曲をしたことがばれてまた処罰を受ける。

もし誰とも関わらずに生活していたら
職を失うことも、指を失うことも、声を失うこともなかったのに。
そしていつだって周囲の人たちにはこれっぽっちも悪意がない。

善意の人達もそうやって知らぬ間に
主人公に対して罪を犯しているわけで、でも誰一人として悪くない。

工事現場の場面で涙が止まらんかったのは
そんなことを思ってたからで。

ほんで主人公も、そんな善意の人達に罪はないと言う。
結局は自分の中にある欲求に抗われへんかっただけやと。

音楽に対する欲求に抗えずに幾度か法律を犯しはするけど
でもそれすらも含めた、自分の運命を静かに受け入れる。
どうもそういう感じに弱いみたい。

受け入れる、引き受ける、はなかなかに難しい。

あと、ラストシーンで舞台と客席が一体となって
主人公に「喝采」を送るところでも胸が詰まったな~

劇中のシベリアンの音楽もすごく良かったし、
開演前に「MISS SILENCE」とか「世界の果てへ連れ去られ」とか
私の好きな曲が会場に流れてるのもなんか嬉しかったわぁ。

既成のものから影響を受けずにゼロから生み出す、
それが真の芸術かどうかはよく分からんけど
シベリアンのニューアルバムのタイトル「0(ゼロ)」は
ここからきたのだろうかと思ってみた。

ああ、長くなっちった。
すごく良いお芝居やった。直感正解。


『無伴奏ソナタ』ダイジェストムービー